とある黒幕の戯言
むかーし、むかしのことなんだけどさ。
なんか、英雄王ってのがいたんだよね。ちょーハイスペック。聞く?聞いちゃう?男爵家の三男坊でー、剣の達人でー、十四歳とかそのくらいで初陣するの。まじウケる。
で、なんかめちゃ強くて、バリバリ勝っちゃうんだよ。ほんと、周りの国ぼろ負けー!
で、なんか若いのに周りの国々を負かしちゃって、国を大きくするんだよねー。
マジパナイ。
で、なんか国では英雄。RPGだと、勇者レベル。ちょー強いの。ほんとぱない。
銅像とかできちゃって、信仰されちゃって、ほんと神レベル。てか神。いやほんと神。
でもね、死んじゃうんだよねー。そりゃ人間だし?あっけないっしょ。でもさ、国では英雄と呼ばれててもさ、他の国からはめちゃ恨まれてるんだよ。そりゃさぁ、周りの国は滅ぼされちゃってるわけだし?国なくなったわけだし?住むとこない。やばいわけよ。
でもー、それを晴らすところがないわけ。
溜めちゃうわけ。そしたらさぁ、その怨みが固まっちゃってなんかできたわけ。
ほんとウケる。
それをさぁ、本に封じ込めたわけ。開けないようにね。でも、封じ込められたやつも黙ってはいられないわけよ。どうにかして英雄王のところに行ったわけ。なんかすごい。
本に封じ込めたやつはね、実態なんてないの。だって念だもん。実体ある方が怖くない?やばくない?でも、消えたくないから乗り移ったわけ。
英雄王はそのあと死ぬんだけど、すぐ生まれ変わったわけ。なんか似た感じのやつにね。その実体が無かった奴は、自分の役目はそれだと思ってそいつに取り憑こうと思ったの。でもさ、さすが英雄王の魂というか、弾かれんの。やばい。てかぱない。
いみわかんない。
仕方ないから周りを攻めてみるんだけど、英雄王の魂のやつの周りに事件多いのね。なんか色んなことに巻き込まれる。やっぱ恨み買ってんのかなー。ちょっとウケる。
だからさぁ、そいつにずっと付きまとってたら、面白いことが起こるんじゃないかなぁって、付きまとってんの。暇だし?やることないし。ヤバイこと起きるし。
実体なんてないけど、溶け込みやすいし、馴染みやすいし、この取り憑いた体も気に入ってるし。色々ちょっかい出せるし。
まじ、英雄王さまさま。
ほんとハイスペック。
まじで楽しい。というわけでー。
全ての語り部、この俺が話をしてみたけど、どうだったかな?黒髪のあの執事くんとか、お転婆な皇女様とか、まぁ他にも色々いるけど。黒髪の執事くんは割と俺の思い通りに動いてくれる。俺だけの操り人形は、本当に扱いやすいよ。俺が命令したことは全てやってくれる。俺は、あいつの親友のあいつのことも手の上で転がしたいんだよね。昔は素直に動いてくれたのになぁ?
ははっ、あぁ、おかしい。
本当に愉しいよ。
最後に、誰かさんは俺が黒幕だとかいうかもしれない。黒髪の執事くんは、少なくとも俺が黒幕だと思ってる。頭が良いあいつのことだ、そりゃ思うよね。
俺が黒幕か否か。
それは答えられないよね。何言ってんだろ、あいつ。本当に可笑しい。ほんと分かりやすくて操りやすいよ。
あー、まぁ答えてあげてもいいよ。
俺はあくまで傍観者。
あいつを地獄に落とすために、俺はただここに存在する。
だからさぁ、愉しませてはくれないか。
俺が俺であるためにも、お前が此処まで堕ちて来い。俺はお前の手綱を握って離さない。
俺さ、あいつの絶望する顔を見るのが本当に大好きなんだよね。
綺麗な顔が歪むのが、本当に可笑しくて、面白くて、堪らない。あいつが泣いて懇願するのが、あいつがやりたくないことを命令して、嫌々ながらも遂行しようとしちゃうことが。本当に大好き。
自分の嗜虐心が疼くっつーか。
俺はそんなあいつが大好きなんだよね。
2017/3/20
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