第6話変身

「リーナ、俺の柔軟体操の補助はいいから、マリーシャの補助やってくれ」


 クマタカ・ジンジャーブレッドは、自分の背中に座り込んだ彼女に言う。


「はーい!」と返事をしたリーナは、パタパタと翼をはためかせて、マリーシャのもとへ向かった。


「ええー?エリーシャが押してくれるからいらない」

「リーナ軍で一番、身体がかたいのはだあれ?……それは、マリーシャ・ヌガー。だから、リーナが負荷をかけてあげる」


 嫌がるマリーシャの背中にリーナが飛び乗った。


「ひいー!助けて、エリーシャ、私たち双子でしょ?代わって!」

「双子でも代われないわ。身体が柔軟になるまで頑張って!」


 事情で名字が違う彼女、エリーシャ ・アイスクリームサンドウィッチは、涼しい顔で背中を伸ばしている。


「リーナ、汗かいちゃったから、シャワってくる」

「最近、多いね。シャワるの!」


 珍しく大人しいはずのエリエン・キットカットが、ピンク色のポニーテールを揺らして言った。ポニーテールは、水玉のリボンでまとめられている。


「そお?たまたまじゃん。じゃ、行ってくる」

 

リーナは、白い翼をパタパタいわせながら、シャワー室へと向かった。


「ちょっと、クマタカ1人でやっててくれ」


 カイが柔軟体操を組んでいたクマタカにいってリーナの後を追うように向かう。


「おーい!一緒にシャワるんかい!」


 クマタカの声の後にリーナ軍のみんなの笑い声が届いた。


「リーナ、開けるぞ」


 しばらく、待っても返事がないので、カイが女子シャワー室のドアを開ける。


ガチャ

 

 開けたすぐ下の床に無農薬クワの葉の袋がおちていて、袋から、クワがこぼれていた。


「カイ」


 小さなリーナらしき声が聞こえたので、辺りをよく見回したカイは、小さな白いカイコが頭を上げているのを見つける。


「リーナ、カイコになっちゃったのか!」






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