第4部:「最強のいじめられっ子を仲間にするぜっ」―南国編―

第33話:ねじくれすぎる、こども。

[星暦1550年12月18日、アヴァロン]


「もう直ぐ『聖誕祭』ですね。」

ビアンカはすっかり冬支度になったアヴァロンの街を凛と歩いていた。凛が地上に降り立ってから2度目の年末である。


「アンは白いコートが良く似合うね。ファーがついてるフードがとてもかわいいね。」

凜が褒めるとビアンカは2度3度クルクルと回った。

「だって、『ビアンカ』って名前には「白い」って意味があるんだもん、当然だよ。」

ビアンカは嬉しそうだ。


今日は、グラストンベリーからラドラー卿を迎える日なのだ。凜は、昨年、ラドラー卿の人脈を使って、アマレク政府との交渉が出来ないかどうか計って来た。

 そして、ようやくチャンスが到来しそうなのである。そのため、お礼の意味もこめて、「カフェ・ド・シュバリエ」でささやかなパーティを計画していたのである。


 その「料理長」であるリックの命令で、こうして凜とビアンカが買い出しに来ていた。食材の目利きに関しては凜はからっきしなので、旅団内ではリックの次に料理の腕があるビアンカが助手を買ってでたのであった。そのお陰もあって、良い食材が手頃な価格で手に入り、二人は意気揚々と帰途についていたのである。


シャーウッドの事件が終結を見てからまだ一ヶ月足らず、凜は早くも次の課題に直面しようとしていた。

「ねえ凜、どうしたの、なんだかすごく難しそうな顔をしてるよ?」

難しい顔をして考え事をしていた凛の顔をビアンカが覗き込む。

「あ、ごめん。考え事をしてた。」

凛は慌てて表情を崩そうとした。


「ねえ、ところで、だけど。凛の昔使っていた『眷属語ハイ・エンダーズ』だと『ビアンカ』は何て言うの?」

唐突に尋ねられて、凛は一瞬詰まった。


「『白い』だからな。『シロ』、かな?」

凛がそう言うと、

「私、『シロ』?」

そう言ってまたもう一度回って見せた。


「凜、それだと『ヌコ』につける名前になってしまいますが。」

ゼルが口を挟んで来た。

「『ヌコ』って何?」

初めて聞く単語にビアンカが食いついた。


「ああ、ペットとして飼う『犬猫』を略した言葉だ。ごく一部の人間内で流行った俗語スラングだよ。」

凜の答えに

「ええ?やだ、それじゃ。」

ビアンカが口を尖らす。

「そりゃそうだよね。アン、ごめんね。人間の女の子の名前だと『真白ましろ』とか『白雪しらゆき

あたりじゃないの?」


「ふーん? 凛はどっちがオススメなの?」

「実は知り合いに『真白』はもういるんだ。『白雪』で良いと思うよ。標準語スタンダードだと『Snow white』になるし。あの、おとぎ話のお姫様の名前だね。」

ビアンカは凜の持つバッグの片側の持ち手を取って並んで歩き始めた。

「あ、それ良いかも!? 私にぴったり。ほら、鏡を見て世界で誰が一番綺麗か尋ねるやつだよね!」

「あはは、それじゃあアンが悪役の継母ままははの方にになっちゃうよ。」

ビアンカの生半可な知識にツッコミを入れる。


「アン、それは違います。鏡を見て言うのは『テクマクマ ◯コン、テクマ◯マヤコン』という呪文です。」

ゼルがさらに話を混乱させようとネタをぶっこんでくる。

「ゼル。余計な茶々を入れるんじゃない。鏡は鏡でもコンパクトでしょ。だんだん何の話をしているのか、訳がわからないよ。」


「これは失礼しました。これで私は引っ込むとします。『ラミ◯ス・ラ○パス・ルルルルルー』。」

ゼルがまんまとやり逃げをする。


「ラ◯レス?」

ビアンカが再び聞き違いをする。

「アン、それも違います。それだと若い頃、友達のママをNTRした年齢不詳のオジサンになってしまいます。」

美味しいボケの臭いを嗅ぎつけたゼルが華麗に復活した。(D⚪︎NAの監督さんのことです。作者註。)


