第18話 入り口

騒がしい声が聞こえた。


宴会でもやってるようなガヤガヤした感じ。


満月の月夜に音楽が流れ、誰かが踊っているような足音も聞こえてくる。


笑い声も沢山聞こえる。


けれど、





そこには、見渡す限りの草原しかなかった。




ーーー




早朝に町を出た3人は、森や小川や岩地をコンパスを頼りに、ただ真っ直ぐ歩いた。


日が暮れ、空が暗くなってきた頃、目的地を見付けた。


そこは、草原だった。


人っ子一人いない、だだっ広い草原。


風が吹いて、気持ち良い気候だった。


丸一日歩いて、すっかり疲れた3人は、最後の一踏ん張りという感じで、

「入り口」を探した。


ミスト「本当にここ??何にもないよ〜!!」


その声に、町を出る時に書いていたメモを読みながらカイが、

カイ「間違いなくここだね。ただ、この広大な草原の中に、草が生えていない場所があるようなんだけど、

まずはそこを探さないと。」


そしてヴィントを見る。

カイ「そこで扉を見付けられるのは、ヴィントだけみたいだよ。」


ミスト「扉〜??ヴィント、見える??」


そこで周りを見渡す。

もう暗くなってきているが、月明かりで周りはよく見えた。

そして草原の中に光が見えた。

ヴィント「あれ、何だろう。」


カイ「何か見えた??」


ヴィント「あそこ、光ってない?」


ミスト「何もないよ。もしかして、それが扉かな??」


カイ「行こうっ!」





その光る扉は、ミストとカイには見えなかった。


その扉の先から聞こえる音も、2人には聞こえなかった。


ただ、ヴィントだけはその大きな光る扉も、中から聞こえてくる音も聞こえた。


ヴィントが近づくと扉はひとりでに開いた。


そして、3人は手を繋いでその扉をくぐった。

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