第7話 件(くだん)のアレがヤバい件(けん)
あの後食堂に集まり、俺は先程の出来事を如月や小毬、晴瑠に話した。俺の命が何者かに狙われていること。霧雲にストーカーされていること。そして一応、唇を奪われたのは不意打ちだったことも。
「ウチ絶対に許さない。 泰寅の唇を奪っていくなんて‼」
「もっと他に怒るとこあるだろ」
「小毬ちゃんの言う通りだよ。あたしだってまだなのに‼」
「如月に関しては怒るとこ関係ないよな!?」
霧雲に
今まで黙っていた晴瑠が口を開いた。眼鏡の奥の眼差しは真剣そのものだった。
「一ヶ月くらい前に、ある牧場の牛から『
「
「予言はこうです『ヤバイヤバイ、マジヤバイ‼ 日本がマジヤバイ‼』」
「
「まだ続きはあります。『
「それ途中で息絶えてるよな? 絶対ヤバイ連発して力尽きてるよな!?」
「おそらくその予言が、丑門君が狙われている理由だと思います」
そして、件の予言を聞いて小毬は何かに気づいたのか、耳がピクンとはねる。
「確かに『鬼門を名に宿し人』って、どう考えても泰寅のことよね」
俺の名前『丑門泰寅』に入ってる『丑寅』は悪いものが出入りする方角で、『鬼門』と呼ばれ不吉とされている。
「じゃあ『魔除けの鬼』ってのは」
俺たちの目線は自然と一点に集まった。下の名前が『南天』という魔除けの植物である如月は、ゆらりと立ち上がりながら右目を手で抑えた。
「クククッ、あたしの
「中二病かよ 」
「ふざけないでください‼」
晴瑠は勢いよく立ち上がった。状況が状況だし、怒られるのも無理ないな。
するとなぜか、晴瑠はおもむろに眼鏡を外した。
「南天ちゃんがそう来るなら、私も『
「お前もかよ‼ 『
「とにかく、丑門くんも南天ちゃんもなるべく一人にならないでください」
とりあえずその場は解散し、俺と小毬は如月を送ってから帰宅すると晴瑠から連絡が来ていた。
『後ほど丑門くんの家に行って盗聴器を探すので、バレないよう会話を合わせてください』
晴瑠が来た後、俺たちは何気ない会話をしながら手分けして部屋を探し回った。すると、いたる所から盗聴器が出てきた。
全ての盗聴器を処分し一息ついていると、晴瑠が話を切り出してきた。
「実は丑門くんに聞きたいことがあって来たんです」
「俺に?」
「私、今まで不思議だったんです。
「そして予言のこともあって、丑門くんのことを調べさせていただきました」
「そんな勝手に‼」
「やめろ小毬‼ いいよ晴瑠、続けて」
怒る小毬を抑えて、晴瑠に話を促す。どうやら晴瑠は俺の、いや俺たちの秘密を知っているようだった。
「そして私はひとつの結論にたどり着いたんです」
「結論?」
「丑門くんって、本当は遥か遠い星から来たエイリアンなんじゃないかって」
「「なんでやねん⁉」」
真実を知る俺と小毬は、予想外の返しに思わず関西弁でツッコミを入れてしまった。
「冗談です、少しでも場をなごまそうと思って」
「それで本当に出た結論は?」
晴瑠は仕切り直しとでも言うように、クイっと眼鏡の位置を直した。
「丑門くん達は『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます