万年筆② 下敷き不要の低筆圧の秘密
さて今回も引き続いて万年筆です。
ペン先からインクが滲み出る構造、というのは前回書かせて頂きました。
今回は低筆圧・低抵抗について書きたいと思います。
まず、前回上げた主要筆記具達は、基本的に「書く対象に抵抗が無いと書けない」という共通の弱点があります。
・鉛筆 → 芯を擦り付けて、その削りカスを対象に残す事で筆跡にする
・シャープペンシル → 理屈は鉛筆と一緒
・ボールペン → ペン先のボールを摩擦抵抗で回転させて中のインクを送り出す
なので、コート紙(チラシ等のツヤのあるもの)や油取り紙、感熱紙などが相手だと、十分な抵抗が得られずにしっかりとした筆跡が得られないのです。
表面がつるつるしていればしているほど、しっかりとした筆圧で抵抗を増やしてあげる必要があります
対して、万年筆は「物が触れたらインクが漏れだす」構造をしています。
ペン先に物が触れさえすれば良い訳ですから、極端な話、ガラスに筆記する事も可能です。(ただしインクが水溶性なので汗レベルで落ちますが)
触れさえすれば良い。つまりそこに筆圧が求められません。
結露した窓に指先で絵を書く。
そんな感覚でぬるぬるさらさらと筆記する事が出来るのが万年筆の最大の売りです。
したがって、特に下記のような場面でその性能を発揮します。
・サインペン的使用 (○、チェック、線を引く)
・筆記体、草書体
・腱鞘炎予防(効果大。ペンだこが痛む方にお勧め)
・手帳等で下敷きが使用できない時に、うらがボコボコしない
万年筆のペン先は、筆圧が無くてもかけるように工夫してあり、ペンによっては独特のしなりがあって表情豊かな筆記が行えるものもあります。
しかしその構造ゆえ、逆に下記のような弱点もあります。
・筆圧をかけられない → 複写紙に使用できない
・インク交換時に手が汚れやすい
・出先でインク切れが発生するとたいてい対応出来ない
・いろいろ手間がかかる → 最終的には愛着に繋がります
宅急便関係で使えない事が多いというのは見逃せない弱点ではありますね。
万年筆は自身の重量を活かして滑らせるようにして書く、という趣が少なからずありますから、机で大量筆記する必要がある職業の方で、ペンだこが痛くてしょうがない人は、その対策に万年筆はオススメできます。
それくらいペンと接する機会が多い人は、万年筆を自分へのご褒美に持っていても、贅沢にはならないと思います。
その姿はきっと、羨望の眼差しを浴びることウケアイです。
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