◆Middle11◆陰謀の根を暴け

 深夜。急遽、村の広場に集められた村人たちは、困惑の表情を隠せなかった。

 無理もない。新領主のラヴィニアが、拘束された海賊を引き連れてなにやら凄みのある笑顔で立っていたからだ。


GM:では、ご要望に応じてミナミーノ島の村人の中の裏切り者を探すシーンということでいいですね。

ラヴィニア:それでお願いしますわ。

GM:島を縦断して戻ってくることになり、一日目の夜一〇時ごろといった感じです。

ラヴィニア:かまいませんわ。海賊が逃げ出す可能性も考えて、なるべく早く話をすませましょう。

ゼロ:では、私は村長をはじめとした村人全員に声をかけ、広場に集めます。

GM:ではそのように。村人を代表して村長が出てきて、「領主様、ギルマンとゴブリンを退治しに行ったのではないのですか?」と訊ねます。

ラヴィニア:ぷらーんと吊している海賊にギルマンの頭部のハリボテをかぶせて見せます。「その犯人は、この海賊たちでした」

GM:「そ、それは、ギルマンのマスク……まさか」

ラヴィニア:そのとおり。泉を占拠していると噂されていたけれど、ギルマンはサハギンだ

ったし、ゴブリンはホブゴブリンでした。つまり、あなたたちのマイブラザーですわよ?

GM:「ま、まいぶらざー?」

ゼロ:つまり、兄弟のようなものだから、手を取り合って開拓をしていこうということです。

GM:「な……なるほど」


 口八丁で村人を丸め込むラヴィニアさん。


ラヴィニア:そして、島を恐怖に陥れていた海賊たちなのですが……彼らの海賊船が姿を消したんだけど、誰か見た人はいない?

GM:「いや、それはさっぱりですな」と、村人たちは素直に答えます。

ラヴィニア:ここで、わたくしはニヤリと笑いましょう。「情報を持っている人は素直に言い出せばよし、もし、黙っていたとあとでバレたら……ただじゃおきませんよ?」

GM:村人たちはざわめきます。しかし、何か情報を知っている者はいないようです。

ラヴィニア:ふーむ。この中には裏切り者はいない? でも村人のNPCって、村長くらいしか描写されませんでしたよね? ……あ、ジョンがいましたか。あのへらへらした狩人のジョンはどうしてます?

GM:では、【感知】判定をどうぞ。難易度は10。

ラヴィニア:(ダイスを振る)12。

GM:成功です。村人たちは集まっているはずなのですが、ジョンの姿は見当たりません。

ポメ郎:そういえば、いろんな噂をばらまいてたのはジョンだったポメ。

鉄也:ギギ……確かに、あいつは広場で、ゴブリンやギルマンの脅威を語っていた……。

ラヴィニア:ジョンを最後に見た人は誰? 何か知らない?

GM:「狩猟に出かけると言って、そのまま行ったきりです」「あいつ、最近入植してきたばかりだし、親しい友人もいねぇからなぁ」

鉄也:ジョンがどこに行ったかは分からないのか。

GM:【感知】判定でジョンの足取りを追うことができますよ。ただし、ジョンとの対決になりますが。《トラッキング》などがありましたら、使用できます。

ラヴィニア:《トラッキング》は持ってないですが……。

ゼロ:安心してください。我々には、比較的何でもできるポメロがいますよ。

ラヴィニア:そうだった! 汎用性の高いポメロがいました! この神の教えに目覚めたポメロの前では、何事も隠し立てはできないのですわ!

GM:では、みなさんは、手分けしてジョンを探すことになります。ジョンの《トラッキング》の判定の達成値は(ダイスを振る)……16。

ラヴィニア:(ダイスを振る)10。

ゼロ:一応、私も振っておきましょう。(ダイスを振る)14。ジョンを上回れませんでした。

ポメ郎:やはり、ここはボクの出番ポメ。《アンプロンプチュ》。(ダイスを振る)26。

GM:では、ポメ郎はジョンの痕跡を発見することができました。

ポメ郎:では、ボクはホブゴブリンの協力を仰いで、森に入ったジョンの足跡を追うのに成功した……という演出にするポメ。

GM:ではその結果、ポメ郎は島の北西の岸壁でジョンが海賊船と合流するところを目撃することに成功しました。ジョンが海賊船に乗り込むと船は出航していきます。

ポメ郎:それはまずい! ホブゴブリンさんたちに急いでラヴィニア様たち呼んでくるように頼むポメ!!

GM:では、みなさんは再び合流。ここまでがジョンを捜索するための判定の演出です。現在みなさんは海岸にいて、まだ海賊船はかろうじて沖に見えている状態です。

ラヴィニア:おお、たしかにあれはジョンですわね! よくやりました、ポメ郎。

ポメ郎:嬉しい! 褒めていただいたポメ!

鉄也:ギギ……しかしどうやって船に乗り込む?

GM:とくに工夫しなければ、このままだと、泳ぐ……遊泳状態で近づいてもらうことになります。しかし気づかれると、逃げられてしまいますね。

ポメ郎:サハギンに協力してもらうつもりポメ。だから彼らを呼んだポメ。

ラヴィニア:このポメロ、気が利きますわね(笑)。

GM:とそんなところで、山に慣れたホブゴブリンたちが、サハギンを連れてきてくれました。「こんな抜け道があったなんて知らなかったギョ」

ラヴィニア:ホブゴブリンとサハギンのすばらしきタッグですね。でも、感動するのはあと。今は、あの船に乗り込むのに協力をしてくれませんか?

GM:すると、サハギンたちが「ギョギョ! 俺の背中に乗りな」と協力に応じます。

鉄也:ギ……俺、重いぞ。

GM:鉄也に関しては三匹がかりで乗せてくれるそうです(笑)。

ゼロ:(サハギンになって)「海の中なら負けないギョ! さあ、しっかり掴まって!」

鉄也:水中に落下するのだけは勘弁な!

GM:では、みなさんは夜闇にまぎれながら、船を目指します。暗視ゴーグルがなければ、判定をしてもらおうかと思ったのですが……。

ゼロ:私、《サイバーアイ》で[暗闇]を無視できます。サイボーグですから。

GM:ええ。ですから、判定なしでいけます。というわけで、船にたどり着き、甲板へとよじ登ったところで、シーンを終了し、クライマックスフェイズに移りましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る