万年筆 用途で考える① キャップの構造を知る
さて、前項では価格での捉え方をお届けしました。
今回は、用途について考えてみたいと思います。
用途について考えるには、より深く万年筆の構造を知っておく必要があります。この中でかなり大切な用途として、キャップの存在があります。
まず万年筆は、特殊な商品を除いて、キャップがついています。これは万年筆の命とも言えるニブ(ペン先)を物理的ダメージから保護するために必要な構造となっています。またインクのドライアップを防ぐためという目的もあります。そしてキャップには二種類あります。
・回転式
→くるくる回して締めていくタイプ。確実性が高く、また機構がシンプルなために高い強度が得られます。弱点として動作に時間がかかります
・嵌合式(かんごうしき)
→カチっと音がして爪がひっかかって固定される方式です。スムーズな空け締めが行えますが、あまりに頻回だと強度に不安が残ります
キャップが破損するとペン先のドライアップ(乾いてしまって使いたい時に使えない)や、衣服をインクで汚してしまう、また万年筆自体を壊してしまう等のトラブルを発生させる原因となってしまいます。万年筆にとってこのキャップは本当に重要な部品なのです。
共通して言えることとして、ボールペンのノック式と比べて、片手で操作が難しいことと、時間がかかることがあります。しかし回転式と嵌合式でもかなり差がつく部分ですね。
また重量バランスをコントロールする部品でもあります。はずしたキャップはペンのお尻に差し込む事ができますが、これによって重量バランスがかなり変わってきます。モデルによっても差があり、また書き手の持ち方によっても最適なバランスは変わってきますので、挿して使うか、挿さずに使うか。結構好みが分かれてきます。
【サインペン的用途で買う】→嵌合式がオススメ
・書く機会は多いが、一度に書く量は少ない
・自分のデスクなどずっと同じ場所にはいない
→キャップを外してお尻に挿してまた戻して…がかなり手間に感じると思います。居場所がころころ変わる人でキャップを挿さずに使う人ですと、キャップの紛失や落下等が発生しえます。そこが回転式になると相当な時間を取られることになりますから、このようなアクティブなユーザーは嵌合式がいいと思います。
【メインの筆記道具として使う】→回転式がオススメ
・一度書き始めたら長時間握っている
・一日を通して筆記量が多い
このタイプの方は万年筆の使用に非常に向いています。余すこと無くその性能を発揮できるでしょう。もちろん嵌合式でも問題ありませんが、古典的かつ有名な万年筆は回転式を採用している商品が多いです。構造的に頑丈なので破損の心配が少なく、安心して長い付き合いが出来るでしょう。
さて、いかがでしたでしょうか。
「こんな項目、本当にいるか?」と思われる方もいるでしょう。
しかしこの項目は私がいくつかの万年筆を手にして日常で使用した時に、実際に疑問に感じた部分だったのです。
当時の私は書類を多く扱っていましたが、その大部分は契約書類でした。その書類を持ち歩いたり説明したり書き足したり。自身がかなり動的なので、回転式のキャップは煩わしさを感じた部分なのです。
そこで嵌合式のモデルを購入しましたが、その嵌合式も一日に相当回数空け締めをしますから、年数が立ちますと修理が必要になりました。修理自体は壊れたらするのが当たり前なのでそれでいいのですが、使い慣れたペンが手元にない期間があるというのが、また寂しいものなのです。
最初の一本はできる限りストレスなく使えるものが良いと思います。
自分の活用シーンを想像して、キャップがどの方式になっているのか確認してみると良いでしょう。
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