人にとって、目の前の現実がいかに巨大で困難なものであるかが分かり、生きる意味を教えてくれる、とても哲学的なお話。
このお話を鼻で笑い「何言ってんだ」で済ませる事はとても簡単です。正直、向き合う事はとても大変だし、疲れるかと。
ですけど、このお話と向き合う事が、そのまま弱さを知る事で、心を知る事だと、自分は思いました。弱さを知らないで、人を知る事は出来ませんもんね。
自分がこの小説の中で一番関心した所が、お互いの左手の傷で心が通ったと感じ、思ってくれる人が一人居るだけで、救われた感覚に襲われた場面です。
自傷うんぬんは置いとくとして、正直自分も、分かり合うために生きていますからね。
目の前の現実は人それぞれ。そしてその「人それぞれ」を、ちょっとだけでいいから分かってあげて欲しい。
少年に対して誰かがほんの少しだけ、理解する姿勢を見せてあげれれば、こうはならなかったのかな……と、思います。
若い人に是非とも読んで頂きたい作品だと思いました。