11話 セクステット
「他の者も紹介しよう」
そう言ってレナは机を挟んで向こう側に顔を向けた。
「こっちの大きいのがルフ、そしてこっちがシルヴェーヌだ」
ルフ、と呼ばれた大男は一人分の席では収まっておらず、専用の大きな椅子で二人分の場所をとって占有していた。こうして近くで見ると、かなりの迫力がある。
ボサボサに伸びた深い青色の髪が片目を覆い、肩を撫でている。巨人、という奴だろうか。ただ大きいだけの人間には見えない。
「どうも、新人さん」
だが俺の想像とは裏腹に、ルフは人懐っこい笑顔を見せた。悪いやつではなさそうだ。
「ああ、よろしく」
次にシルヴェーヌと名乗る艶やかな黒髪ロングの女性の方を向く。しかしすぐ目のやり場に困り、あたふたしてしまった。
およそ服と呼べるものを着ていなかったのである。下着、と言うにも怪しい彼女の恰好をなるべく見ないように落ち着いて話す。
「よよ、よ、よろしくお願いします」
落ち着けてなかった。
シルヴェーヌは薄く笑い、なめらかな声色で「あら、よろしくね」とだけ告げた。
この人にはレナとはまた違った妖艶な魅力があった。目が合うたび、その黒い瞳に吸い込まれそうになる。
「そしてこれがアイルだ」
レナが体を引いて、左隣の子供の肩に手をポン、と置く。だがこれ呼ばわりされたアイルは、やる気がなさそうに手をあげるだけで、姿勢はそのままだった。授業中の俺かよ。
一通りの自己紹介が終わっても、ライラとミウムが言い争っているようだった。
まあ、ああ見えて勇者と魔王なのだ。相容れないのは当然と言えば当然か。
「もう知っているかもしれんが、ここにいるのは全員“セクステット”だ。これからよろしくエンド」
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