我々は小さな船の宇宙人だ


 かなりの怒号が響いた。


「エネルギーの充填はまだかっ!」

「まだです! 最初の被弾でタービンの1つがやられてしまったようです!」

「修理できないのか!」

「隔壁でブロックされていますが消火活動で手一杯です!」

「何パーセントだ?」

「15、いえ、16パーセントの被害が」

「だったら今すぐ避難を行い、全体の四分の一を閉鎖しろ。後に攻撃に転じる」

「そ、そんな! 無茶ですよ!」

「無茶もヘチマもない! ここで反撃しないと我々には勝ち目がないんだぞ。例え戦艦の一部を守れたとしても負けてしまっては意味がない!」

「しかし、それだけではありません。艦長の仰った閉鎖ブロックの一部には無事な別のタービンが存在します。それすらも捨ててしまっては、エネルギーの充填が間に合いません!」

「―――いいや、間に合う」

「え」

「貴方は科学班のおやっさん!」

「限界までエネルギーを加速させるのだ」

「それでは機体が持ちません!」

「そうではない。残った別のタービンをあえて犠牲にするのだ! 合計三つタービンを失う事になるが、地獄に自ら飛び込めたのなら我々にも勝ちの目はあるだろう!」

「た、確かにっ!」

「流石だな、おやっさん! よし、隔壁封鎖後にエネルギー充填っ!」

「はい、予備のタービンを加速させます!」

「やってやれ、艦長っ! 我々の意地をみせつけてやれ! 予備を使い切るんだ!」

「おうっ! てっぇえええええええええええええええっっっ!」


 ※

 

 その時。

 会社から帰宅していたレイコは鞄からスマホを取り出していた。

「……あれ。もうスマホのバッテリー切れそうになってる。なんでだろう。私は特に使ってないのになぁ」


 タイトルEND

 

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