第9話 賽の河原

ここは三途の川の川原で

賽の河原と申します


親に先立つ不幸を詫びる

死んだ子供のくる所


『一つ積んでは母のため

 二つ積んでは父のため』

石を積みあげ供養する


後一息で塔が出来

供養の祈りも終わります


どこからくるのか赤い鬼

どこからくるか青い鬼

供養の塔を蹴り崩す


美味そうな匂いだと

子供達を追いかける


助けて下さい地蔵様

衣に隠れてふるえます


さしもの鬼も見つけられず

振り返りつつ去って行く


『一つ積んでは母のため

 二つ積んでは父のため』

永久に繰り返す塔作り


賽の河原は薄暗く

寂しい侘しい世界です

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る