◆Middle09◆大将軍の地下迷宮

 ボンクラ息子たちのひとり、テレンスは倒した。

 「次にアプローチをかけるのは誰にするのか?」一同は思考を巡らす。


GM:では新しいシーンを始めます。

ポメ郎:それにしても、予測できたこととはいえルティさんが悪者だったとは、ポメ。

ラヴィニア:たぶんその推理、半分間違っていてよ。

鉄也:ギ、半分間違い……というと?

ラヴィニア:考えてごらんなさいな。前世がアーシアンだったからといって、怪しげな術で人心をたぶらかせるわけじゃないのですわ。

ゼロ:つまり、さらに黒幕がいると?

ラヴィニア:少なくとも、彼女に力を貸している存在がいるのは確かだと思いますわ。

鉄也:ギ、そういう話なら、あの猿が怪しいなあ……。


 一気に推理を進めるPCたち。でも、正解が分かるまでにはまだすることがあるのです。


GM:それで、残る三箇所のうち、誰のところにいくかですが……。

ラヴィニア:エリントンのところね。

一同:判断はやっ!

ゼロ:ところでなぜエリントンのところを選ぶのですか?

ラヴィニア:この調子で進んだら、最後の戦闘のときにNPCがひとりルティの横につくと思うのですわ。

ゼロ:なるほど……それで?

ラヴィニア:だから一番戦闘が強そうなエリントンのイベントを先に潰すのですわ!

一同:そんな理由かよ!?(笑)


 結局、この後ラヴィニアの提案に反対の意見はなく、一行は大将軍の息子、エリントンの館へと向かうことになった。


GM:大将軍の邸宅は、ハイソなお宅で、イレーネ率いるハルトマン・システムの手引きによって裏口が開けられています。

ラヴィニア:すばらしい! イレーネさんは使える人! 華麗にコッソリ侵入しますわ!

GM:メイドとして潜入していた工作員によると、彼は地下室に向かったそうです。

ゼロ:じゃあ、地下に向かいましょう。

GM:地下は訓練場ですね。ここは、ぶっちゃけていうとミニダンジョンになっています。

ラヴィニア:あからさまに怪しいですわね。ともあれ、先に進みますわ。


●第一の部屋 訓練場の扉 

GM:地下へ降りていくと、まずは鉄の扉があって、閉まっています。

ラヴィニア:鍵は?

GM:見えるトラップとして、鍵がふたつかかっています。鍵Aとスティールスリットです。鍵Aは、このトラップを解除するか、扉を破壊しないと先へ進めません。スティールスリットは、【精神】判定に失敗すると、スリットにお金を突っ込んでしまうというトラップです。

ラヴィニア:ゼロ、トラップを解除してちょうだい。お金はわたくしが預かっておきます。

ゼロ:ひどい(笑)。……では承知しましたと言って扉に近づきます。

GM:扉にエンゲージすると、スティールスリットの効果範囲内になりますので、【精神】の判定をしてください。

ゼロ:では、【精神】判定を……(ダイスを振る)クリティカル。「私は文なし。こんなスリットに入れる金など持っていません」と思います。

ラヴィニア:すばらしいですわ。

ゼロ:まずは、扉にエンゲージしたので、トラップ探知しておきましょう。(ダイスを振る)クリティカル。

GM:連続でクリティカル!? ともあれ、新たなトラップが見つかってしまいました、悔しい! 実は、メイジキラーというトラップが扉にしかけられています。最も【知力基本値】の高いキャラクターひとりが、魔法攻撃の対象になるというトラップですね。

ラヴィニア:メイジたるわたくしを狙いうちにした罠!?(笑)

GM:スティールスリットに金を入れずに扉を開けた場合、メイジキラーが発動します。

ラヴィニア:じゃあ、お金を入れるしかありませんね。

ゼロ:1Gだけ入れましょう。「私たちを無事に通すのです」

ラヴィニア:回避判定が1Gで回避できるのならば、お安いものです。

GM:分かりました。では、メイジキラーは発動せず、奥の部屋に向かう扉が開きます。

ラヴィニア:では先を急ぎましょう。


●第二の部屋 訓練場

GM:一本道の通路をさらに奥へと進んでいくと、また部屋があります。ここはどうやら訓練場のようですね。でこぼこした壁の部屋です。部屋は広くて、奥に扉があるだけという、シンプルな構造をしています。

ゼロ:でこぼこしているのは、壁だけですか? 天井とか床は?

