第10話リリ大好きだよ「田舎暮らし」麻屋与志夫のブログ。

2014年

9月19日 金曜日

猫好きは止まらない。

●わが家に10日ほど前に三毛の子猫が迷い込んで来ている。

あきらかに飼い猫だった。すごくひとに馴れている。

なんらかの事情があって捨てられたのだろう。

その日、玄関でニャニャと子猫のあまえるような鳴き声がした。

長年猫を飼っていると鳴き声でわかる。

あきらかに、お腹をすかしている鳴き方だ。

でも、鳴き方がすこしおかしい。猫らしくニャオ―と鳴けていない。

庭をあるきまわっている。カミサンにスリスリしている。

●「どうする。ブラッキーだけで、手いっぱいよね」

●「それより、こうなったら100歳以上生きていないとその猫を最期まで飼ってあげられいな」

●ブラッキーは18年近くわが家のお姫様でいる。この子猫もブラッキーのように長生きすれば、わたしたちも元気でいなければならない。ーーこれから18年?

●塾生や知り合いに呼びかけているのだが、いまのところこの子猫の里親に成ってくれる人はいない。

●わが家で飼うことになるだろう。

●ふわふわして柔らかい子猫にふれていると、もうそれだけで猫好きのわたしは癒される。

小説を書くのにいきづまると子猫をだっこしにいく。

ごろごろ喉をならしてよろこんでくれる。

もうこうなったら、たのしくて、小説の進行具合など気にならない。

子猫とたわむれている。

●ブラッキーと対面させた。

うまくいかない。

歯を剥いて子猫を威嚇して、いやがっている。

●仲良くしてよ。

ブラッキー。

かわいい子猫ちゃんじゃないか。

●わたしは、困ってしまって、ニャンニャンニャンだ。

●ブラッキーはよろこぶと思ったのにな。

9月20日 土曜日

赤い花を眺めながら、ふたりでお茶を……

●門の脇の塀際に彼岸花が咲いた。

茎を根元で切って花首を下にして見ると「線香花火」のようだ。

そんなことを毎年考える。

カミサンが好きな花だ。

●わたしは母が「墓場の花だ」と嫌っていたので、あまりこの花を意識したことはなかった。「毒々しい赤だ」ともいっていた。

わたしがなんの抵抗もなく彼岸花を受けいれられるようになるまで、70年以上を要した。

長生きしているから、固定観念ともなっている幼児体験による「目の曇り」訂正することができた。

嬉しいではないか。

この子どものころからの思いこみからの脱出については、いつか詳細に小説に書いてみたい。

●「裏庭の曼珠沙華が咲いたわよ」カミサンの声に誘われて廊下にでた。

板を張りつめてあるデッキに出る。

テラスといったほうがいいのかな。

でも板を張りつめてあるからデッキと呼ぶのが相応しいのだろうなと考えながら、裏庭を眺めた。

確かに、表門の脇の赤よりもさらにあざやかに咲いている。

みごとだ。

周囲の緑の草やバラの花との gradationもいい。

いつもながら、カミサンの庭作りの才能には感服する。

●今日は塾も休み。

ふたりでお茶飲みながら裏庭でくつろぎたいものだ。

9月21日 日曜日

迷い猫はリリと名前をつけました。 

●昨日は夕暮れの薄明を楽しみながら買い物に出かけた。

太陽はすでに西の山に沈み、青空がしだいに茜色に染まっていく。

こんなとき、白い雲が漂っていればさらにこの天空の色彩の推移を楽しむことができる。

●「代官山でみた夕焼けが思いだされる。きれいな夕暮れの雲を覚えている?」

「もちろんよ。あそこは坂が多い街。低地から坂の上の夕暮れを見上げたのよね」

●重ね着をしてきてよかった。

大気が冷えびえとしてきた。

ヒンヤリトシタ風が無精ひげのはえた顔をなでていく。

もう幾日ひげを剃らないだろうか。

思うように小説がはか行かないので悶々とした日を送っている。

●カミサンは元気だ。

もくもくと働いている。

今は椿の木を伐採している。

根元から八本くらい生えている。

太い。

これを全部切るのは重労働だ。

わたしは一切仕事はしない。

小柄で華奢なカミサンが単身ノコギリを手にギシギシと太い幹を切っている。

●「日賀野のおじさんが5センチくらいの苗をもってきてくれた。母は兄さんから貰いものものをした事がないから、その苗を嬉しそうにソコニ植えた」

「思い出の椿を切って――悪いわ」

「そんなことはない。庭木を切るなんてこと、もう歳で、出来なくなるから」

「心細いこといわないで。まだまだ元気よ」

「あと何年、大きなリックで買い物にいけるかな」

左足が痛み、もうこれまでなのかと覚悟している。

車にはのらない。

二足歩行をスタスタするには最高齢者だ。買い物にでかけても、荷物がはこべなくなる不安がある。

●青空を背景に白雲が濃い茜色に染まって来た。

いままさにその色調が夕暮れの藍色に変わろうとしている微妙な時間帯。

●カミサンとわたしはそれぞれの終末を話題にしながら、せせらぎ公園の小川を見下しながら歩き続けた。リックの荷物が重かった。

子猫ちゃんの餌のぶんだけ重量が増えた。

迷い猫は、リリとカミサンが名前をつけた。

ブラッキはいやがっているが、家で飼うことにカミサンはしたらしい。

9月22日 月曜日

子猫のリリとたわむれています。

●夕焼けが美しい季節になった。

西方の山に沈む夕焼けは燃えたつように赤い。

●その土地で、景色を楽しむほどの場所がなかったら、空を見上げるといい。

特に、秋のこの大夕焼けを眺めるのはわたしに至福の時をもたらしてくれる。

●さて、リリちゃんのことだ。

3カ月くらいの三毛猫のメスの子猫だ。かわいい。そういえば、和歌山電鐵 貴志川線 猫のスーパー駅長「たま」も三毛猫だった。いままで庭に迷いこんで来た野良猫を何匹も飼ってきたが、三毛猫の愛らしさはとくべつだ。すっかり虜になっている。

リリはいちばん好奇心のある時期だ。

カミサンがアルミホイルを丸めてボールを作りリリにあずけた。

ヒトリでサッカ―遊びをしている。

前足で蹴ってアルミのボールを追い掛ける。

時には、くわえてわたしのところへもどってくる。

ねずみを取るトレーニングでもしているのだろう。

広い二階の教室や書斎をわがもの顔に走りまわっている。

かわいいものだ。かわいいなんてもんじゃない。メロメロダ。

●ブラッキーはまだリリを嫌がっている。

はやく慣れてくれるといいな。

9月24日 水曜日

猫とタワムレル 

●コタツの準備をカミサンがしてくれた。

わたしはモノグサなのでなにもしない。

家のなかの仕事は全部カミサンを頼っている。

ホコリだらけの電気器具、コタツのヒーターをキレイに掃除してくれた。

いよいよこれでもって、冬の陣。

7カ月くらいホリゴタツでパソコンに向かえることになった。

●小説が上手く書けないのを、物理的条件のせいにする。

椅子が低すぎるとか、机が狭すぎるなどと悩む。

肉体的なことで嘆く。

背筋が痛い。目が疲れる。

実際は、才能がない。根気が続かない。

……とか、自分自身に責任があるのはわかっているのだが、卑怯ですよね。

●新しいモノをこのところまったく書いていない。

情けなくなる。

●ブラッキーとリリと交互にタワムレテ時を過ごした。

ふわふわした猫の毛並みをかわいいな。

カワイイナとなでていると不思議と心がおちついてくる。

●外見的にはなんの変哲もない老夫婦の日常だ。

●でもわたしの頭の中では、吸血鬼とクノイチが大乱闘をくりひろげている。

●どうなることやら。

小説家の仕事なんて、精神的負担大きい割に、サポーターがいるわけでもない。

なんともオカシナ仕事だなぁ。

とつくづくこの頃かんがえるようになった。

9月25日 木曜日

ブラッキーちゃん、リリと仲良くしてよ。

●朝から雨が降ったり止んだりしている。

こんな日には落ち着いて勉強できる。

外に出ることもなく猫と遊んではパソコンに向かう。

厭きると猫と遊ぶ。

●リリを家族として迎えたので退屈しない。

ブラッキーがいやがるので、裏庭に面した廊下で飼っている。

もう初めからわが家の一員であったかのようにリリはふるまっている。

子猫だからたえず動き回っている。

油断しているとドァをあけた隙に部屋に入り込んでくる。

ブラッキにシュと威嚇されても動じない。

まだ怖いものを知らないのだろう。

まちがいなく、飼い猫だったのだ。

こんなに可愛い猫をすてるなんて、よほどの事情があったのだろうな。

9月26日 金曜日

子猫リリは廊下でホッケーをしています。

●にわかにわが家の飼い猫となったリリは、アルミ箔を丸めて作ったボールで遊んでいる。

サッカーに前回のブログでは例えたが、どちらかというと、ホッケーをしているように見える。

●床をころがる音。

動きだけではなくその音をおいかけるのが楽しいらしい。

ネズミを捕まえるシミュレーションをしているようだ。

何回でも、それこそ際限なくくりかえしている。

やがて……あきるとそのアルミ箔のボールをわたしのところへ持ってくる。

「ねえ、みて、みて、わたしが捕まえた初めての獲物よ。ほめてよ。ほめてよ」

と迫ってくる。

喉をなでてやると、ごろごろいわせてうっとりとした顔になる。

●今朝も、廊下のリンクでホッケーを始めていた。

その音でカミサンは早く起こされてしまったらしい。

●わたしは廊下の椅子に座りぼんやりとリリのホッケー運動を見降ろしていた。

涼しい風が庭から吹いてきた。

●リリを飼うに至った詳細はカミサンの今日のブログを読んでください。


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