第18話
まだ昨日の足の痛みが引かない。
雨風が吹き荒ぶ中でそんなことを考えていた。
依然雲が厚いが、少し明るくなってきた。日が出てきたのだろう。
新緑「螢、おはよ。」
昨日の一件からさん付けが消えている。そんな些細なことを思いながら挨拶を返す。
新緑「今日も雨強いね・・・」
末尾「そう、ね。」
新緑「けど、まだ薬の残りもあるし、螢の怪我のこともあるし、今日はここで過ごさない?」
新緑の意見は正論だった。
末尾「菫、少し考えさせて。」
新緑「うん、分かった。」
少し考えてみることにした。
その間ずっと新緑は少し不安そうな顔をしながら私を見ていた。
新緑の提案に乗ることにした。
この雨の中では相手を見つけるのも難しいし、移動で体力が奪われてしまう。そして足の怪我。
末尾「菫の提案に賛成するよ。」
新緑の顔が天気とは間逆に晴れ渡る。
この島で目覚めてから6日。
色々な出来事があった。何もしないと決めて肩の力が少し抜けていくのを感じた。
新緑「足大丈夫?」
少し腫れている私の足を心配してくれている。
末尾「少し痛いけど、大丈夫だと思うよ。」
新緑「今日はちゃんと休んでね。」
そう言うと、私を横たわらせて、膝枕を始めた。
新緑「どう?痛くない?」
末尾「うん、いい感じ。」
とても心地よい時間だった。
雨音を聞きながらいつの間にか少し寝てしまっていた。
新緑「ふふ」
目が覚めたら新緑が微笑んでいた。
末尾「菫?」
新緑「よく眠れた?」
末尾「お陰様で。」
新緑「なら良かった。」
どのくらい寝てしまったのだろうか。空の明るさでは判断できなかった。
そして、機嫌のよさそうな新緑に尋ねる気がなぜか起きなかった。
食事を済ませ、そのあとはお互いのことについて語り合った。
また、なぜかお互い寄りかかるような姿勢をとっていた。
いつしか私も新緑に対して心を許しているのに気づいた瞬間だった。
語り合うのに熱くなってるうちに雨が弱くなっていた。
相変わらず風は強い。
今日何もせずにお互いのことについて話していて、私は新緑と親近感を感じるようになっていた。
新緑と会うまではただ1人生き残れば良いという考えしか持てていなかった私が何か少しずつではあるが、新緑の影響を受けているようだった。
話は尽きなかった。
1日中会話は止まらず、いつの間にか夜を迎えていた。
まだまだ話したそうにしている新緑をなだめるように話しかけた。
末尾「明日は晴れそうだし、早めに寝ない?」
私の提案を新緑は受け入れてくれた。
昨日までと違い、寄り添いあうように7日目を迎えるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます