◆Middle03◆新領主の公約

 ラヴィニアたちが島に到着してから、二日目の朝。

 食糧事情の改善が急務だと思ったラヴィニアたちは、山へ向かおうとしていた。

 村の人々は早起きなようで、すでに何人かは外にいて、何事かを話しているようだった。


GM:では、次のシーン。シーンプレイヤーはポメ郎。翌朝、みなさんが森へと向かおうと動き出したところですね。城から森に向かう途中にある村の広場が舞台です。

ポメ郎:村でなにか起きたっぽいポメ。

GM:ま、そんな感じです。

ラヴィニア:では、わたくしの「では、出発しますよ!」という号令でみんなで出発したということで。

GM:はい。では、お城を後にした皆さんは、村の中に入っていきます。その村の中心にある、井戸の近く。村人たちが、ひとりの男の話を聞いているのを見かけます。


 「どうしたんだ、ジョン」

 「俺たちに話があるって……何なんだ?」

 猟師や漁師たちは、ひとりの男に向かって問いかけている。


 「今日こそ魚を獲ってきて、子どもたちに魚を食わせてやりたいんだ!」

 「そうだ! 今度こそ、山で肉を獲ってきてやる!」


ラヴィニア:なんだ、この会話……。

GM:すると「いや、やめた方がいい」とジョンが彼らをいさめます。


 「この近くには、森にはゴブリンたちが、海にはギルマンたちが住み着いて、人里近くまで出没しているのはお前も知っているだろう?」

 「だが、飲み水もそろそろ足りなくなってきた。井戸だけじゃあ足りない」

 「そろそろ泉から水を引いてこないと……」


ラヴィニア:泉から水を引く……。

ゼロ:山の麓には、水が湧く場所でもあるのでしょう。

ラヴィニア:そこの人たち、安心しなさい! この村は、三日のうちに、魚も獣も、狩り放題になりますわ。

ポメ郎:どんだけ自信満々ポメ!?(笑)

GM:「あんたは誰だ?」「もしかして、噂の領主様か?」と村人は怪訝そうな顔で反応します。

ラヴィニア:村長から話が伝わっていないようですわね。

鉄也:ギ……顔見せがすんでないのだから、しかたないんじゃないかな。

ゼロ:では私が紹介しましょう。こちらはリベンジ伯の令嬢にして、ミナミーノ島の新領主ラヴィニア様でございます。

GM:すると「ひいっ、なんだこの不気味な黒騎士は!」「こんなとこにポメロ!?」「ひっ、あの悪い噂の新領主!? あ、すみません悪気があったわけじゃないんです」と村人たちは平伏します。

鉄也:ギ、ラヴィニアさんの悪名は鳴り響いてるなぁ。

ラヴィニア:おほほほほ。そんなに褒めなくていいのですよ。

鉄也:褒めてません。

ラヴィニア:とにかく! 恐れる必要はありません。そこの鎧もポメロも気のいい人たち。外見で判断してはなりません。

GM:「おお、なんかいい人っぽいぞ」と、村人の反応が和らぎます。

ラヴィニア:そして、わたくしに関する噂も事実無根ですわ。

GM:「嘘だ!」村人は即座に否定します。「ダイアモンドプリンセス様にした仕打ちは、噂で聞いているぞ」と、事情通の村人が騒ぎます。

ラヴィニア:なぜバレた!?(一同爆笑) まあ、根も葉もない話じゃないから(笑)。

鉄也:ギ、笑ってるばあいじゃないから!

ゼロ:少々悪評が広まりすぎたようですな。

ラヴィニア:くっ、これは行ないで示すしかありませんわね。とにかく繰り返しますが三日のうちに、皆さんが漁業や農業、狩猟に参加できる暮らしやすい島にすることを公約としてかかげましょう。

ポメ郎:公約って、選挙運動みたいポメ。

GM:「そうしてくれると助かるなぁ……」と、本当にゴブリンやギルマンに困っていた村人たちは納得しかけますが、そこでひとりの男が声をあげます。

ゼロ:どなたですか?

GM:ジョンです。「昨日はどうも。で、ラヴィニア様……あの泉はヤバいですぜ。泉の東にはゴブリンの群れが、西にはギルマンの群れが住み着いて水を奪い合っている。とてもじ

ゃないが、俺たちには太刀うちできねえ」

ラヴィニア:安心して。その群れも、二日でいなくなると思いますわ。

GM:「え? 二日で?」

ラヴィニア:あなたは、桃太郎という話を知っていて?

GM:「生粋のエリン人なんで、知りやせん。そんな、犬と猿とキジが出てくる話なんて」

ラヴィニア:知ってるじゃねぇか!(一同爆笑) 大丈夫。その皆さんが知らないであろう英雄を助けたお供に匹敵する人材をわたくしは従えています。

鉄也:ギ……俺たちがお供? きびだんごなんかもらってないんだが(笑)。

GM:「おお!! 後ろのポメロや黒騎士やサラリーマンが頼もしいお供というわけか!!」「桃太郎が誰かは知らんですが、いいんじゃないか?」と好意的な評価が村人から上がります。

ゼロ:ラヴィニア様……なかなかのカリスマ性ですな。

GM:「本当ですか!」「嬉しい! もうおかずが海苔だけの生活には疲れた」

ラヴィニア:そうですよね。わたくしも一日で飽きました。

GM:「よろしくお願いしますだ!」と村人たちは大盛り上がりです。

ラヴィニア:よし。人心は掌握できましたね。

GM:「ラヴィニア様最高!」「LOVE、ラヴィニア!」

ラヴィニア:ここは気持ちよくのせられておきますわ。

ポメ郎:で……ですが、ラヴィニア様。失敗したらどうするのでポメ?

ラヴィニア:わたくしたちは成功するしかない立場なのだから、それは些細な問題ですわ。それより、もっとマスコットらしく、わたくしをもり立てなさい(笑)。

ポメ郎:ポメ! ポメ!(踊る)

鉄也:ギ……いいんだろうか、この新領主(笑)。

ラヴィニア:これでいいのですわ(きっぱり)。では、村人に問題の泉の場所に案内してくれる人はいないか……聞いてみましょう。

GM:「ゴブリンとかが出るようなところへ向かうのはちょっと……」盛り上がっていた村人たちは、青ざめた表情で尻込みします。

ラヴィニア:エキストラだからしかたないとはいえ、ふがいないですわね(笑)。

GM:と、ここでさっきのジョンが「俺は最近入植してきたけど狩人だから、泉までの場所は把握している」と、地図(P99参照)を書いてくれます。

ラヴィニア:気が利く!!(笑) ジョンは見所がありそうですわね。案内を頼めませんか?

GM:「それはちょっと」ジョンはもう真っ青な表情です。

ラヴィニア:どいつもこいつも!!(爆笑)

GM:ともあれ、道のりを把握したみなさんは、村人の応援を背に受けながら、泉へ向かうことになります。

ラヴィニア:がい旋する気マンマンで山へ向かいますわ。

GM:では、みなさんが向かったところで、シーンを終了します。

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