ENDING PHASE

◆Ending01◆陰謀の終焉

 巨大な猿に似た魔族が、どうっ……と倒れた。

 誰も彼もが疲労困憊、あるいは力尽きている。

 そんな中、ラヴィニアは地に足をつけ凜と立っていた。


GM:では、エンディングフェイズに入りましょう。最初のシーンは戦闘の直後。ラヴィニアの炎がグシオンを吹き飛ばしました。「くそ、キサマ本当に人間か!?」

ラヴィニア:うるさい! さっさと死になさい! むぎゅっと踏みつけます。

鉄也:ご、ご無体な(笑)。

GM:「魔族より邪悪なり! 悪役令嬢よ……」と言いながら、グシオンは燃え尽き、やがて消えていきます。

ラヴィニア:はん! 負け猿の遠吠えは心地いいですわ。

 魔族グシオンは倒れ、その亡骸は灰のように燃え尽き消散していった。

 そして、この場に残されたのは……。


GM:というわけで、魔族に操られていたルティという哀れな少女が残されます。

ラヴィニア:さて、このあとルティをどうするかだけど……。

GM:「今回はワタクシの負け。さあ、捕まえなさい。そうすれば、この国のプリンセスの座はあなたのものです」

ラヴィニア:はん! そんな称号などもういりませんわ。わたくしは、いずれエリンの統一帝ラヴィニアと呼ばれる女です(一同爆笑)。

ゼロ:そういえば、そんなこと言ってましたね(笑)。

鉄也:そうだ。ちなみにルティと王子との結婚はどうなるんだ?

GM:陰謀はイレーネのハルトマン・システムも把握しており、破談になりますよ。特に何もしなければ、ルティは裁きの場に立たされるでしょう。

ラヴィニア:……なるほど。では、イレーネに口利きをしてもらって、ルティの処罰か軽くなるように国王陛下に頼みましょう。

GM:「ワタクシに情けをかけるおつもり?」とルティは怪訝な顔をラヴィニアに向けます。

ラヴィニア:勘違いなさらない事ね。わたくしはあなたを夢から覚ましたかっただけですわ。あとはせいぜい現実を生きることね。

ポメ郎:ちょっと理屈が強引ポメ。

鉄也:ギ……素直じゃないなぁ(笑)。

ラヴィニア:黙らっしゃい!(笑)

GM:「ワタクシはいったいこのあとどうすれば……」

ラヴィニア:そうね……。


 ラヴィニアは少し考えるようにして、間を置いて答えた。


ラヴィニア:それはルティさんがご自分で考えなさいな。実家を立て直すもよし、新しくなにかを始めるもよし。

GM:「それではラヴィニア様はなにをするおつもりなの?」

ラヴィニア:わたくしには前世でみんなが幸せになるような仕事場が作りたくて果たせませんでしたの。だから、今生では世界を征服してみんなを幸せにしてやりますわ! 誰かに頼るのではなく、自分の力で。

GM:「そんなことが本当にできると思っていらっしゃるの?」

ラヴィニア:できるかどうかなんて関係ありませんわ。せっかく手に入れた二度目の人生ですもの。やりたいことをやらないなんて、もったいないというものですわ!

ポメ郎:そういうことポメね。

鉄也:ギ、俺は元の世界に帰ることが最優先だけど……でもセカンドチャンスを無駄にしたくないというのには賛成だ。

GM:すると、ルティはその場にひざまずくと顔を覆い泣きだしてしまいます。

ラヴィニア:ちょ、ちょっと。ヒロインが悪役令嬢の前で泣くなんて言語道断ですわ! ホラ、ハンカチーフを貸してさしあげるので、涙をお拭きなさい!

鉄也:あーあ。泣かしちゃった。

ゼロ:なんだかんだで面倒見がいいんですよねぇ。

ポメ郎:ところで、舞踏会はどうなるポメ?

GM:当然中止です。王都の人々もいぶかしがりますが、やがて忘れられてしまうでしょう。

鉄也:究極のプリンセスもこれでお終いか。

ラヴィニア:ルティさんが前世を引きずるのを止める以上、これまでと同じではいられないのですわ。現実を生きないと……。

ポメ郎:前世の上司への怒りで敵を倒した人とは思えない台詞だポメ(笑)。

ラヴィニア:せっかくいいこと言ってまとまったと思ったのに!(笑)

GM:それでは、そろそろ次のシーンに進みたいと思います。

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