万年筆④ 今、万年筆がアツい!格安万年筆登場

 万年筆というと「敷居が高い」と感じられる方も多いのではないかと思います。


 公文書での使用が認可されてから爆発的に普及したボールペンは、コストパフォーマンスもさることながら何よりその「管理しやすさ」が万人受けした大きなポイントだったのではないかと思います。


 さて、ここで一つ小話が。


 本国日本は、世界トップレベルに文房具が安い国なのをご存知ですか?

 またその品質は世界中から賞賛されていることもご存知でしょうか。


 今日本で格安業務用ボールペンを購入すると、100円で10本程買うことが出来ます。

 事務職の方でもこの10本で一月、一般の方なら一年、もしくはそれ以上使用する事が出来てしまいます。


 給料に対しての価格で考えると、これは異常に安いと言えます。

 最低賃金は地方によって異なりますが、高校生ですらどんなに安くても時給650円以上、都内なら900円以上は平均として決して高くありません。

 10分程度の労働で一年分以上の公文書使用可能な筆記具が買えるのです。


 昨今の100円の市場価値では、おにぎり1個買うことも難しいでしょう。

 おにぎり1個で一食分にならない事を考えると、ボールペンの安さが尋常ではないレベルに達している事をご理解いただけると思います。


 ボールペンの台頭で万年筆はポピュラー市場から追い出され、高級志向品への道に活路を見出して行きました。

 これは致し方ないことと思います。


 さて、そんな現状に、一石を投じたのは大手文房具メーカーでした。


「1000円以下で買える本格万年筆」を市場に投入したのです。


 これは瞬く間に話題となり、筆記具好きの間で密かなブームとなりました。

 これほどまでに万年筆が話題に上がることは現代においてまず無かったと言えると思います。


 これには、メーカーの確固たる意思と、戦略があったのです。


 まずこの商品の人気の秘密は、単に「安いから」だけではありませんでした。

 このクオリティが素晴らしく、「軽い」「丈夫」「かわいい」「カラフル」と若者に必要な要素を全て抑えながら、馬鹿にできない書き味を誇っています。ペン先はそれなりに硬くもしっかりとしなる構造で、トメ、ハネ、をしっかりと書き分けることができます。万年筆フリークでも違和感なく扱えるその完成度は脱帽もの。

 まさに入門用として最適です。

 さらに戦略的な流通により、小さな文房具屋や書店でも気軽に購入出来き、その陳列も可愛さを全面に押し出したキャッチーさで購入意欲を掻き立てます。


 もとより万年筆は破損さえしなければ格安のインク補充で延々と使用出来るという、教育にピッタリの利点を持っていました。

 そこに安さが加わったことで、本来万年筆がもつ「好きな色のインクを選択できる」「独特の濃淡が味わえる」という「書いていて楽しい」魅力をより手軽に触れることが出来るようになったのです。


 これだけ安いと、ペンケースに複数本入れてカラーペンのように使い分けることも出来ますし、普段は万年筆使用の方が職場のデスク用に備えておくことも現実的に出来ます。特に後者は腱鞘炎やペンだこに悩む人にとっては、気軽に行える対策として注目される所です。


 書く、という行為は、デジタル社会においてある種特別なものとなりました。


 その瞬間をもっと特別なものへ。


 あなたもこの機会にどうですか?

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