◆Opening02◆さすらいの魔剣

 五十嵐鉄也は言葉を話す魔剣である。

 元は高校生だったはずの彼は、巨大な鉄塊――魔剣としてエリンで第二の生をうけた。

 幾多の戦乱で活躍した彼は、今、漁港の一画に転がされていた。

 漁師たちの好奇の視線が痛い。……そんな時、ひとりの少女が彼の前に現われた。


GM:では、次は鉄也のシーンですね。ラヴィニアと同行する流れをつくってほしいというオープニングです。

鉄也:ふむ。で、なにかきっかけになるようなシチュエーションとかはあるの?

GM:ありません(きっぱり)。アドリブでお願いします。

鉄也:丸投げかよ!?(笑)

GM:皆さんならできる!(笑) とりあえずPC間コネクションなどが手がかりになるかと。

鉄也:なるほど、ビジョンがあるなら言えばいいのに。PC間コネクションからすると、ラヴィニアさんは俺の[後援者]か。……そもそも俺、エクスマキナのスキルをとってるから、まずアルディオンに転生してるんだよね。


PC間コネクション図版↓(お手数ですが下記URLをコピーして、ブラウザに入力してください。図版を閲覧できます)

http://www.fear.co.jp/kakuyomu_gazou01/11connection.pdf


ラヴィニア:そういやそうだ、ですわ(笑)。

鉄也:まず大陸を渡らないとな(笑)。ギギ……(とうとうと語り出す)俺が転生したのは、まだ戦乱が続いていたアルディオン大陸だった……。

ポメ郎:そこから!?

鉄也:そう。そこから語らないといかんのだ(笑)。で、とある英雄の魔剣に転生した俺は、アルディオンで暴れ回っていた。

ゼロ:そこで、レベルを上げてったわけだな。

鉄也:そうそう。俺を使っていた英雄は魔剣の騎士として名を馳せたが、武運つたなく敗れてしまう。そして、俺は「やはり魔剣などを使うと不幸を呼ぶのだ」と彼の戦死の責任を周囲の者に押しつけられた。

ラヴィニア:メチャクチャ不幸だな!(笑)

鉄也:ギッ……しかし、剣である俺は逃げることもできず、怒りに震える英雄の身内の者の手によって海に投げ捨てられた。

ポメ郎:どうやってエリンディルに来るんですか!?

鉄也:海に捨てられた際、俺はくじらにのみこまれるんだ。そのくじらがエリンディルの漁港で水揚げされ、腹から魔剣……すなわち俺が見つかり、ちょっとした騒ぎが起こるわけだ。

ゼロ:漁師たちもさぞ驚いたことだろうな(笑)。

ポメ郎:ちなみにボディになる鎧はないポメ?

鉄也:そこは[後援者]に世話になった感じを出すために、この時は鎧がなく、彼女に後にあつらえてもらったことにしようかと。

ラヴィニア:なるほど、それでいいですわ。じゃあ、噂を聞いてその漁港に出向いたことにしましょう。うまく行けばいい金になるかもしれませんわ!

鉄也:登場してくれるのはありがたいが、売り飛ばさないで!(笑)


 エルーラン王国の王都ログレスの漁港は、黒山の人だかりが出来ていた。

 くじらの腹から魔剣が出たという、世にも珍しい事件が起きたのだから無理もない。

 そこに馬車に乗り付けて現われたのは、リベンジ家の令嬢ラヴィニア。

 彼女が進むと、群衆はその威厳に思わず道をあけた。

 その姿はまるで海を割って進むモーゼのごとし。

 そして彼女が進む先には、ひとふりの魔剣が転がっていた。


ラヴィニア:では、魔剣に近寄って問いかけますわ。くじらの腹から出てきた人語を話す魔剣とはあなたかしら?

鉄也:では、転生してやさぐれていた俺は、ギギッ……俺のことはほうっておいてくれ……とすげなく答える。

ラヴィニア:本当に売り飛ばしますわよ(にっこり)。

鉄也:いやいやそれは困る(笑)。では、とるものも取り合えず身の上を語ろう。俺は元々地球という世界から来たんだ。あんたには分からないだろうが……。

ラヴィニア:……分かるわ。

鉄也:ギギッ……信じられないか? 笑ってくれ……ってなにぃ!?(一同爆笑) 分かるってどういうことだ?

ラヴィニア:わたくしも地球からの転生者なのですわ。

鉄也:(嬉しげに)そうかそうか。こんなところでお仲間に会えるなんて。いやぁ、転生前の俺は、花園を目指すラグビー部の高校生だったんだ! いやぁ懐かしいなぁ。

ラヴィニア:あたしは会社員のおっさんだったわ。

鉄也:…………。

ラヴィニア:…………。

鉄也:……その、なんかすまん。

ラヴィニア:なんで謝るのよ!?(一同爆笑)

鉄也:ギギ……色々苦労したんだろうなぁ、と。他人のことは言えんが。

ラヴィニア:とにかくここで会ったが百年目。元現代地球人同士ということで、あんたはわたくしの覇道の手伝いをするのよ。

鉄也:覇道!?

ラヴィニア:この世界に現代地球の技術を導入し、わたくしの力で支配するのですわ。

鉄也:ギギッ、とんでもないことを考えてるんだな……。それに、俺は元の世界に戻ってナナミを花園に連れて行きたいだけなんだが……。

ラヴィニア:じゃあ、覇道が達成できた暁には、あんたを元の世界に返してあげる。

鉄也:乗った! あんたに手を貸そう。

一同:即決かい!?(爆笑)

ラヴィニア:(ぼそりと)……まあ、地球に帰る方法はわからないのですけどね。

鉄也:ギギッ!? なんか言った!?(爆笑)

ラヴィニア:まあ、覇道を成すまでの間に元の世界に戻る方法を探してあげるから、それでまけておきなさいな(笑)。

GM:……と、ラヴィニアさんが鉄也と邂逅を終えたところで、このシーンを終了します。


 こうして、魔剣五十嵐鉄也を仲間にしたラヴィニアは、彼を操るボディとなる鎧を購入し、彼に与えた。

 以後、自らをがらんどうの鎧に操らせる魔剣は、謎の“黒騎士”として彼女の身辺警護を務めることになるのであった。

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