第4話
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「だから言ったじゃないですか」
「…おにいさんのオプションがひどいんです」
血を吸うことに関しては 全くもって問題はなかった。血を吸うことに関しては。
全身鏡に背を向けて立つとお兄さんはおれを抱きしめるように左手を肩甲骨のあたりに、右手を腰に添えた。耳朶に唇を寄せ、薄く開いた唇に食まれる。
「ぇ、ちょ…」
咄嗟に身を引くと、すぐ後ろの鏡に邪魔されて動けない。
唇は耳の後ろ、首筋、ゆっくり伝い、ある場所につくと軽く吸い付き血の色の舌で感触を確かめるように何度か舐めた。
「、」
これって、なんだ?!必要なのかいるのか?!
戸惑っているうちに尖った歯は首筋に突き刺さる。
「ちょ、っと…」
流れているであろう血を舐められた瞬間、下半身から背中にかけてゾクゾクとしたものが駆け上り足から力が抜ける。
「おっ、と大丈夫ですか?」
「いやなんかもう…視覚的にきつくて…」
倒れなかったのを褒めて欲しい。お兄さんが腕に力を入れてくれたおかげでもあるけど。
「だから言ったじゃないですか」
と、この言葉に繋がるわけだ。
「…おにいさんのオプションがひどいんです」
本当に、ひどいんです。
「耳朶食べる必要ありますか?!普通に吸ってくださいよぉなめるひつようがありますかって……」
「まあまあとりあえず座りましょう腰もきてるみたいですし」
あんたのせいですよ!!なんて言う間もなくリビングに連れていかれまた向かい合わせに座る。
「あなたが吸ってるところ見たいとかいうからです」
「たしかに“吸ってるところ”を見たいとは言いましたけど、あんなひ、卑猥なものを見ようとはけっして…!!」
そういった途端お兄さんは吹き出しおれの手をがっちりと握りしめた。
な、なぜ握る必要が
「もう、最高に素敵です。」
「…は?」
「いままであなたが言うように、一夜限りといわれるようなこともしてきました。まあ相手は男性ですが…しかしそういった方たちはやはり、慣れている方が多いと言いますか、反応は一通りというか。やはり、」
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