第5話

「私、猫又 美子々って言います。仲間にしてくださいっす!」


そう言いながら近寄って来ようとするが、身構え、川に戻そうとしていた水も工具の形にする。


猫又「あれ?もしかして近寄れもしない感じっすか?」


月待「当然です。寄られた瞬間能力で攻撃されては困るので。」


距離があるからと言って安全というわけではないが逃げる際に距離はあるほうがいいため静止する。


猫又「もう一度言うっす!仲間にして欲しいんっす!」


月待「仲間にしろと簡単にいいますが、仲間にして数歩後に後ろからやられる可能性があります!」


猫又「それもそうっすね・・・ですがこれから言うことを聞けば仲間にしたくなるかもしれないので聞いてほしいっす!」


猫又は続ける。


猫又「まずあなたの能力は水を操る能力だとお見受けします!その能力でどうやって人を見つけるつもりですか!」


痛いところを突かれる。そう、この能力では人を探すのに向いていない。行き当たりばったりしか探す方法がないのだ。というか自分の能力すぐ見破られすぎである。分かりやすいとはいえ室戸にもすぐにバレているし。


猫又「自分は五感強化!聴覚を利用した索敵ができっす!」


月待「証拠を見せてください!」


五感強化が本当だとしたら喉から手が出るほど欲しい。が、嘘でないというわけではないのだ。


猫又「そうっすねー。」


としばらくこちらを見つめた後、


猫又「ズボンにだいぶ土がついてますね。昨日歩き回りました?上にも土が付着しているのでこけもしましたか?そして服からカレーの匂いがします。昨日の夜に食べたんっすよね?」


たしかに昨日山登りをした。そして昨日リュックの中に入っていたレトルトカレーを食べた。見事に当たっている。


月待「能力は分かりました寄ってきてください。大声出すの疲れるんですよね。」


猫又「本当っすか!」


猫又はすぐさま寄ってくる。正直のどから手が出るほど欲しい。だが確認しなければならないことがある。


月待「能力は嘘じゃないと分かりました。だが、君が夜、薬を盗んでどこかに行かないとも限りません。」


猫又「盗んだとしても今持っている二本とあなたの二本でたったの四本しか集まらないっす。それだけでは9日後まで持たないっす。自分の能力は五感の強化で戦闘向きじゃないので集められないっす。」


理に適っている。要するに自分は戦えないから戦える人を探していたのだろう。


猫又「というか仲間にしてくださいお願いします一人じゃとてもじゃないけど生きていける気がしないし寂しいんです下着でもなんでもあげますしなんでもしますからぁ」


了承をしようとした瞬間に泣き付かれた。対応に困る。というか寂しいからってこんなにがっつく必要はないと・・・。


月待「ん、今何でもするって言った?」


猫又「え、ええはいっす。」


猫又は戸惑いながらも返事をする。自分は猫又のある部分を一別する。十分合格点だった。


月待「よしじゃあ今日からよろしく。まだ名乗ってなかったかな月待 渚です。」


猫又の顔が明るくなる。


猫又「はいっ。今日からよろしくっす!」


こうして自分は猫又と行動を共にすることにした。






月待「そういえば、なんでもの事だけど夜にお願いしてもいいかな?」


猫又「あ、そうっすか。分かりましたっす。」


受け答える猫又はそうだったという顔と共に赤面しているように見えた。

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