第7話
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「はい、では
御年18歳、初めて契約なるものをいたしました…!!
あ、はじめてお兄さんに名前呼ばれた気がする…なんか感慨深い
「あ、お兄さんのなまえ…」
たしか名刺に書いてあったんだけど吸血鬼のインパクトすごくてあんま覚えてないや
「えーと、」
「花房清」
「そう!花房さん」
キヨ、なんてすこし似合わないなあ。なんて思っていたよみは“さやか”らしい。
女の子然とした名前も穏やかな笑みを浮かべるお兄さんには似合う気がする。
「さやかさんお兄さんにぴったり」
「そう言ってくださると嬉しいです」
「契約完了って、何もしなくていいんですか?」
ハンコとか、おれ名前しか書いてないけど
「大丈夫です、お互いが了承している間柄であることを示すことができれば契約完了なので」
ふぅん、そんなもんか…
「ちょっと、聞いてもいいですか」
「なんでも」
「ご学友はいらっしゃいますか?」
ポカン、と自分でもそんな顔をしているのがわかる。
「ご学友、てのはつまりはともだち?」
深刻な顔をするからなにかと思ったら…
「中学のとき一緒だったやつと普段一緒にいる。これがともだちなら ちゃんとご学友はいるよ」
その瞬間。……あぁ!と大きな声をだす清さん。
「あの決して、樹さんにご友人がいないと思ったわけではなくてですね、これからの生活サイクルのあれやこれで合わなくなってしまったら申し訳ないと…」
「ふ…あはははっ」
「い、いつきさん?」
「さっきまであんなだったのに…っふ、急に慌てるから」
実際慌てておれの手を離した清さんは両手を顔の前でぷるぷると震えさす。
さっきのはなんだったんだというほどの慌てっぷり。
「はぁ……おかしかったあ」
「笑いすぎです」
落ち着いたおれを非難するようにじとりと睨んでくる。
「まあ、いいです。樹さんとの親睦が深まったと思えば安いものです」
そういいながらも すこし不貞腐れたような表情をする清さんははじめの印象より幼くかわいい。
「ねえ?清さんはいくつ?」
「さあ?いくつでしょう」
「なに、さっきの仕返しですか?」
大人気ないですよぉ と笑えば そうじゃありません と返してくる清さんはやっぱりどこかかわいい。
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