第二話「悪役令嬢の帰還」
PREPLAY
◆Preplay01◆究極VS至高
TRPGは時として先が読めないものでございます。
『ストレンジャーガイド』の紹介を目的としたリプレイ、ということで「異世界で内政っぽいことをする」シナリオを作ったら、悪役令嬢爆誕。
そこまではまあ予想できるシチュエーションの範囲だとして、よもやヒロイン(ダイアモンドプリンセス)を誕生させてしまうとは……。
ともあれ、勢いで演出してしまったこのヒロイン。
なんとかシナリオに組み込まないわけにはいきません。
この魅力的な素材をどう活かしたものか……。
色々工夫しているうちに「あっ!」という間に時は流れ……。
『アリアンロッド 2E・リプレイ・フォーリナーズ』第二話の収録日がやってきました。
GM:皆さん揃ってますね? それでは『フォーリナーズ』第二話の収録を開始します。
一同:よろしくお願いしまーす。
菊池:いやぁ、前回はいかにも異世界転生ものっぽくて楽しかった。
濱田:菊池さんずいぶん悪ノリしてましたもんね。
菊池:悪ノリ言うな!(笑)
田中:ライバルのヒロインまで誕生させちゃうし。
菊池:うーむ。ライバルなのにヒロインって矛盾した言い回しだよなあ。
悪役令嬢ものと呼ばれるジャンルの主人公の敵は、(主に乙女ゲーと呼ばれるジャンルの)ゲームのヒロインや、それに相当する「いい子」が担うことが少なくありません。
そのため、こういう言い回しになるのです。
鈴吹:まあ、「視点を本来の悪役側に置いた物語」だから、立ち位置がひっくり返るのは仕方ない。というか、そこが面白いところなんだよ。
濱田:なるほど。
GM:えー。それではそろそろ今回予告を読み上げます!
一同:はーい。
●今回予告
南の島で過ごすことになった転生ライフ。
辺境の地かと思われたミナミーノ島も、今は順調に開発と交易が進んでいる。
そこに舞い込んできた、招待状。
王都ログレスで舞踏会が開かれるという。
そこで発表されるのは、王子様の婚約。
参加しない場合は領地の召し上げもある……そう匂わされた。
そしてさらに、その裏で思いもよらぬ陰謀が進行していた。
『アリアンロッド 2E・リプレイ・フォーリナーズ』
第二話「悪役令嬢の帰還」
冒険の舞台がキミを待つ!
菊池:…………それにしても、ミナミーノ島って気が抜けるネーミングだよなぁ。
田中:いや、そこよりは領地召し上げに反応しましょうよ(笑)。
鈴吹:せっかくあの島を開発&経営して、王国に返り咲き権力を手にしようという状況になったのに。
濱田:島流しのつもりだった王国側としては見過ごせないってことでしょうか?
菊池:ふっ、逆に今回のシナリオで状況をひっくり返してやるわ。招待状もきて王都に凱旋できるようだし……(笑)。
田中:凱旋って……もう勝った気でいるんですか!(笑)
菊池:ラヴィニアは、いついかなる時も勝者のメンタリティを発揮する女なんだ(笑)。
GM:まあそのあたりはオープニングで描くとして、次はハンドアウトを読み上げますね。
■ハンドアウト
PC①(ラヴィニア)用ハンドアウト
コネクション:ダイアモンドプリンセス 関係:任意
ミナミーノ島の領主として生活していたきみの元に、ダイアモンドプリンセスから一通の招待状が届く。それは、王都で開かれる舞踏会への誘いだった。何でも、その舞踏会で王子様とダイアモンドプリンセスの婚約が発表されるという。
菊池:ちっくちょー! あの女、わたくしの婚約者の座を奪っただけでなく、いけしゃあしゃあと婚約発表への招待状を送りつけてきただとぉ!?
鈴吹:確かに……いい根性してるな!(笑)
濱田:まあ、純粋に善意かもしれませんし(笑)。
GM:そうそう(笑)。それはそうと、ダイアモンドプリンセスって呼ぶのも疲れてきたんで、菊池さんに彼女の名前を決めてほしいんですけど。
菊池:そうか……(しばらく考えて)……このキャラは人格的には完璧な究極のヒロインだからな。ウルテマという名にしよう。
一同:それは人名か!?(笑)
田中:せ、せめてもう少し女の子っぽい名前にしましょうよ。
濱田:「Ultima」をもじると……ルティとか、ティマとか?
菊池:じゃあ、ルティにしよう(笑)。
鈴吹:しかし相手が究極のプリンセスなら……。
菊池:なら?
