◆Middle10◆北の岬へ

 捕らえた海賊たちに案内され、ラヴィニアたちは島の北にある岬へとやってきた。

 しかし、夕日で赤く染まる岬には、海賊船らしき影は見当たらない。

 あたりには海鳥の鳴き声が、むなしく響くだけであった。


GM:では、北の岬に向かうということなので新たなシーンを始めます。夕日が水平線に沈み、辺りが赤く染まって、非常に美しく、心洗われる風景になっています。

ラヴィニア:観光地として売り出せそうですわね。それはそうと海賊船は?

GM:見当たりません。

ゼロ:辺りに人影はないですか?

GM:誰もいません。岬には船が停泊していた形跡はありますが、残されているものは何もなし。ただむなしく、アホウドリの鳴き声が響くばかり。アホー。アホー。

一同:…………。

ラヴィニア:……さて、海賊のリーダー格を、縄で岬から吊しましょうか。

GM:「ま、まままま待ってくれぇっ! ここが秘密の停泊場所だったんだ! 嘘じゃない!

きっと、俺らは見捨てられたんだ……!」

鉄也:大畑君のNPCは窮地に陥ると、活き活きするね(笑)。

ラヴィニア:三下GMですからね(笑)。さて、困りました。この落とし前は、どうつけてくださるのかしら?

GM:「そんな……! あっ、きっと、あんたの動きを察知して、逃げたのでは!?」

ラヴィニア:は? わたくしの、動き?

GM:「そう! ここに来ることを知られていたとか!」

ポメ郎:ラヴィニア様がゴブリンとギルマンを討伐することを、村人は知ってるポメ。

GM:「じゃあ、村人が裏で何かしてるんすよ!」と海賊リーダー。

ラヴィニア:その可能性はありますわね。

ゼロ:村人を全員集めて、話をしないといけないようですね。捕らえた海賊たちを見せて、サハギンやホブゴブリンの話もしましょう。

ラヴィニア:段取りはゼロにまかせます。村へ戻るとしましょうか。

ゼロ:私は村人を一カ所に集めますので、ラヴィニア様が直々に説明をしてください。

ラヴィニア:ええ、もちろん。……ところで、この海賊たちはどうしましょう? 人質にする価値もないし。

GM:「そんな! 俺たちを村人として迎え入れてくれるんじゃないのか!?」

ラヴィニア:まだ働きが足りませんわ。……そうね、敵の戦力を細かく教えてくれたら、あなたの処遇は考えましょう。

GM:「俺らと同じ、変装グループがもうひと組」と、必死になって答える海賊リーダー。

ラヴィニア:もうひと組?

GM:「俺らはギルマンに、もう一組はゴブリンにも変装してたっすよ」

ゼロ:なるほど、ギルマン変装チームと、ゴブリン変装チームがいたわけですか。

GM:「そう。そして、その予備チームと、船長がいたんだ」

ラヴィニア:もしかして船長はヴァイキングですの?


 ヴァイキングとは『AR2E』のクラスで水上での戦闘を得意とするクラスです。


GM:「もちろん! 船長は強いんだぞ!」

ラヴィニア:レベルは?

GM:「そんなメタな値は言えねぇな」(笑)。

ラヴィニア:使えない海賊ですわねえ(笑)。他に言い残していることは?

GM:「親分の右腕と呼ばれるヤツがいたみたいだが、そいつの正体は知らないんだ」

鉄也:ギギ、という用心棒がいるわけか。

ラヴィニア:(疑わしげな目で)本当でしょうね?

GM:「マジだって! 俺の純粋な目を見てくれよ」

ラヴィニア:ぷす(目つぶしをする仕草)。

GM:「ぎゃあああ! 目がぁっ、目がぁっ!?」(一同爆笑)

ラヴィニア:さ、行きましょうか。

ポメ郎:待って。こいつらこのまま放置しておくポメ?

ゼロ:始末するも、自由にするもラヴィニア様の思いのままに。

ラヴィニア:そうですわね……改心するなら、村で受け入れてあげましょう。

GM:海賊たちは、「助かった!」と、ほっとした表情を浮かべます。

ラヴィニア:ですが、悪さをしたらわたくしが直々に魔法を撃ち込み、クリンナッププロセスごとに来る毒のダメージでゆっくり殺してさしあげますわ。

GM:「わ、分かった! これからは、心を入れ替えて働くぜ!」

ゼロ:さて。それでは、裏切り者が誰かの調査とまいりましょうか。

ラヴィニア:じゃあ、ちゃっちゃと調査をしますわよ!

GM:では、調査をするために村へと戻るところで、シーンを終了します。

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