◆Opening03◆となりのポメロ

 森の中に優しいポメロが住んでいる。

 そんな噂を聞きつけたラヴィニアは、忘れ物を探しに行くような思いで、鬱蒼とした森の中に分け入っていくのであった。


GM:では、次はポメ郎のシーン。ポメ郎がどんな形でラヴィニアに合流したいか……それを表現していただきたいわけで……。

ポメ郎:せっかくエネミーの姿に転生したんだから、一回はラヴィニア様に討伐されたい。

鉄也:なにその屈折した願望(笑)。

ゼロ:まあ、おとぎ話とかでもよくあるシチュエーションだポメ。

ラヴィニア:よろしい。では、炎と毒で討伐してあげますわ。

ポメ郎:ノォーッ!! 死なない程度に討伐してほしいポメーッ!! そして優しく抱きしめて欲しいポメェーッ!!


 注文の多いポメ郎さんです。


ポメ郎:じゃあ、ポメロに転生した僕は、とある森の泉でポメロたちとともに暮らしていたんだポメ。

GM:ふむふむ。

ポメ郎:しかし、周りのポメロは「ポメポメ」としか話せず、全然コミュニケーションがとれなかったポメ。

ラヴィニア:確かにポメロの知性なんて、それこそ脳みそスライムなみだろうし(笑)。

ポメ郎:そんな仲間ともコミュニケーションがとれなかった僕にある日、神の啓示が来たポメ。そして不思議なことにアコライトのスキルが使えるようになり、ポメロや森の動物たちの傷を癒やすことで、人気者になったポメ。

ゼロ:ポメロ界のリア充に!

ポメ郎:そのうち迷い込んだ冒険者を助けたこともあり、仲良くなったバードの人からスキルを学んだポメ。でも、その冒険者たちが僕のことを街で話したので、ちょっとした噂にな

ったって感じかな。

ラヴィニア:なるほど。その不思議なポメロの噂をわたくしがキャッチアップして、森に赴いたことにしましょう。

ゼロ:ラヴィニア様は、好奇心旺盛ですな。

ラヴィニア:様々な情報に網を張っておくことは、金儲けの基本ですわよ。

 こうして、ラヴィニアは単身、不思議なポメロが住むという森の奥へと向かった。


鉄也:あれ? そういえば、ポメ郎ってラヴィニアさんに討伐されたかったんだよね。これだと討伐されないのでは?

ポメ郎:そこは、哀しい誤解があったポメ。ラヴィニアさんを見て、仲間のポメロたちが外敵だと誤解して攻撃を始め、不幸な戦いが巻き起こってしまうポメ。

ゼロ:(仲間のポメロになって)ポメポメーっ! ポメ郎を守れぇーっ!!

ラヴィニア:《ファイアボルト》をシーン全体攻撃にしてなぎ払う。

鉄也:容赦ねぇっ!(笑)

ポメ郎:みんなを殺させないポメェーっ! とその炎を受けて倒れる。ばたり。

ラヴィニア:あ。……やっちゃった?(笑)

ポメ郎:では、死なない程度に討伐された僕は戦闘終了後に起き上がる。そして、ポメ郎は仲間になりたそうな顔で見ている。

ラヴィニア:お前は有名コンシューマーRPGのモンスターかっ!?(笑)

鉄也:そのネタがやりたかったのか(笑)。

ポメ郎:そうそう。転生前に遊んだゲームのようなシチュエーションに、僕はこの人に対して運命のようなものを感じます。そして、思わず転生前と後の身の上話を始めるわけで……。

ラヴィニア:なるほど。あなたも現代地球からやってきたわけですわね。そして神官としてもなかなかの腕前のようですね。いいでしょう。あたしの同志になりなさい!

ポメ郎:……は、僕のラヴィニア様へのPC間コネクションは[同志]!

ラヴィニア:わたくし、このたび新領土ミナミーノ島を治めることになりました。その地の民を従えるため、わたくしの意のままになる神官長がほしかったところ。

鉄也:ポメロが神官長でいいの!?

ラヴィニア:いいのよ! ゆるキャラっぽい外見は、民心をゲットする可能性を感じるわ。

ポメ郎:そこまでおっしゃるなら……。

鉄也:どこまでだよ(笑)。

ポメ郎:……分かりました。このポメ郎、ラヴィニア様に一生ついていくポメ。

ラヴィニア:ほっほっほ。これにて一件落着!


 かくして、ラヴィニアは不思議なポメロ、ポメ郎を退治し配下にした。

 このエピソードは「ラヴィニアのポメロ退治」として後の世に伝えられている……。

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