【1分読み】ショート会話劇 ちょっと
野沢
「ちょっと、山田君。出動中に言うのもなんなんだけど言い忘れてしまうと困るから今のうちに言っておくね。今日の夕方にね。来客があって応接室を使うからさ、ちょっと掃除をしてもらってもいい?」
山田
「あ、はい、分かりました。」
野沢
「ちょっとちょっと、どこいくの?」
山田
「え?応接室って署のですよね?」
野沢
「そうだけど。今じゃなくていいんだよ!あとででいいよ!今、僕達には仕事があるだろ?」
山田
「そうですけど……。じゃあ掃除は今じゃなくてもいいんですね?」
野沢
「優先順位ってもんがあるだろ。」
山田
「はぁ。ただ私が仕事してるにも関わらず、野沢さんがわざわざ言うので急な用事だと思ったんですけど」
野沢
「今の仕事をほっぽりだして帰る必要なんて全くないだろ。夕方って言ってるだろ!あと、お前さ適当に済ませようと思っただろ?」
山田
「え? だってちょっと掃除してって言ってたじゃないすか。ちょっとって位だからサッと終わらせようとしたんですが……」
野沢
「ちったあ考えろよ。じゃあ、ちょっとやめてくださいよって言われたらちょっとだけやめればいいのか? 大体は続けてていいのか? ちょっとラーメン食ってきますって言ったら全部食っちゃいけないのかよ? ちょっとしか食べちゃだめなのかよ!?」
山田
「それとこれとは違う気が……、じゃ、ちょっと待ってくださいって言われたら何分待てばいいんですか? 5時間くらいですか?」
野沢
「そういう事言ってんじゃねえんだよ!」
山田
「野沢さんこそ屁理屈こねて!」
男
「あ、あのーすいません……」
山田
「なんですか!?
今話してる最中なんですけど!」
男
「あんたがた……、救急隊員なんだろ……。なんで交通事故の現場で討論始めてんだよ……。早く病院に連れてってくれよ……。ホント死にそうなんだけど」
二人
「今、話してる最中なんで、ちょっと待っててください!!」
男「ちょっとかぁ……」
完
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