標的にすべきは白き軍服

「将軍閣下」

 と、呼ばれ始めたのは十五を超えた誕生日からだった。まだ裾を長めに仕立てた方がいい年齢だったが、ぴっちりと自分の背丈に合う服を着させなければと、周りは思っていたようだ。身長だってまだ伸びるのに。

「お坊っちゃん」

 と、周りはまだ自分のことをそう呼ぶ。

 仕立ててもらった服は確かに自分の体型に合っていたが、身長が伸びたら着られなくなるじゃないか。侍女にそう漏らすと、その時はまた作ればいいのです、と言った。

「お兄様!」

 と、妹が自分の服を見て駆け寄ってきた。

 ふんわりと裾が広がったドレスの彼女もまた、自分と同じ理由で新しく仕立てられた服を着ている。

「将軍閣下」

 と、言って自分に従う従者の軍服は、闇で塗り固めたような漆黒。それに対して自分は、闇に反する光さえも照り返すような純白の軍服。従者に囲まれると自分がより目立つ。

 一目で英雄王の末裔と分かる象徴的な服。





2017/2/18

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