第3話 爺達強盗計画(じじいたちごうとうけいかく)

「兄いこいつをみてくだせぇ」

辰三はどこからもってきたのか一枚の「青写真」を広げます。

お若い方はわからないと思いますが、「設計図」のことです。最近はCADとかいってパソコンでなさるそうですが。

「こいつはどこのだ?」

「成金銀行の駅前支店のです。」 

「こんなもんが何の役に立つんで?」

英二がたずねます・

「ばかやろう、あそこの金庫には現金がうなってるって昔からゆぅだろ。」

正吉は怒鳴りつけます。

で、三人は集まって、こそこそと計画を立てます。


当日になりますと三人は黒ずくめの格好で銀行に参ります。

「今から銀行強盗に参ります」って看板を背負って歩いているみたいなもんです。

道の真ん中を三人堂々と歩いてるんですからなんとも「間抜け」としかいいようがありません。

銀行の前に着きますと三人そろって「ごそごそ」と、なにかしております。

これから「手をあげろっ」と包丁を出してお金を頂くというのが本来の姿ですが、「手をあげろ。」という前に接客担当の女性の「いらっしゃいませ。どのようなごようけんでしょうか?」のほうが声が大きかった。

おそらくは新人の銀行職員なんでしょう。声が大きく元気がある。

爺が蚊の鳴くような声で「金を出せ」なんていっても聞こえるわけがありません。

「つ、通帳を作りたくて。。」

正吉は思わず言ってしまった。「ご新規のお客様ですね?」といって職員さんは紙を渡して「129番でお呼びいたします。しばらくお待ちください。」といわれまして、黒ずくめの男三人が待っています。

そして間の悪いことに3時のアラームが鳴ります。

銀行は三時になりますと銀行の窓口が閉められますがそれ以前のお客様は閉められたシャッターのはじにある専用の「ドア」から出ることになります。

突然にシャッターが閉まったものだから三人は慌てた。

もうドキドキしてたまりません。早く逃げたいの一言です。

「129番のお客様」と呼ばれて、口座を新しく作りました。

口座には100円だけでも入金しておけばよろしいのですが、「有り金」全部服の中から探し出しまして2614円なんて中途半端な金額を新規口座に振り込みまして、シャッターを通って逃げるように三人は逃げ出しました。

強盗するつもりが預金を預けた、という結末です。


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