「カフェ・ド・シュバリエ」に着くとメグとマーリンが飾り付けをしており、思いのほか華やかになっていた。意外にメグがノリノリで、店主のヘンリーが感心していた。

「マーリン、少し傾いていると思うのだが。」

きびきびとマーリンをこき使うメグを

(最近、塞ぎ込んでいたので、気分転換には良い機会になったかもしれませんね。)

凜は目を細めて見つめていた。


「すまん、だれか厨房こっちも、手伝って。」

リックが厨房から顔を出す。

「ごめん、ごめん。今行く。」

ビアンカと凜が厨房に入ろうとしたが、凜の方は断られた。


旅団長りんはゼルに憑依ポゼッセオしてもらって。じゃないと役に立たないから。たまには俺の苦労も味わってみれば?」

「なるほど、それは名案です。」

リックに促され、ゼルがその気になる。

「ちょ、ちょ〜、ゼル、チョット待っ⋯⋯」

凜の断末魔をマーリンとリックは心地よさそうに聞いていた。


約束の時間をやや過ぎた頃、ラドラーの家族が、迎えに来た透の家族と共に店にやって来た。

「遅れてすまん。お、なかなか本格的だな。ワイン持ってきたぞ。でも、未成年ばかりだから乾杯用だけだな。後は大人オレたちで飲もう。」


透を先頭に次々に入ってくる。

「ラドラー卿、この度はご尽力ありがとうございます。」

凛がラドラーと握手を交わすと

「今夜は無礼講だ。若いくせに、大人に気を使いすぎるなよ。」

逆に気を使われてしまっていた。


そして、最後に入って来た少年は、肌の色が青い、アマレク人の少年であった。年の頃は、凜たちとそう変わらないだろう。顔立ちは整っており、髪はグレイであり、背も高いが、がっしりした体躯というわけではなく「細マッチョ」というタイプであろう。キャメル色のダウンコートを脱ぐと、黒い乗馬ズボンに白いカッターシャツという騎士の平服姿であった。


少年は凛と握手を交わすとやや嫌そうな顔をした。

「凜、彼はアトゥム・クレメンス。俺の従兄弟にあたる。現在、ウチの騎士団に留学中だ。」

「よろしく、僕は棗凜太朗=トリスタン。みんなには『凜』と呼ばれている。⋯⋯キミは確か、去年の暮れにラドラー卿と一緒にいたよね? 」


 それを言うとアトゥムは顔を背けた。凜はそこで初めて、アトゥムがあの時、何も出来なかったことを恥じていたことに気づいた。


「いや、すれ違っただけだから違ったかも。とにかく、今日はようこそ。」

ここは如才ないビアンカあたりに接客を任せておく方が無難と考えた凜は、その場を離れた。


 やがてパーティーが始まる。割と和気あいあいとした雰囲気であったが、やはりアトゥムの無表情さは変わらなかった。

「今日ね、アンは凛に『眷属語ハイ・エンダーズ』での名前をつけてもらったんだ。ほらほら、みんな見て見て。」

ビアンカは「白雪」と漢字で縦書きされた紙をみんなに見せた。

「こっちがホワイトで、こっちがスノー。あわせてSnow whiteって意味なんだよ。ねえ、みんなも凜に付けてもらいなよ。」


「おいおい、ウチはすでにそういう名前だぞ。代々な。」

得意そうに指差しながら解説するビアンカに透が抗議する。

「あ、でも『名前』なら私も欲しいかも。そういえば、子供たちにもあるのに私だけなかった。ねえ、凜。私のも考えてみて。」

透の妻のナディンが食いついた。

「わたし、自分の字、ちゃんと書けるよ。」

透の娘、由布子=アンリエッタが主張する。

「ゆずも書けるよ!」

弟の譲も参戦したが、おそらくは平仮名だろう。



凜はしばらく考えると

「ナディンさんの名前は、「希望」という意味があるよね。じゃあ「のぞみ」さん、だね。」

凜は『希望』と漢字で書くとナディンに渡す。

「これ、どういう意味?」

「hopeですよ。」

「まあ、素敵ね。」

ナディンさんもうれしそうだ。


「俺は、俺は?」

リックが食いつく。

「リチャードはリチャードだからな。愛称のリックを音だけで表現するなら、こうだな。」

紙に「陸」とだけ書いた。

「これでリック、て読むのか⋯⋯どんな意味の字なの?」

「大陸(continental)かな。」

「へえ、意外にかっこいいじゃん。大陸の覇者におれはなる、みたいな。」

リックの中2病を刺激するには充分だったようだ。


「その⋯⋯私にも。」

続いてメグも紙を差し出した。

(そういえば、かのアーニャ・エンデヴェールも旦那さんのたける君に「ことり」という名前をもらっていたな。)


「マグダレーナは聖女の出身した地名から取られているからなあ。愛称のメグの方でも良いかな?」

凜は漢字で「恵」と書いて渡す。

「これでメグ、と読めるよ。」

メグはしげしげと眺めてから、

「凜、この字にはどんな意味があるの?」

と尋ねる。

「グレイスだよ。」

「本当か? 団長先生マムと同じって本当なのか?」

疑ってかかるメグを見かねた透は凜のために助け船を出した。


「本当だ、メグ。良かったな。君とグレイスの『絆』はそう簡単には断ち切られたりはしないよ。」

メグは自分が取り乱していたことに気づき、赤くなって俯いた。


凛は部屋の片隅でこちらを気にしながらピザを食べているアトゥムに近づいた。

「別に俺は⋯⋯いいよ。」

アトゥムはぶっきらぼうに言うと、炭酸飲料を口にした。


凛は「源」と書いた紙を渡した。

「読みは『はじめ』だ。」

アトゥムは無言で凛を見上げる。

「で⋯⋯、どういう意味?」


「世界のはじまり、だよ。アトゥムはアマレク神話の創造神の名前だから。」

「へえ、そんなこと、良く知っているな。アマレク人が宗教を捨ててから何千年も経っているのに。」

凜の解説にアトゥムは皮肉を込めて褒めた。


「そうかな? 宗教は人間の人間らしさの一部だとおもうけど。自分たちは捨ててしまったつもりでいても、案外文化として、また民族のアイデンティティとして根強く残っているもんだ。名前もその一つだと思うけどね。

本当に機能だけ必要であれば数字でもいいわけだし。ほら、R2-D◯とかC3-P◯とかね。」

凜は、アトゥムの心を揺らそうと思い、やや強い表現を使う。


「いや、俺は自分の名前、好きじゃないから。」

アトゥムはそのまま、黙り込んでしまった。


「そうかもな。」

そこでワイングラスを片手にラドラーが入って来た。アトゥムが黙り込んで出来てしまった『間』を持て余していた凛に助け船を出してくれたのだ。


「アトゥム、とい名前はクレメンスの家でも特別な名前なんだ。正確に言うと、アマレク人は人生の中で何度か名前を変えるんだ。特にクレメンス家のような貴族の家は厳格でね。


当主になると『ラムセス』を名乗るのだが、それを名乗る前に、国防の義務を果たさなければならない。凜はアマレクの『陸戦騎士団エネアード』を知っているかい?」


「ええ。アマレクは貴族社会が国防の義務を負っていて、9つの陸戦騎士団エネアード、8つの空戦騎士団オグドアッドに組織されていましたね。」


「さすが、よく勉強しているね。クレメンス家はその陸戦騎士団エネアードの筆頭の家柄なんだ。そして、その騎士団長になったら「アモン」を名乗ることになっている。その団長のもとで、最強兵器『アヌビス』の所持を任されたものが『アトゥム』なんだ。」


「ええと。」

ここでゼルが説明する。

「つまり歌◯伎の家で言うところの『新◯助』から『海◯蔵』になって、最後に『團◯郎』になる、ということで良いのですか?」

珍しくまともな解説をする。無論、読者諸姉諸兄向きである。凜は少しづつ話が飲み込めてきた。

「なるほど。それで、アトゥムはアトゥムにはなりたくてなったわけではない、ということなのかな?」


団長マスター、あまり余計なことは言わないでください。」

アトゥムが苦情を言う。

「すまんな、トム。これはお前を理解してもらう基礎情報だからな。実は彼は『選ばれた子ども』でね。機神『アヌビス』は所有者を自分で選ぶんだ。3年前、先代のアトゥムが交代になってね。そのとき、宗家の子どもたちの中に、誰も適格者が選ばれなくて大騒ぎになったんだ。それで、一族中の子どもたちが集められたんだ。そして、分家でも末席の分家の子だった彼がいきなり『アトゥム』に指名されてね。それはそれは大変だったのさ。」


「今でも十分大変ですよ。まあ、俺の気持ちなんて、誰にも解らないさ。」

そう言いつつ、アトゥムは幼かった日々を思い出していた。


 「カーメス・クレメンス・マクベイン」。それがアトゥムのかつての名前であった。クレメンスの数ある分家の中でも、ミドル・ネームでしかクレメンスを名乗ることに許されない末端の分家である。

 ただその分、家風は自由闊達であり、法律家からジャーナリスト、果ては芸能人まで、幅広い分野に人材を輩出していた。それだけ、教育熱心だったこともある。

 

 カーメス少年はその中でも落ちこぼれであった。というのも、彼は生まれながらに極めて病弱であり、しかも5人兄弟の末っ子でもあったため、「生きてるだけで儲けもの」、という程度の期待と、両親と兄や姉たちの愛情を一身に受けて育ったのである。それで、落ちこぼれといってもエリートコースには乗れそうもなかった、という意味である。


やがて、学齢期になり、初等学校に入学した彼を待ち構えていたのはクラスメイトからの執拗なイジメであった。彼は休み時間になるたびに同級生からからかわれたりバカにされたり、言葉や身体的な暴力を振るわれたりされていたのである。

 彼は発育が十分でなかった上に虚弱で、運動も苦手であった。そのうえ引っ込み思案でもあった。そのため、からかいの標的になりやすかったのである。


「お前の先祖はクレメンスなんだろう? 売国野郎のクレメンス。奴隷を逃したクレメンス。」

きつかったのは、自分の先祖のことで責められることだった。


500年以上の大昔、大統領ラムセス13世クレメンスの時、アマレク人はそれまで奴隷としていた地球人種テラノイドを失ったのである。その「分離闘争」に敗北した結果、アマレク人はそれまで惑星スフィアで築いていた財産をほぼ壊滅させられたのである。


生活や産業の立て直しのために、本星政府に多額の援助や借金をしたため、苦労が絶えなかった。また、奴隷を働かせることによって、生産コストを抑え、それが彼らの製品のストロングポイントだった。しかし、奴隷を失ったその時となっては、彼らの製品に価格以上の競争力を取り戻すのは、並大抵の苦労ではなかったのである。


むろん、そのまま業績を取り戻すことができずに、没落していった実業家や貴族も少なくなかった。

ただ、「分離闘争」自体は、途中から政権を引き継いだトトメス11世グレゴリウス大統領の時に敗戦が決したため、すべてがクレメンス家の責とは言えない。


この理不尽なイジメによって、彼はすっかり人ぎらいになってしまっていた。そして、地球人種テラノイドへの怒りを持つようになっていたのである。


さらに、彼にとって衝撃的だったのは『血の建国記念日』事件であった。星暦1001年、当時メンフィスとして知られていた彼らの首都で、反政府テロリストの首魁、不知火尊は宇宙港の構造物を地上に落とし、首都を壊滅させたのである。その時犠牲になったには大統領を含む200万人余りの一般大衆であった。

