メンヘラ好きで悪かったな

星河夜空

しょっぱなから現実逃避

パシンッ


頬に軽い衝撃が走った。じわじわと熱を持って、痛みに変わる。

え、ちょ、何で私は目の前の人物に叩かれたんだ?

よし、此処は一旦肩で息をしてる目の前の彼女も慌てふためいてる方々をガン無視させていただいて現実逃避といこうではないか!


ダメだよね、知ってた。


でもね、慌てふためいてた方々が全員で彼女を部屋の外に連れ出したから実質今一人だし許されるんじゃね!?よし、この機会利用しない理由が無い!頬まだちょっと痛いけどあえて無視で!


えーと、まず自分の事から。

ここ明らかに日本じゃないのは髪色とか部屋の内装とかさっきまで部屋にいた人たちの衣装で分かるからありがちな転生ね、はいはい。

こういうのは小中高の図書室と市立図書館読破してるから慌てふためく気になれないんだよね。どっちかっていうと乙女ゲームの悪役じゃないかが不安。


まず、この世界での私の名前はシリウス・レイナント。この国の宰相閣下の妹の娘で、愛称はシリィらしいけど愛称とか今どうでもいいな、うん。

私の母は元々体が弱かったらしく、私を産んでから体調が優れない日々が続き、私が5つの時に他界。えーっと、2年前か。

父は母が亡くなった知らせを聞き職場を飛び出した先で馬車に轢かれて亡くなった。

両親揃って同じ日に亡くなったわけだ。あ、あかん涙が。


で、さっき私を叩いたのが叔父の奥さんの女性近衛隊長ステラ・レイナント。

騎士の弱い人間は嫌いだけど戦う術を持たない弱い人間は見捨てない性格の人で、母とも結構仲が良かった人。普段の厳しさから誤解されがちだけど、結構身内には甘いし心配性。なんだよただの可愛い人か。


此処が何処かというと、なんということでしょう王宮の医療室でした。なんてこったい。従兄弟たち――今は叔父に引き取られたから義理の兄弟――と一緒に王宮の図書室に来てたんだけど、子供の身長的に高い位置にある本棚に本を仕舞う為に梯子に登ったら従兄弟たちが運悪く梯子にぶつかっちゃって私を下敷きにする形で梯子が倒れた。そっから記憶無いから多分そこで記憶取り戻したんだわ。


うわー、絶対に迷惑かけてるやつじゃん。しかも梯子の下敷きって。+@で高い位置から落下してるし。よく生きてたな7歳児。心配性のステラさんが全力ダッシュしても可笑しくねーな、うん。

あれ、じゃあ何で私叩かれた?

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メンヘラ好きで悪かったな 星河夜空 @kokoroutusi

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