鈴吹:ラヴィニアは至高のプリンセスだね(笑)。
菊池:それじゃこっちが悪者っぽいじゃないですか!?
一同:なにを今さら!?
菊池:あ……あれ?
GM:むしろ実態に近いですな(笑)。 続いてPC②~④のハンドアウトを読み上げまーす。
PC②~PC④用ハンドアウト
コネクション:ラヴィニア 関係:任意
ダイアモンドプリンセスからラヴィニアへ送られた一通の招待状。それにより、彼女は王都へ向かうことになった。
領地召し上げの噂もあり、王都でのラヴィニアは何かの陰謀にでも巻き込まれてもおかしくない。ラヴィニアを守るのが、キミたちの使命だ。
田中:陰謀に巻き込まれるって……むしろ陰謀を企みそうなんだけど(笑)。
鈴吹:まあ、ラヴィニア様は色々やらかしてるっぽいから敵も多いわけで。陰謀に巻き込まれる……っていうか、むしろいきなり攻撃される可能性も高いぞ。
濱田:いずれにせよ、自業自得感が強いっすね。
菊池:…………キミたち!?(一同爆笑)
GM:そんな頼もしい仲間とともに、ラヴィニアさんは王都ログレスに帰還するわけですね。
菊池:…………。
GM:では、そんなところで皆さん、前回入手した経験点とお金で成長を遂げたことと思います。ここで、その結果を発表してください。
一同:はーい。
▼PC① 菊池たけし……ラヴィニア・リベンジの場合
菊池(以下、ラヴィニア):8レベルになったラヴィニアは、《マジックフォージ》と《ディレイコマンド》のレベルを2レベルに上げましたわ。
GM:なるほど。《マジックフォージ》でダメージを上げ、《ディレイコマンド》で与える[ノックバック]の効果を増やしたわけですね。
ラヴィニア:そう。そして、仲間のダメージを軽減する《ロジカルウォール》を取った。ポメ郎の《プロテクション》とラヴィニアの《ロジカルウォール》で鉄也を守ろうという作戦。
鈴吹:確かに、壁役の鉄也が健在な限り、このギルドの負けはないからな。
ラヴィニア:そういうこと。そして装備もかなり強化した。島のダイヤモンド鉱山から採掘されたクリスタルを使い、S武具のショートソード、ハット、封精長靴をあつらえましたわ。
S武具とは、『スキルガイド2』で導入されたルールです。魔力の籠もったクリスタルを武器や防具に埋め込むことで様々な効果を武器に付与することができます。これにより自分好みにカスタマイズした武器を手にすることができるのです。
GM:どんなクリスタルを埋め込んだんですか?
ラヴィニア:埋め込んだクリスタルは七種。そのうち目玉となる効果は魔烈のクリスタルによる魔法攻撃のダメージ+3と、防塁のクリスタルによるダメージ軽減の魔術の効果+3といったあたりですわね。
鈴吹:随分作り込んでるなぁ。にしてもクリスタルが多くてキラキラしてるね(笑)。
ラヴィニア:そうそう。きらびやかさにもこだわった(笑)。ちなみにこのS武具のショートソードも、赤き斜陽の剣と同じく《メタモルフォーゼ》で杖型に変化するのですわ。
▼PC② 田中信二……五十嵐鉄也(黒騎士)の場合
田中(以下、鉄也):鉄也は防御強化として、《アイアンカバー》のレベルを2レベルにアップ。
ラヴィニア:鉄塊がより硬くなったのね。けっこうけっこう(笑)。
鉄也:鉄塊いうな(笑)。さらにシーンに一回鎧の重量をダメージに追加する《ファランクスアタック》、戦闘移動で侵入したエンゲージのモブに大ダメージを与える《ランオーバー》を新しく取得した。
GM:パワーファイターって感じですね。
鉄也:そう。元ラガーマンということで、身体全体をぶちかましてダメージを与える演出がしやすいスキルを取った。
鈴吹:地味に、鉄也が範囲攻撃できるようになったのは大きい。どこかで役に立つかもな。
鉄也:あとはロールスキルの《ブロウストライカーⅠ》も取得した。
濱田:《スラッシュブロウ》の使用回数が増えましたね。
鉄也:うむ。アイテムはやや命中判定の数値がこころもとなかったので、装身具の豪傑の証を購入。さらにファインポイントアーマーを購入、S武具にして器用のクリスタルを入れた。これで命中+2。地味だけどけっこう命中しやすくなった。
鈴吹:鉄也の場合、鎧の方の動かされ方が上達した感じだな。
鉄也:シュールだけど、俺は剣が本体なのでそう表現しても間違いじゃない(笑)。まあ、この鎧は味方をかばったり、敵に体当たりしてもらったりするので、頑張ってもらわないといけないな。
GM:鎧の中に巣を作ってる鳥たちも大変ですね(笑)。
▼PC③ 濱田晃輔……ポメ郎の場合
濱田(以下、ポメ郎):スキルは《アンセム》《ガルドル》《クイックソング》を新規に取得しました。《アンセム》はメジャーアクションに範囲で回復ができます。そして《ガルドル》は《アンセム》や《スレノディ》のような、対象が“範囲”のスキルを“範囲(選択)”にできます。
ラヴィニア:範囲(選択)の回復ができるわけか。使えますわね。
鉄也:《スレノディ》もより活きるようになった。
ポメ郎:さらに、《クイックソング》は《アンセム》や《スレノディ》をセットアッププロセスで使えるようにします。
鈴吹:やるなぁ。《クイックヒール》もあるから、色んなタイミングで回復できるな。
ポメ郎:回復なら任せるポメ! さらに一般スキルの《セレブリティ》を取得。【精神】の判定の達成値に+1できるポメ。
GM:では、装備などはいかがでしょう?
