アルバート、後で八つ裂きにしてやる。忘れるんじゃねぇぞ、絶対に殺してやるからな。

「あんのクソ野郎、ただじゃおかない」

 建物の陰に隠れる黒服の男達を睨んで僕はため息をついた。仕事が終わったあと、腕を掴まれ数人がかりで拉致られた。確かにバツゲームはバツゲームだ。負けは認める。

 数日前、豆まき大会で惨敗した僕に課すバツゲームとしてそう決まったのはもうどうでもいいさ。煮るなり焼くなりなんでもすればいい。

「あいつ……」

 なぜか昔から化粧が上手い幼馴染は、僕の顔を完璧に作り上げている。変声期がなかった僕の声は、ボーイソプラノが出来るくらい高い。

 女の声は出せると思う。

「あれ?お嬢ちゃん。誰か待ってるの?」

 演技力には自信がある。

「ううん。わたしね。ここでお花を売ってるの。お兄さんもいかが?」

 その瞬間、建物の陰に隠れた数人は唖然とした顔をするが、親友である幼馴染だけは違う。プロデューサーみたいな顔をして、「よしいいぞ。引っ掛けろ」と口パクをする。

 本当にあいつ、後で覚えておけ。





2017/2/8


節分企画、「https://twitter.com/i/moments/827481912998404097」『レウクロクタ城、豆まき大会』の後日話。


ロドルくんが女装する罰ゲーム。

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