 アトゥムにとって地球人種テラノイドは恩知らずで残忍な種族なのである。


そして、3年ほど前のこと、クレメンス一族の子どもと若者が集められた。次の「アトゥム」を選ぶためである。家宝であり、一族、そして国を守る力である「アヌビス」が選んだのはなんと、カーメス、つまりアトゥムであった。


 儀式の後、『アヌビス』の仮面をかぶったはカーメスは『アヌビス』に侵食される。

そしてその仮面アヌビスはカーメスと融合してしまった。もはや、アヌビスとアトゥムを分かつ物は「死」かアヌビスが彼を不適格であると見なす場合だけであった。


 そして、アヌビスと融合したカーメスは「アトゥム」となった。彼は養子としてクレメンス宗家に迎え入れられアトゥム・カーメス・クレメンスとなった。

 アヌビスと融合したアトゥムはまさに「人が変わったように」健康になり、身体も大きくなった。結果として彼は徐々にいじめられることは無くなっていったのである。


 ただ、その性格が変わることはなかった。気が弱く、人と接すると萎縮してしまうのは相変わらずであった。


そして、あの忌まわしい事件が起こる。


 初等学校を卒業する頃、彼は同級生たちに呼び出され、暴行を受けたのだ。

「なんだ。デカくなったのは図体だけなのかよ。相変わらずクズの子孫はクズ、ということだ。このままぶっ殺してやろうか?ああん?」

 散々殴られ、腫れあがった顔のアトゥムの襟首をつかんでガキ大将のジャンが恫喝する。その時だった。黒い光がまるでつむじ風のようにアトゥムを包み込む。


アヌビスが起動したのだ。


これはアトゥムにとって初めての起動であり、アトゥムの意思によるものではなかった。「殺してやる」、といういじめっ子たちの言葉にアヌビスが反応してしまった結果だったのだ。


そして、すさまじいつむじ風がアトゥムを覆った。

つむじ風の後にはアヌビスが黒いジャッカルの面に黒ずくめのスーツ。そして黒いマントといういでたちで、立っていた。


その手には大鎌デスサイズが不気味な光を湛えていた。


「ひ、ひ、ひー。」

その異形に恐れをなしたいじめっ子たちはほうほうの体で逃げ去ろうとする。

しかし、アヌビスはそれを大目には見てくれはしなかった。


次の瞬間、疾風のようにアヌビスの大鎌が振るわれる。

絶叫がこだまし、騒ぎに気がついた教師たちが駆けつけると、そこに広がっていた光景はあまりにも凄惨なものであった。


 あたりは血で真っ赤に染められ、パーツごとに切り刻まれたいじめっ子たちの身体があたり一面に散らばっていたのである。不思議なことに顔を手で覆ってうずくまっていたアトゥムの周りには血が一滴も落ちていなかった。


 この不祥事はクレメンス宗家によってもみ消された。

しかし、事態を重く見たクレメンス宗家は、アトゥムを当主の姉の嫁ぎ先であるセルバンテス・ラザフォード家に預けることにしたのだ。


 この事件のほとぼりが冷めるまで、国外に居させることと、彼の従兄であるラドラー・ラザフォードが率いる伝令使杖カドゥケウス騎士団で精神的に修養し、アヌビスの遣い手として一人前になってもらうことが必要だ、ということになったのである。


「まあ、アトゥムはクレメンス家ではVIPなのでね。色々と交渉の窓口として、協力してもらっているんだ。」

ラドラーはそう言って、アトゥムの肩をたたいた。


「そうだったんだ。ありがとう、アトゥム。年が明けたら、僕は正式にアマレク政府と交渉を始める。その時はまた、君の力を是非貸して欲しい。」

凜の屈託のない笑顔にアトゥムは返事すらしようとはしなかった。


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