Chapter 3: 待っていたもの

黙ったまま、車に乗せられて約30分。車は止まった。ドアを開けられて、降りるとそこは大豪邸の門の前だった。

(私売られたの?何ここ…。)

よくテレビで見る、大豪邸の主が若い娘をお金で買って遊び尽くす光景を思い出して寒気がした。そのまま私は連れられるがままに門の中に入っていった。逃げようにも全く逃げられる隙がない。玄関の前に行くと、扉が勝手に開く。恐怖で動けもしない私を、周りの男たちが入るように促す。精一杯の勇気を奮って中に入ると、その光景に息をのんだ。床はレッドカーペットのごとく赤いじゅうたんが敷かれていて、その先には舞踏会でありそうな階段がある。窓にはステンドグラス、天井にはシャングリアが飾ってあり、なんとも見事なものだった。見とれていたのもつかのま、私は左側にある部屋に入るよう、促された。中に入ると、その部屋もまた美しかった。青と白で統一されたその部屋は、部屋にいるだけで、涼しくなる。夏にはぴったりの部屋だった。しかし一番驚いたのは、ソファに座っていた人物たちだった。そう、それは私が最もよく知る人物たちだった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る