第15話 声

2つ目の町で聞いた情報は、ある町の話だった。


「ここから真東の方向へ一日歩くと、町がある。」

「その町には、人がいない。」

「町は毎週決まった曜日に宴を催し、活気がある。」

「多くの呪術師が集まっては消えていく。」

「行ってみたがその場所には、何もない。」

「町なんてない。」


町の酔っ払いの人達の言葉は、皆違った。


そのよく分からない情報を信じて、あるかないか分からない町へ行かず、

ここから数10キロ先の別の国に行く事にした。


けれど、その不思議な町に行く事になったのは、ある声がキッカケだった。





ヴィントにだけ聞こえる声。

「###で待ってる。」


それは女性の声だった。


その言葉を、ヴィントは呟いた。

「ピカソで待ってる。」


それを聞いた酔っ払いの一人がヴィントに話し掛けた。

その酔っ払いは、紫色のやけにヒラヒラした服を着た中年男性だった。

彼は彼自身の事を魔術師と名乗った。

その彼が、

魔術師「お、お前も聞こえたのか?今の声を。」


ヴィント「!?それってどういう??」


ミスト「声~??ピカソって何の事??」


魔術師「旧世代の町ピカソ」

魔術師「その町は、声が聞ける者には見付けられるさ」

魔術師「ここだと感じたら、全員で手を繋いで、そこに入れば良い。」


こういう話を聞くと一番興奮する男が乗り気になる。

ミスト「面白そうじゃん!!行こうぜっ」


そして彼も行きたくなる。

カイ「確かに、行く価値あるかも。」


最後に、一番心配性な彼が話に乗る。

ヴィント「うん。」


ヴィントがいなければ、行く事がなかった町へ。

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