標的にすべきは白き軍服
「将軍閣下」
と、呼ばれ始めたのは十五を超えた誕生日からだった。まだ裾を長めに仕立てた方がいい年齢だったが、ぴっちりと自分の背丈に合う服を着させなければと、周りは思っていたようだ。身長だってまだ伸びるのに。
「お坊っちゃん」
と、周りはまだ自分のことをそう呼ぶ。
仕立ててもらった服は確かに自分の体型に合っていたが、身長が伸びたら着られなくなるじゃないか。侍女にそう漏らすと、その時はまた作ればいいのです、と言った。
「お兄様!」
と、妹が自分の服を見て駆け寄ってきた。
ふんわりと裾が広がったドレスの彼女もまた、自分と同じ理由で新しく仕立てられた服を着ている。
「将軍閣下」
と、言って自分に従う従者の軍服は、闇で塗り固めたような漆黒。それに対して自分は、闇に反する光さえも照り返すような純白の軍服。従者に囲まれると自分がより目立つ。
一目で英雄王の末裔と分かる象徴的な服。
2017/2/18
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます