第28話√絆
寝ずに迎えた朝日が眩しい。
緊張もなくなって一気に疲労が出ているのが分かった。
バタバタバタ・・・
何かが近づいてくる。
上を見ると、ヘリコプターが近づいてくるのが見える。
私たちはそのヘリコプターに対して、思いっきりの身振り手振りでここにいるアピールをした。
気づいてくれたのか、ライトが点滅する。
近くの広場に着陸する。
そこから出てくる黒服にサングラスの大男2人と少し老いた男。
??「どうやら君たちだけのようだね。10日間お疲れ様。」
そう言うと笑った。
末尾「何の目的でこんな・・・」
言葉が詰まる。
??「まぁそういう話は帰りながらしようじゃないか。」
疲労感と達成感だろうか。老いた男からは敵意が見えなかったのもあり、警戒心なくそのヘリコプターへと乗った。
帰路のヘリコプターの中が飛び立つ時に首筋に大男に何か打たれてしまった。
急に睡魔が襲ってきた。能力を使う暇もなく視界から老いた男と新緑が霞んでいった。
ジリリリリリリ。
腕を伸ばし、時計を止める。
末尾「低血圧に朝は・・・」
そう言いながら窓から夏の到来を知らせる太陽を恨めしく思う。
いつものように支度を済ませて、学校に向かう。
そんな毎日通っているはずの通学路を懐かしく思う。何でだろうか。
不思議に思っていると夏服から見える左腕に見覚えのない傷がある。いつついたのだろうか。
そんなことを考えて、電車に乗る。
いくら考えてもこの傷に覚えがない。そこまで目立つものでもないので忘れるのに専念しよう。
駅から出ると目の前に近くの高校の女子が集まっていた。
朝からテンションが高くて結構なことだ。
関わりたくないなと思っていると、その中の1人と目が合った。
新緑「螢?」末尾「菫?」
お互いが驚く。周囲にいた新緑の友達も「え、菫。知り合い?」と興味を示し始める。
なんで菫という言葉が出てきたか分からない。それはお互い様のようだった。
登校時間が迫っていたが、今日ぐらいどうでもよくなってきた。
新緑「悪い、今日学校サボるわ。伝えといて~。」
「え?ちょっと・・」「菫?」
そんな声が聞こえていたが、気にせず私の前に立った。
新緑「今日学校サボるけど、どうする?螢。」にやりと笑う。
末尾「私も行くつもりなんかないけど?菫。」こちらもにやりと。
それから私たちは友達になった。
初対面なのに何故か親近感というか不思議な感情が湧いてきて。
私たちは会うと必ずといっていいほど、出会ったときの話をする。お酒が入るとより新緑は熱が入ってしまうのだが。
しかし、今でも何でお互いの名前を知っていたかは分からない。
そして、この話をする時は決まり文句で終わる。
末尾・新緑「これからもよろしくね。」
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