ポメ郎:祝福の花を新たに購入したポメ。HP回復を行う魔術の効果に+1Dされるという。さらに稲妻の杖やビレッタをS武具にした。対抗:スリップのクリスタルを入れて、スリップしなくなるなど、スライムらしさも色々強化したポメ。
GM:ううっ。PC側の防御と回復が強化されて、堅いギルドになったなぁ。
ポメ郎:やわらかボディでも、守備は堅いポメ!(笑)
▼PC④ 鈴吹太郎……サイバー・ゼロの場合
鈴吹(以下、ゼロ):レベル8になった私は、まず《ハードワイヤード》を取得しました。【器用】+2【幸運】マイナス1で、地道に命中判定やトラップ判定で有利になります。
ラヴィニア:堅実ね。
ゼロ:さらに《ルックアウト》を取り、リアクションと危険感知の判定に+2の修正がつきます。ほかには《フラッシュドライブ》を取得したことで、【HP】10点を代償に、ダイス目のひとつを6にできるようになりました。
ポメ郎:クリティカルをかなり出しやすくなったポメ!
ゼロ:そこが狙いです。さらにロールスキルの《クリミナルマインドⅠ》も取りました。これは、対象を知り合いだったことにでき、なんらかの頼み事をできるというものです。
鉄也:ビジネスではコネは重要だからなぁ。
ゼロ:装備はミスリルウィップ、ミスリルダガー、グリーンベレー、フェザーアーマー、ロストデビルズアイを新たに購入。グリーンベレーはS武具にして強化しました。以上です。
PC紹介図版↓(お手数ですが下記URLをコピーして、ブラウザに入力してください。図版を閲覧できます)
http://www.fear.co.jp/kakuyomu_gazou01/25pc-syoukai.pdf
GM:以上でPC紹介は終了ですね。では、ギルドのレベルアップをしましょう。
ゼロ:ふむ……(前回得た成長点を計算して)今回ギルドは1レベルから3レベルに成長するわけですな。したがって、ふたつほどギルドサポートを取得できます。
ラヴィニア:せっかく《ギルドハウス》と《GH:ギルドキャッスル》でラヴィニア城を作ったんだから、それを強化する方向で何かとりたいですわね。
鉄也:今回は王都ログレスに戻るみたいだから、情報収集の判定に+1Dできる《GH:ライブラリー》とかはいいかも。
ポメ郎:戦闘重視なら《GH:クアハウス》をとって、全員の【HP】を+10するというのはどうポメ?
ラヴィニア:どちらも悪くないですわね。
ゼロ:ラヴィニア様、《GH:工房》はいかがでしょう? これは、ギルドメンバーが使用する「種別:ポーション」の効果に+2Dできます。ラヴィニア城で、産業を振興している感じも出ますが。
ラヴィニア:なるほど。医薬品の開発は儲かりそうですわね(笑)。効果もなかなかですし、それを採用しましょう。
ゼロ:ありがとうございます。
ラヴィニア:もうひとつは《GH:宿屋》にしましょう。これは、ギルドメンバー全員が使用する、HP回復を行なうスキル、アイテムなどの効果に+1Dできるという効果です。
GM:げ。さらに回復を強化するですとぉ!?
ラヴィニア:鉄也のおかげで堅いギルドですから、回復面を強化すればさらに敵に倒される確率は減ると思いまして。
ポメ郎:さすがラヴィニア様。堅実な選択ポメ。
GM:ギルドサポートは《GH:宿屋》と《GH:工房》を選択したということで。では、オープニングを始めます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます