第17話 忍、親友と練習する
「というわけで小姫ちゃん、魔法を覚えましょう。」
「忍ちゃん唐突すぎて意味が分からないよぉ。」
唐突ですか?私にとっては今更なんですが、小姫ちゃんには説明が必要なようですね。
仕方ありません。
「では小姫ちゃんにも分かるように説明しましょう。」
「うん。お願い。」
では、ゴホン。
「説明しよう!ダンジョンが世界各地に現れ今世界は剣と魔法の世界と融合しようとしている!そして私、波瀬忍と親友の
「なんかとっても説明ちっくでメタいよ忍ちゃん!」
「ここで次回予告!」
「じ、次回予告?」
「河川敷で練習する美少女高校生2人に襲い掛かる魔の手!絶体絶命のピンチに秘められた魔力が覚醒する!」
「えぇ、私達襲われちゃうの?」
「次回、魔法少女、忍と小姫 第3話。姫ちゃん凌辱危機一髪。」
「私凌辱されちゃうの!?り、凌辱はダメだよぉ!そ、そりゃ、お互い合意の上なら話が変わるかもしれないけど…無理矢理なんて…。」
相変わらず小姫ちゃんはいいリアクションしてくれます。
そしてムッツリなところも好感触ですよ。腐フフ…どんな想像しているんでしょうか。
「というわけです。分かりました?」
「分からない!全然分からないよ忍ちゃん!」
小姫ちゃんなら分かってくれると思ったんですが、残念です。
ではちゃんと説明しましょうか。
「この前ダンジョンができたじゃないですか?」
「うん。できたね。」
「そしてモンスターがいたじゃないですか?」
「うん。いたね。TVで見たけど実際見ると怖いね。」
小姫ちゃんはうんうん頷いてくれます。
ちゃんと分かってくれたみたいです。
「そこまで言えば分かりませんか?」
「…ごめん。分からないよ忍ちゃん。」
「仕方ないですね。つまりはラノベの世界が現実になったということです。ならば魔法もあるはずです!ということで魔法の練習をしたいと思います。」
小姫ちゃんは頭を抱えてますが、どうしたのでしょう。
とてもいい案だと思うのですが。
「忍ちゃん…。現実とラノベをごっちゃにしちゃダメだよ。」
「小姫ちゃん、何事も挑戦です。失敗は成功の母ともいいますし。まずはやってみないと。」
「失敗すること前提なんだね。それに挑戦する方向を間違ってる気がするよぉ。」
むぅ。そう言われるとそんな気もしないでもないですが、先輩さんに魔法の練習しておくと約束しましたので(約束はしてないぞ。お前が勝手に言い出しただけだ。BY九条)おや?何か聞こえた気がしますが気のせいですね。そういうことにしましょう。
「大丈夫です。いいですか?魔法の使い方なんていくらでも研究されていますので大体分かりますよ。」
「忍ちゃん分かるの?」
「はい。大抵の魔法発動にはまず魔力を感じることが必要です。これには作品によって違いますが使える人に体に内包している魔力を起こしてもらったり、自分の中を見つけて何やら暖かい物を感じたりと様々ですが、今回は自分の中の魔力を探すところから始めてみたいと思います。」
「自信ありそうだけどそれってアニメでよくある展開なだけだよね?」
「大体こんなものはイメージで解決できます。イメージは物理法則を超えるんですよ。」
「無茶苦茶だよ忍ちゃん!」
「まぁ、やるだけやってみましょう。小姫ちゃんも試してみてください。」
「うぅ。しょうがないなぁ。やってみるよ。」
さすが姫ちゃん素直さんです。
では私も集中しましょう。
イメージです。イメージすればできるはずです。
まずは定番。自分の中の暖かい物を探します。
………………………見つかりません。
探す時間が短かったんでしょうか?もう一度です。
………………………………………………………………………………………………やっぱり分かりません。
次です。
空気中にある魔力を取り込んで自身の力に変えるのです。
先程のが内気であれば今度の物は外気です。
大体はどちらかですので試してみましょう。
息を大きく吸って、吐く。
空気中にある魔力を体内に取り込むイメージで息を吸う。
すぅー、はぁー。すぅー、はぁー。
…………おかしいですね。
もう一度。
すぅー、はぁー。すぅー、はぁー。
………ダメですか。
もしかしたら魔力が馴染んでないのかもしれません。
ジョー〇ターの血が必要かもしれないです。…いや、あれは吸血鬼にとって必要なだけだから違いますね。
小姫ちゃんはどうでしょうか?魔法少女になれたでしょうか?
「小姫ちゃんどうですか?」
「忍ちゃんこんなの無理に決まってるよぉ。」
むぅ。小姫ちゃんもダメでしたか?
そうなると外部からの衝撃で目覚めるタイプでしょうか?
都合よく魔法先生でもいればいいんですが、生憎知り合いにそういった人はいないです。
仕方ありません。魔力の練習は今度にしましょう。次は詠唱の練習です。
「魔力は他に理由があるのかもしれません。なので詠唱の練習をしたいと思います。」
「なんでそんな前向きなの忍ちゃん!」
なぜってそんなの決まっています。
「先輩さんに魔法の練習をしておくと約束したからです。」
「先輩さんって忍ちゃんのバイト先の社長さんだよね?」
「そうです。その先輩さんです。」
「社長さんなんて約束してるんですか!お蔭で忍ちゃんが大変なことになってます!」
「先輩さんには触手魔法を使いたいと言ったんですが断られましたので雷魔法を使いたいと思います。」
「よかった。忍ちゃんが触手使わなくて本当によかった。使えたらきっと標的は私だもん!」
小姫ちゃんはよく分かってますね。さすが私の親友さんです。
「もちろんです。小姫ちゃんには忘れられないくらいの思い出をプレゼントしたかったのですが、先輩さんにダメだと言われてしまったので諦めました。」
「忍ちゃん、私そんな思い出はいらないよ!」
「小姫ちゃんはムッツリですからね。本音は逆なんでしょう?」
「も、もう忍ちゃん私いい加減怒るよ!」
と、言って顔が赤いですよ。小姫ちゃん。
そんなところも可愛いですね。怒られてしまったのでそろそろからかうのはやめましょうか。
「すみませんでした。小姫ちゃんが可愛いのでからかってしまいました。」
「もう。忍ちゃんはいつもそうやって誤魔化すんだから。」
そんな両手を腰に当てて言っても迫力ないですよ。
むしろ業界的にはご褒美になるのを分かってないのでしょうか?
「では、気を取り直して魔法の詠唱をしましょうか。」
「忍ちゃんまだやるの?」
「当然です。小姫ちゃんが凌辱される寸前まで続きます。」
「忍ちゃんさっきの設定本気だったの!」
もちろん本気です。
敵が現れるかは未定ですが。
さて、詠唱を試してみましょうか。
魔力は感知できませんでしたが、魔法詠唱で目覚めるパターンもありますので試してみる価値はあります。こうして私と小姫ちゃんは日が暮れるまで魔法練習を行いましたが、結局使えませんでした。
仕方ないのでまた今度練習しようと思います。
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