少年ナイフ

作者 秋口峻砂

8

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★★ Very Good!!

人は変われる。良くも悪くも……。
ただ、悪い方に傾くのは楽なのかもしれない。何も考えずに済むから……。

楽な方、楽な方へ。そう突き進んでいった結果がこの作品なのかもしれない。

人は常に取捨選択を行っている。その時に楽だから。たったそれだけの理由で他人を傷つけていないだろうか?
私自身、無意識の内に他人を傷つけているだろう。肉体的でなく精神的に。
言葉の暴力。心が心に振るう暴力。それは見えない分、恐ろしい事なのだろう。
罪を背負い、それでも生にすがる。何故?
それは本能的な欲求なのかもしれない。そう本能なのだ。獣じみたもの。
生きる事を止めたものはある意味、本能を逸脱したのかもしれない。
しかし、それを正しいと認識する人はいないかもしれない。
生きて償え、と言うかもしれない。

ほんの一瞬でも共感できた事が彼の衝動的な欲求を抑えたのかもしれない。
彼の望みは何だったのか? 彼の行為は何を残したのか? 残された人々は?
答えなんてないのかもしれない。しかし結論を求めるのが人間だ。
その繋ぎを果たすのが理屈なのかもしれない……。

★★★ Excellent!!!

人にとって、目の前の現実がいかに巨大で困難なものであるかが分かり、生きる意味を教えてくれる、とても哲学的なお話。

このお話を鼻で笑い「何言ってんだ」で済ませる事はとても簡単です。正直、向き合う事はとても大変だし、疲れるかと。
ですけど、このお話と向き合う事が、そのまま弱さを知る事で、心を知る事だと、自分は思いました。弱さを知らないで、人を知る事は出来ませんもんね。

自分がこの小説の中で一番関心した所が、お互いの左手の傷で心が通ったと感じ、思ってくれる人が一人居るだけで、救われた感覚に襲われた場面です。
自傷うんぬんは置いとくとして、正直自分も、分かり合うために生きていますからね。

目の前の現実は人それぞれ。そしてその「人それぞれ」を、ちょっとだけでいいから分かってあげて欲しい。
少年に対して誰かがほんの少しだけ、理解する姿勢を見せてあげれれば、こうはならなかったのかな……と、思います。
若い人に是非とも読んで頂きたい作品だと思いました。