GM:でこぼこしているのは壁だけです。

ラヴィニア:なぜ壁がでこぼこしているのか、謎ですわね。

ゼロ:とりあえず、私がひとりで部屋に入って、様子を見てみるしかありませんね。

GM:ちっ、シーフに先行して入られたか! ゼロは【感知】判定をどうぞ。目標値は16です。

ゼロ:(ダイスを振る)……クリティカル! 三連続クリティカル。私、大活躍。

GM:今日のゼロは神がかりすぎですよ!?(笑)

ラヴィニア:今日死ぬかも。

ゼロ:死にませんよ!

GM:では、トラップに気づきます。でこぼこした壁には、イリュージョンというトラップがしかけられていて、壁にはウェポンイーターがびっしり詰まっていました。このトラップに気づかなかった場合、ウェポンイーターによる奇襲攻撃を受け、《アイテムイート》が猛威を振るう予定でした。

鉄也:俺を殺す気か!?(笑)


《アイテムイート》

 ウェポンイーター固有のスキルで、この攻撃を命中された対象はアイテムを破壊されてしまいます。どのアイテムが壊れるかはGMの任意となります。


ポメ郎:鉄也さんの場合、剣か鎧が食べられると、大きくさしさわりがあるポメね(笑)。

鉄也:ギギ……ゼロさん、ありがとう。

ゼロ:仕事ですから。……ともあれ、邪魔なウェポンイーターは始末しましょうか。


 というわけでウェポンイーターとの戦闘が発生。しかし、奇襲攻撃が発生しなかったため、ウェポンイーターはラヴィニアたちの脅威になれず、あっさり駆逐されてしまったのである。


●第三の部屋 謎の工房

GM:訓練場を乗り越え、新しい部屋が見えてきました。奥からは、ガシャンガシャンと機械が動くような、工場のような音が聞こえてきます。

ラヴィニア:偽札を作る工場でもあるのでしょうか。部屋に入ってみましょう。

GM:部屋に入ってみると、機械が設置されています。怪しく脈打つ心臓のようなピンクの肉塊がベルトコンベヤーで流れてきて、ガシャンと機械がプレスすると、整形されたピンクダイアモンドが次々と生産されていきます。

ゼロ:なんと、ピンクダイアモンドの原料が心臓のような肉塊だったとは!?

ラヴィニア:気持ち悪いですわね……。

ポメ郎:明らかに邪悪な魔のアイテム。神官のボクが言うんだから間違いないポメ。

GM:ふと見れば。部屋の奥の方でフィルボルの少年エリントンが、満足げにその光景を眺めています。「美しい光景じゃないか!」

ラヴィニア:事情を聞くために、まずは彼を引っ捕らえましょうか。

GM:今回、相手が油断しているので、奇襲をしかけてかまいませんよ。

ゼロ:では、私が背後に忍び寄って、黒い袋を頭にかぶせましょうか。

ラヴィニア:宝石を外すときは、気をつけないといけませんわね。

GM:難易度20の【器用】判定に成功すると、安全に外すことができますよ。

ゼロ:(ダイスを振る)21。指先が割れると、中から精密作業用のマニピュレーターが出てきて、宝石を外したことにしましょう。

GM:するとエリントンは「はっ! 僕は正気に戻った」と自分を取り戻します。

ゼロ:あなたはルティ様に命じられて、ピンクダイアモンドを生産していましたね?

GM:「彼女の言葉を疑うことすらできなかった。言われるままに、彼女に渡されたあの肉塊をピンクダイアモンドに変える機械をここに設置して……」

ラヴィニア:ルティは、本当に悪人じゃないですか!

ゼロ:ピンクダイアモンドを生産したあとはどうしていたんですか?

GM:「他の仲間のところに」まだ出てきていないふたりのところへ運んでいたようです。

鉄也:ギ……これを商人の手で流通されたら世界中がルティにぞっこんに……。

ラヴィニア:そんな世界は願いさげですわ。

ゼロ:とにかく、エリントン様はしばらく私たちの船に身を隠していた方がいいでしょうな。

GM:「うん。僕、本当は争いごとが嫌いで、絵でも描いて暮らしたかったんだ。でも、大将軍の息子だから、そんな考えは許されなくて……」

ラヴィニア:なるほど。では、ミナミーノ島で、好きなだけ絵を描かせてあげますわ。

GM:「本当に!? やった! 僕、ブラックタイガーとか描いてみたかったんだよ!」

鉄也:知ってるのかよ、ブラックタイガーを!?(笑)

ラヴィニア:さて、この量産された宝石は、ハルトマン・システムに押収させましょう。

GM:では、しばらくするとイレーネが部下を引き連れて押収に来るということで。

ラヴィニア:それにしてもこれが流通してもらっては困りますわ。急いで大商人の息子ルイの身柄を押さえに行きましょう。

ゼロ:承知しました。

GM:では、ルイの家に向かったところで、シーンを終了します。

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