【2分読み】 コズミック☆ガール

 四畳半の下宿で、裕貴はパンツを下ろしていた。

 上京して二年。入学当初に思い描いていたキャンパスライフは脆く崩れ去り、裕貴の生活は怠惰の一途を辿っていた。


「はあ、可愛い美少女とか、降ってこねーかな」


 裕貴のいつもの口癖だ。自分から行動を起こさないくせに、こんなことばかり言う。

 その時だった。

 凄まじい爆音と共に、何かが四畳半の天井を突き破って墜ちてきた。

 舞い上がる埃と屋根の破片。


「な、な、なんだー!?」


 驚き飛び退く裕貴。

 白煙が部屋を包み、落下してきたものの正体はわからない。

 部屋の隅で様子を伺っていた裕貴だったが、やがて埃が収まると、落下物の全容が見えてくきた。


「お、女の子……?」


 目を凝らす。信じられないとばかりに裕貴は目をこすった。

 目の前に現れたのは、なんと、裸の女の子だった。

 意識を失っているのか、死んでいるのか、ピクリともしない少女。

 裕貴は恐る恐る少女に近づいた。


「し、死んでいるのか……?」


 裕貴が少女の頬に手を伸ばした瞬間、少女の瞳が開いた。


「キャー!!」


 少女の悲鳴に思わず飛び退く裕貴。


「変態!!痴漢!!エッチー!!」


 少女は叫びながら、手当たり次第に屋根の破片や床に散らかされていた空き缶をを投げつけてくる。


「痛っ!ちょっ!?まてまて!!」


 叫ぶ裕貴。だか、少女は一向に手を緩めず、陶器製の貯金箱を裕貴に投げつけた。

 貯金箱は見事裕貴の頭部を捉えた。プシューっと音を立てて裕貴の頭から血飛沫が上がった。

 倒れこむ裕貴。

 もうろうとする意識の中でも、なんとか両手を上げて降参のポーズを取る。


「ちょっとまて!なんなんだよいきなり!」


「うるさい!変態!死ね!」


 そう切り捨てると更にビールの空き瓶を投げつけてきた。

 確かに少女の言う通り、裕貴の格好は変態的であった。裕貴は下半身を露出していたのだから。しかし、ここは裕貴の自宅である。どんな格好をしていても裕貴に非はないはずなのだ。

 しかし、少女は問答無用で攻撃を加え、裕貴はすでに虫の息であった。

 裕貴の脳裏に甦る思い出の数々。

 ゆっくりと裕貴の意識は薄れていったのだった……。



 つづく。



 次回予告「謎の少女に殺されてしまった裕貴。天国での生活が始まる!」

 こうご期待!

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