第5話 邂逅

椅子の向こう川の世界で出会った友人は、向こうの名前で、

「ミスト」と「カイ」と名乗った。


金髪の少年がミストで、

眼鏡の少年はカイだった。


初めて会った時に、行き来の仕方やここがどういう所かを2人が教えてくれた。


どちらかというと、眼鏡の少年カイが殆ど説明してくれた。


彼は同い年にしては博識な印象があった。


他に、

この世界がどうやって出来たのか、

何故地面があるのか、

かけられた制限、

安全な所と安全でない場所、

この世界の先の世界や、

時間の流れが違った黒い空間のこと、

戻って来られない場所。


彼の父親が先生のせいか、話も分かりやすかった。


けれど話自体が難しくて、殆ど忘れた。




ーーー




その世界ではその世界の特性を利用したゲームが多々存在していた。


ゲームをするのに、現実の世界でお金を払わなければならないものも多かった。


けれど3人はまだ若く、お金もなかったので参加出来なかった。


大体学校が終わるとこの世界に来て、決まった場所で遊んでいた。


ゲームでなくても、自然があった。

そこでいつも暗くなるまで遊んでいた。


そこに何がいるかも知らずに。





気付いたのは、一節だけだった。


明らかに人の姿はしていない存在に。


皆似たような格好をしていた。


身長には個体差があった。

頭部と思われる部分は縦長で、

下から3分の1位の位置に顔があった。


全体的に皮膚のようなものはなく、

触っていないから分からないけれど、

木彫りの人形のような質感だった。





始めは、声が聞こえた。


ミストとカイの3人で会うと言っても、

来ない日もあったし、そもそも時間を決めていなかった。


それぞれが、行きたい、一緒に遊びたい、という気持ちで繋がっていたので、

「また明日ね」

に縛られるような事もなかった。


一節が一人で早く着いた時に、チャンバラする為の木の枝を探して森を歩いていた時だった。

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