第19話 旧世代の町

3人が扉をくぐると、そこには町があった。


夜だったが、騒がしい町だった。


町に入るのに入り口があった。

ミスト「ここが!なんとかの町、ピカソっ!!」


カイ「旧世代の町ピカソ!」


ヴィント「旧世代、、。」


3人は、目を輝かせていた。

この世界に来て、魔法のような技術を見るのは初めてだった。


後ろを振り返ると、扉が光っている。

扉は閉じている。


扉に付いている窓は開いていて、そこから、今までいた外の世界が見える。


前を向く。

カイ「行こう。」


3人は進んだ。


目的は「封印の書」の情報だったが、この時の3人はその事を忘れていた。


カイですら。




ーーー




3人が町を歩いていると、話し掛けられた。


大柄のタンクトップの男「おお、ガキが入ってくるなんて珍しい。」


このデカイ男は酔っ払っていた。


大タンクトップ「あれ?スイードで戦ってた3人組か?」


スイードとは、前の前にいた、ブリッカー国に攻め落された町の名前だった。


ミスト「うん、そうだよ。おじさん、あそこにいたの?」


大タンクトップ「危ねえから、遠くから見てたよ。戦いの終盤になって、やけに頑張ってるガキがいるってんで、皆注目してたぞ。」


カイ「注目??遠くから見えるの??」


大タンクトップ「まぁ、そうだな。それに、ブリッカーは危ねえから監視してんだ。」


ヴィント「黒の軍団、黒の王。。。」


ミスト「あいつの体から黒い煙が出ていたんだけど、あれって何??」


大タンクトップ「闇だ。闇を纏ってるんだよ。

この世界はまだ、現実の世界から来た奴らからしたら開発途中なんだけどな。

実は、この世界には人間が来始める前までは、先住民がいたんだぜ。

その文明の技術さ。」


カイ「旧世代の民。。」


大タンクトップ「そう、その生き残りの町がここよ。」


と、そこで何かに気付く。

大タンクトップ「って、そういやお前らどうやって来たんだ??

普通は来れないハズなんだが。」




カイはここまでの経緯を話した。




大タンクトップ「なるほどね、あの魔術師の紹介か。

まぁ、折角だからゆっくりしてけよ。

どうせ、封印の書の事も色々調べられると思うぜ。」


ミスト「封印の書!そうだった、忘れてたっ」


大タンクトップ「だがな、今のまんまじゃ、見付けらんないと思うぜ。

この町には、探してる奴は沢山いるが、誰も見付けられなかった。

その皆が、黒の王とまではいかないが、まぁまぁの手練れだ。」


ヴィント「確かに、僕らは弱い。」


カイ「その、黒の王が使っているような技を身に付ける事は出来ないかな?」


ミスト「おお、それだよ!それ!

そうしよう!!

おじさん、どうしたら出来るようになるの??」


黙って目を細め、3人をよく見た。

大タンクトップ「・・・。」


3人は、目の前の大男が、更に大きく見えた。

出会ってからずっと酔っ払いだった大男の表情が真面目な表情となり、

威圧感を感じた。


ミスト「おじ、、」


大タンクトップ「おじさんじゃない、ウォーネだ。」


そして低いトーンで続けた。

ウォーネ「教えてやろうか。」


3人は嬉しかったが、

ウォーネの発する威圧感と声に気圧されてただ喜べなかった。


何か覚悟をしなければいけない、

ただ遊びじゃない、

そういう印象を感じていた。





そして、この時の3人は既に忘れていた。


現実の世界がある事を。

深く進めば進む程、現実を忘れていく。


そういう世界だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る