第12話
それってさ 2
「誰だ?」
玄関へ向かう不細工に、特に興味はなかったがそう聞く。苦笑いというか微妙な顔をした不細工は何も答えず行っちまったので、戻るまでさっき出された安そうな茶を飲んでいる事にした。
つか、こんな奴んとこ訪ねてくるやつなんているんだな。どうせ不細工と同じような地味なやつだろうけど。
玄関の扉を開く音がして、「邪魔するぞ、由木」と誰かの声がした。何かすげえ聞き覚えのある声だが、思い浮かんだ人物はこんなところには絶対来ねえだろう。タニンノソラニって奴だな。
「また来たわけ」
「お前がいいと言うまで何度でもくるさ」
「断る」
どうやら不細工に何かを頼んだが、承諾して貰えないようだ。あんな何も出来ねえような奴に何を頼むんだか。
「いいから入れさせろ」
ん、部屋に入ってくんのか?俺がいる事が親衛隊にバレたら不細工がやべえな。まあ俺には関係ねえけど。ニヤニヤしながら味の薄い茶を口に含む。
「嫌だっつの…」
「何故だ。普段からは想像もつかないほどあんあん喘ぐのを僕だけは知ってるぞ。
入れられるの、気持ちいいんだろう?前みたいにいい所を突きまくってやるぞ。」
っ!?!?
ブハッ!!!
思わず飲んでいた茶を吹き出す。
ハア!?あいつあんな顔して非処女かよ!?
誰だよあんな不細工抱きたいとかいう趣味悪い奴は!!
俄然来客がどんな奴なのか気になり、ソファから腰を浮かせたとき。
「だから入れさせ…、
……誰の靴だ?」
ああ、俺がいる事に気付いたらしい。この分だと俺が行かなくても向こうから来るかもしれねえな。
浮かせた腰を元に戻し、修羅場の予感に胸をおどらす。
「誰でもいいだろ」
「いいわけないだろう。誰だ?まさか僕の誘いを断るのは、こいつのせいか?」
「ハア?」
「もう新しい男を作ったのか!?あいつか、お前の友人のいけ好かない茶髪の奴か?」
「茶髪って河崎?」
「名前など知るか。兎に角あいつのせいで僕とヤらないなら今すぐ別れろ。というかお前の尻は僕が開発したんだから僕のモノだ、他人の汚物など入れるな!」
どけ!と怒鳴り荒々しく部屋に入ってきたそいつの顔を見た瞬間、お互いに目を見開いて驚愕した。
「…はっ!?九条!?」
「お前、こんな所で何して…!?」
九条の後ろから付いてきたあいつは、「ほらな」とでもいいたげな顔をした。
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