君と

「お待たせ。」

「そんなに待ってないよ。」

「別にそう言う意味じゃないよ。」

「ああ、そうかい。」

「いいから早く帰ろうよ。今日はもう疲れた。早く家に帰って休みたいのさ。」

「それはお疲れ様。」

「ああ、うん。ありがとう。」

「それで、どんな風に疲れたんだい?」

「それはちょっと話したくはないかな。」

「僕に言えない話かな?」

「やましい事じゃないよ。話したくないだけさ。」

「ふむ、なら無理には聞かないけれど…。大丈夫かい?」

「何が?」

「もう何年君とは何年も付き合っているからね。言いたくない事なんて大体予想がつくさ。」

「…別に君の考えているような事ではないよ。」

「一応聞くけど、僕が何を考えていると思ったんだい?」

「それは…」

「君のそれ、悪い癖さ。僕にくらい心配かけたって構わない。吐き出す相手もいないんじゃ窒息してしまうよ。実際君の顔色は悪く見えるからね。」

「大丈夫だよ。私より君の方が息苦しいんじゃないかな?少なくとも私にはそう見えるけれど。」

「僕は君の顔が見られればそれで良いさ。明るくてとびきり可愛くて元気な君の顔がね。でも苦しくて溺れてしまいそうな君の顔を見るのは嫌なんだ。」

「私も君と同じだよ。でも多分、酸素の量には限りがあるだろうから。いつかは二人とも、窒息してしまうよ。」

「君が倒れたら人口呼吸でもしてあげるさ。僕が倒れたら逆にして欲しいけれどね。」

「それは約束できないかもね。そんな事より、暑いからアイス買って帰ろうよ。」

「わかったよ。じゃあそこを右に曲がろうか。」

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待宵対話集 しばふね @Minori_yuuka

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