好きだけど嫌いな好き嫌い

「ねぇ、少し疲れたね。」

「そうだね。休むかい?」

「いや、休まなくても別に良いよ。」

「疲れてるんじゃなかったの?疲れてるなら休んだ方が良いさ。」

「まぁそうだけどさ。」

「じゃあ僕が疲れてるから休もうか。もし君が疲れてなくても、僕に付き合ってよ。」

「ふふ、わかったよ。座ろうか。」

「君は気を遣い過ぎだよ。もっと自分勝手で良いさ。それにあんまり気遣いになってないよ、それは。」

「別に気を遣ってるつもりはないよ。何だか悪いかなって思っただけだよ。」

「休むのがどうして悪いんだい?」

「私が勝手に休みたいだけなのに、君を付き合わせるのが悪いかなって。」

「それが気を遣ってるって事さ。そんなんじゃあ生きにくくないかい?少しは肩の力を抜いたほうが良いよ。」

「……良く分からないよ。君の言ってる事。肩に力なんて入ってないし、生きにくいかどうかなんてさっぱり分からない。」

「そうだね。難しいよね。僕も良くは分からないよ。こういう事、したり顔で時々大人が言うけど、僕、分かったふりして頷くだけさ。」

「君にも分からないことはあるんだね。」

「僕にだって分からない事はあるさ。分かってる事の方が少ないよ。分かりたい事が分からないって事もあるしね。」

「ふーん。良く分からないや。」

「そうだね。良く分からない。さて、そろそろ行くかい?」

「そうしようかな。」

「ほんとは君、そんなに疲れてなかったんだよね。僕が疲れてるのを見て、休ませたかったんだね。」

「違うよ。私は私で疲れてた。君の為じゃないさ。」

「ふふ、そうだね。遠慮の仕方もおかしいし。そう言う事にしておくよ。」

「そんな事より手を貸して欲しいかな。」

「はいはい。」

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