会議室で
望は天花について歩いていた。
廊下は何処も新しくハイテクな雰囲気を感じる。
一つの部屋の前で天花がとまる。
『会議室』
の文字が見えた。
天花は扉を開けて中に入る。望も続く。
長机が中央に堂堂と構え、その周りに椅子がある。
そこには人が四人いた。その内の一人に望は見覚えがある。忘れるはずがない友嗣である。
望は入ると躊躇なく一番近い席に着いた。天花は友嗣の近くに行く。
「君が華威 望くんだね。」
長机の一番で望以外に唯一席についている男が口を開いた。
「そうですよ。それが何か?そういうあんたは誰だ?」
望は動じず、恐れず答え更に聞き返す。
「私はここの長だよ。君は普通の人には無い特別な力を持っているね?」
男は続けて尋ねる。
「何のことですか?俺はただの一般人ですよ。」
嘘を答えた。望は嘘を答えた。
面倒事に巻きこまれたくないという望の心が言わせたのだ。
「嘘はいけないよ。我々は君が特別な力の持ち主。Wish使いだと言うのはわかっているんだよ。」
男の目は揺るぎなく力強く、奥が見えない眼光をしていた。
…少しの間の後、望は口を開く。
「そーだよ。俺はただの一般人じゃねーよ。」
望は真実を述べた。
「ただ、Wishってのは知らねー。俺が質問に答えたんだ。今度はあんたが答える番だ。Wishってのはなんだ?」
男は懐から煙草を取り出すと口に含み、ジッポーで火をつけた。
煙が上にのびる。
「人は誰しも願いを持ってる。どんな小さいものにしろ、途方もなく大きなものにしろ。」
「そして、膨大すぎる願いは現実世界をも変える。」
男は目線を天子に目線を向ける。
天子はそれに応じた様に右手をひらいて前に出す。
次の瞬間、その手に拳銃が現れる。そのまま構えて…
バァン!
発砲の音。しかし、弾は何処にもない。壁にあたったりせず、消えたのだ。
望は終始まゆ一つ動かさず見ていた。望の内心は池に小石を投げ入れた時の波のような小さな同様していた。
望は右頬に汗が一滴流れるのを感じた。
「これがWishだ。彼女の能力はテレポート。自分や物を好きな所にテレポートさせることができる。天子、何をしたのか説明してやってくれ。」
「まず、私のロッカーから拳銃をテレポートさせました。その後、発砲。発射された弾を宇宙空間にテレポートさせました。今頃は宇宙の何処かで永遠に加速してるんじゃないかしら。」
「Wishは人智を超えた力。Wish使いは人間を超えた存在と言っても過言ではない。」
説明を終え、近くにあるペットボトルで口を潤す。
間。
「だいたいWishつーのは分かった。Wishってのは願いによる力で人智を超えた力なんだな。」
今の話を理解し、自らの結論を確認する望。知識は多く、正しい方がよい。その為ならどんな人からでも情報を得るのが望の信念の一つである。
「その認識であってるよ。詳しく言うとWishに満たないhopeやwantなんてのもあるがね。」
涼は少し付け足しをして答える。
「…で、あんたは俺に何をさせたいんだ。」
核心をつく質問。
望は雰囲気を一切変えずに聞く。動揺はけっして見せてはならない。
「私達の望む事は2つ。
一つは君のWishの能力を教えて欲しい。
二つに君に我々の仲間に入って欲しい。私達はWishを悪用する者を取り締まる為常に戦力を求めているのだ。これが私達の君に対しての要求。いや、提案かな?脅迫は嫌いなんだ。」
男は提案を飲むこと前提のように聞く。
決して断わらない、断らせないという自信に満ち溢れてる。
望は数秒の後に答える。
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