第2話

俺の場合?人によって違うのか?

「…若すぎるようにみえたので」

「え?!それだけ?!」

それだけでマーク外されたのおれ?!

「なんですか、」

ええ、じゃあなんでいまこんな状況

おれの思ったことがわかったのか軽く咳払いをして目線を外す吸血鬼。

「あのときは、1回きりだとおもったんです。若いようですし、定期的に血を吸われることに慣れてる人のほうがこちらもヤリやすいですから。」

ヤリやすい?!卑猥なんだけど

「お兄さんの口から聞くと破壊力すごいですね」

「……まあ、だけどその様子をみると結構通われてる様ですし、慣れているのならそれに越したことはないと…」

「無視ですか。でもまあ、そういうことなら」

血を抜くことに余念がない。こんな都合いい状況逃してたまるか。

「え?!いいんですか?!もっと考えませんか?!」

と、おもって了承の言葉を出せば逆に吸血鬼がオタオタと焦り出す。

「え、利害一致というかウィンウィンな関係…みたいな」

「ウィンウィン…新しいタイプです」

なぜか うんうんと頷くお兄さん。

「でもはじめは心配なので仮契約から」

ええ…契約なんかあるのか…漫画とかではその都度女の人つかまえて吸ってるのとかばっかだけどな…あ。あ?



「ねえおれ男ですけど」

なんとも不思議そうな顔をするお兄さん。

「はい。見たらわかります」

「そっちもありなんですか」

「まあ、ありです」

ありなのか…

「それでですね、契約するにあたって試しに吸ってみて、相性の良し悪しをみたいのですが…」

はじめは指先から

といって吸血鬼はおれの手を掬って口元にもっていく。薄く開いた赤い唇から尖った歯の先がみえて歯の間からちらりと覗いた血の色の舌がおれの指先を舐めようと、

「ちょっ、とたんま…」

したところでおれは我に返って手を引き戻す。

吸血鬼は不思議そうにおれの目を見つめる。

「なんです?試しに吸ってみないと」

献血で慣れてるからといっても少しは訳が違いますよ?

なんかはじめに言われたことと矛盾を感じるけどもういいや。

「試しに吸うとかはいくらでもいいんですけど、この状況ですし…おれ手洗ってないですし…」

「なんだ、そんなことですか。場所変えますか?幸い2人きりになれるところはあるようですし」

そんなこと…?駅前で…人が往来する駅前で…今だって少なからず視線を感じるのに…

「カラオケ、居酒屋の個室…は未成年なので無しですね。あとはどこかのトイレ。あなたのことを考えると座ることの出来るところが良いのですが」

「…座れられればいいんですか?」

人目がなくて座れるところ、

「まあ、立ったままはきついと…あ、ホテルでもいいですけど。はずれのほうに行けばあると、」

「いえ!いいですおれん家いきましょう電車ですぐなんで!」




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