【3分読み】魁! 女子高生力士まこちゃん
極竜山は悩んでいた。最近どうも体の切れが悪い。体調も優れない。しかし、それも当然のことだった。目の前には包装紙にくるまれたハンバーガーが置かれている。 もちろん、コーラとポテトも添えて。
こんなジャンクフードばかり食べていたら体を満足に作ることもできない。そもそも運動という運動は学校の授業でしかしないのだから筋力がつかないのも致し方ないが。
(おい、まこや。もっとしっかりした物を食わねば体重は増えぬぞ)
「うっさいわね!極竜山は黙っててよ!そもそも体重増やす気なんかないんだから!」
(力士が体重増やさないで何を増やすというのだ!ちゃんこを食え!ちゃんこを!)
「ホントうるさいわね!」
毎度の会話である。女子高生のまこちゃんはどこにでもいる普通の女子高生である。江戸時代の力士の亡霊に取り付かれている事を除いて。
「高山? 何一人でしゃべってんの?」
ハッとする。
「ななななんでもないですよ!間宮先輩!」
まこちゃんは憧れの間宮先輩と初めて二人きりでデートに来ていたのだ。正確に言えば極竜山がいるので三人だが。
「そんな事より早くボウリング場いきましょー!」
まこちゃんはボウリングが得意なわけではないが憧れの間宮先輩と一緒ならどこでも楽しいのだった。
「よーし!今日は思いっきり投げるぞー!」
(投げる?なにやらおもしろそうじゃの。どれ、まこの戯れにつき合ってやるかの)
「きゃー!間宮先輩うまーい!」
間宮先輩がストライクを取る度にまこちゃんはぴょんぴょん跳ねた。
「ひゅーひゅー!熱いねぇ!」
「今夜はあたしにストライクってかぁ!」
「きゃ!なんですか?あなた達!」
まこちゃんがはしゃぎ過ぎたせいかはわからないが、柄の悪いチーマーに絡まれてしまった。ダボダボのTシャツに、ジャラジャラネックレスに、つばが真っ直ぐの野球帽。
「きゃー!コッテコテのB系よー!」
「やめるんだ!彼女に手を出すんじゃない!」
間宮先輩がまこちゃんとチーマーの間に割ってはいる。
「がふっ!!」
そして2秒もたたずに間宮先輩は殴り倒された。
「きゃー!間宮先輩!きゃー!」
「うっせーんだよ!ぶーす!」
チーマーはまこちゃんを押した。まこちゃんは尻餅をつく。
「もう!許せない!こうなったら極竜山!変身よ!」
(仕方ないのぉ)
サッとカバンから軍配を取り出す。そして、それを高く掲げた。
「力士パワー!!チェーンジアップ!!」
まばゆい光に包まれるまこちゃん。
「うわー!まぶしい!」
たじろぐチーマー達。
くるくると回転しながら服が溶けマワシ姿となり髪の毛がちょんまげになる。光が収まるとちょんまげ姿のまこちゃんが姿を現した。
「世界に悪が這える時!遠い過去からマワシを巻いて!ツッパリ一つで全て解決!正義の使者!スーパーまこちゃん!ここに見参っ!!」
四股を踏み、ポーズを決める。
(ふん、どこからでもかかってこい!)
ポカーンと口を開けるチーマー達。
「へ、へ……、変態だーっ!!!」
「助けてくれーっ!!!」
それぞれ声をあげ逃げ去るチーマー達。
そして、誰もいなくなったボウリング場に虚しさだけが残ったのだった。
★次回予告★
ついに二人目の女子高生力士が現れた!
漆黒の土俵に立つあいつは敵?それとも味方?
次回!女子高生力士まこちゃん
『ふんどしは死の香り!?』
見ないと櫓投げするわよ!
終。
くっだらねー!
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