第7話 身に付けていたもの
彼らは、一節が攻撃の手を止めた事で、一先ず警戒を解いてくれた。
そして、倒れていた方の一人が話し始めた。
さっき、もう一人が言ったのと同じ事を。
??「何で、私達が見えるの?」
ーーー
一節は現実の世界で、ある武道を習っていた。
それは、亡き父親が若い頃から習っていたものだった。
二刀の剣術と、様々な環境に適応し、相手を仕留める事に特化した武道だった。
正々堂々、というより、相手の虚を突く事を意識したものだった。
武道としての、
「礼で始まり、礼で終わる」
というようなものはあっても、
「最終的に相手を殺せた方が勝ち」
という思想が強かった。
稽古において、命のやり取りをするような事はなかったが、
達人同士では危険が常につきまとう為、
全身に最新鋭の防具を装備する事は必須だった。
防具自体にダメージを計測するシステムが搭載されており、致命傷などの判定をされていた。
一節は、幼い頃から父親とこの道場に通い、稽古をしていた。
メジャーではなかったが、歴史の古い道場であった。
その一節が、同じ年の素人に負ける事はなかった。
例えそれが、同じ人間でなかったとしても。
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