◆Middle07◆悪役令嬢の威厳
ラヴィニアたちは背中を向けて逃げ出したギルマンたちをひたすら追いかけた。
西へ向かう細く険しいジャングルの道を下りていく。
やがて、潮の香りがしてきた。
そして不意に道は開け、波が打ち寄せる海岸線が姿を現わした。
GM:では、みなさんは、ギルマンを追って西に向かいました。細い獣道を走っていくギルマンぽいものを、みなさんは追いかけます。
ラヴィニア:ちょっ!? お待ちなさい! いい加減逃げるのはやめませんこと?
GM:「待てと言われて待つ魚はいないギョ!」と連中は応じ、止まろうとしません。しばらく彼らの背びれを追うと、やがて森が途切れ見えてきたのは海――小さな入り江で彼らの住み処のようです。ここで、不意に彼らは反転し、皆さんを迎撃するような態勢を取ります。
ラヴィニア:もう疲れたし火の魔法を撃ちこんであげますわ。
鉄也:ギギ……当初の予定では様子を見るはずでは?
GM:彼らは「焼き魚になっちゃうギョ!」「ギョギョ、しかし、ここまで来れば!」と言って口笛を吹くと、海岸から仲間がゾロゾロと姿を現わし、みなさんを取り囲みます。
ラヴィニア:数に頼るとは……弱そうな感じですね。
GM:実際、彼らの動きは素人っぽいです。「あんたたちは何者だ!?」「殺しにきたというのなら、俺たちだって、容赦はしないギョ!」
ラヴィニア:降伏を勧告しましょう。
GM:「降伏だと!? 俺らを生け捕りにして、飯にする気かギョ!?」
ラヴィニア:……何の話ですか?
GM:「仲間に危害を加えるというのなら、許さないギョ!」
ラヴィニア:これ、普通のギルマンじゃあなさそうですね。
GM:「ギルマン? そんなわけないギョ!」と顔を赤くします。「あんな乱暴者と一緒にしないでほしいギョ!」と、ここでエネミー識別を行なってください。
ラヴィニア:じゃあ、わたくしの目を見てお話しなさい? じっくりたしかめてあげますわ。
GM:死んだ魚の目で見返します。
ラヴィニア:読めませんわ!? こいつらの思考が!?(一同爆笑)
ゼロ:死んだような魚の目から、思考を読み取るのは至難の業(笑)。
ラヴィニア:……というボケはこのくらいにして、エネミー識別(ダイスを振る) ……クリティカル! あれ? あっさり成功(笑)。
ポメ郎:ラヴィニア様が無双してるポメ!
GM:ちょっとした外見上の違いから、ラヴィニアは見抜くことができました。彼らはギルマンではなく、サハギンですね。種別は動物です。
サハギン
水中で生活する魚人の種族。基本的には善良で一部には冒険者として活躍する者もいま
す。エネミーのギルマンとよく似た外見をしているので混同されやすい。
ラヴィニア:あなたたちは、ギルマンではなく、サハギンですわね?
GM:「当然だギョ!」
鉄也:ギ……そう言われても普通の人には見分けがつかないんだよなぁ(笑)。
GM:「そうらしいな。人は俺らの姿を見ると『ギルマンだ!』と逃げてしまうギョ」
ラヴィニア:でも、わたくしたちが来たからにはもう大丈夫。
ゼロ:そう。このお方こそ、この島の新たなる領主、ラヴィニア様です。頭が高いですよ。
ラヴィニア:そう! さあ、平伏します?
GM:平伏させたければ、難易度10の【精神】判定で。
ラヴィニア:(ダイスを振る)お? ……クリティカル(一同爆笑)。
GM:では、後光が差すようなラヴィニアの威厳に気圧されて、サハギンたちは自然と平伏しました。「ギョギョー」(と平伏する仕草)
ラヴィニア:(ドヤ顔で)分かればいいのです!
ポメ郎:またクリティカル!? ラヴィニア様が無双しまくりポメ!?
ラヴィニア:ポメ郎。もっと褒め称えることを許します(一同爆笑)。
ゼロ:確かにラヴィニア様のダイス目はイケイケな感じですな(笑)。
ラヴィニア:では、サハギンから事情を聞き出すのはゼロに任せましょう。交渉のプロだし。
ゼロ:では、名刺を渡しましょう。
GM:「これはこれはご丁寧に」と、サハギンのリーダーも葉っぱに名が書かれたものを差し出します(笑)。「サハギン村の代表をしております、スズキと申しますギョ」
ゼロ:なるほど鱸さんですか。みなさんは、この村で長く暮らしていらっしゃるんですか?
GM:「この辺はずっと俺らが住んできたのですギョ。だが最近、ゴブリンたちが現われて、泉が占拠されてしまい困っておりまして。あそこは真水のとれる貴重な場所ギョ」
ラヴィニア:村人と同じですわね。では、人間たちに害をなすつもりはなく、あの泉を、人間たちと一緒に使うことを拒否したりしない?
GM:「もちろん! 人間たちが困ってるなら、一緒に使うことを拒んだりしませんギョ。全部奪い取るというのでなければ」
ラヴィニア:では、あなたたちが村人と泉を仲良く利用するための仲介役をわたくしたちが買って出ましょう。
GM:「さすがは領主様! 魚の心がよく分かっていらっしゃる! そのためならなんでも協力するギョ」
ラヴィニア:苦しゅうないですわ(笑)。
ゼロ:では、あの泉に来ていたゴブリンたちの情報をなんでもいいので話して下さい。
GM:「いつも武器で脅かされてるんだギョ。でも、あんまり近寄ったことはなくて……」
泉でしばしば遭遇する以外、サハギンたちはゴブリンたちについて詳しいことは知らず。住み処も不明。刃物で脅されたことはあれど、戦ったこともない、とのことであった。
ラヴィニア:ゴブリンと交戦した経験もなし? (少し考えて)…………オチが見えた気がするわ。GM、サハギンたちはこれ以上ゴブリンの情報をもっていない?
GM:そう考えてOKですよ。
ラヴィニア:では、サハギンたちと握手をしながら、有意義なお話ができてよかったですわ。と話しかけましょう。
GM:「いやいや、俺たちも、あんたに出会えて良かったですギョ!」さっきのクリティカルで、ラヴィニアに心酔した彼らは死んだ魚のような目を輝かせて手を握り返します。
鉄也:ギ……動物に好かれるダイヤモンドプリンセスに対抗し、ラヴィニアさんが魚人を配下に(笑)。
ラヴィニア:あの女がダイヤモンドプリンセスならば、今のわたくしはマーメイドプリンセスですわ!
ゼロ:それ、バッドエンドルートですから(一同爆笑)。
ポメ郎:泡なって消えるポメ(笑)。
ラヴィニア:しまったっ!?(爆笑) では、サハギンたちに言いますわ。村までホタテやホッケとかを適当に見繕って持ってきて。村人たちと親交を深めるには、魚介類が必要なの。
鉄也:ギギ? ホタテとかホッケは、北の海の幸なのでは……。
ラヴィニア:美味しいから好きなの! あと、海苔はノーセンキューですわ(笑)。
GM:「ラヴィニア様のためなら、ホタテとホッケを用意するギョ」
ゼロ:実に純朴な魚人たちですな。
ラヴィニア:これで、村と魚人のいさかいは解決の方向に向かうでしょう。あとは、ゴブリン問題ですわね。
ゼロ:島の東側に逃げたようなので、まずはそちらを捜索するのがよいかと。
ラヴィニア:そうしましょう。
GM:では、話がまとまったところでシーンを終了します。
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