大和撫子ネオの条件 その一「仕事と収入」


 これを読む読者は「婚活」に興味がある人たちかもしれないですね。海外ヨーロッパの女性達を見て思う「大和撫子ネオ」の条件を書いていきたいと思います。


 第一に「大和撫子ネオ」には一人で生きていける十分に自立した収入が必要です。これは今の日本ではかなり難しく、職種が限られます。なぜ難しいかと言えば、日本が過渡期にあるからです。日本は女性の経済的自立が遅れている国で、行政の受け皿がまだ整ってない状態ですね。


 自分で自立して一人で生きていける収入が得られる職業は、医者・弁護士・裁判官・公務員・学校の先生・薬剤師・看護婦・福祉や介護関連職員・大学職員・金融関連会社員・実業家などでしょうか。途中でリストラにあわないような業種となるとかなり絞られてしまいますが。ウェブのクリエイティブ職、デザイナーなど、他にもっとあるかもしれないけれど、結婚し、子供を産んでも、辞めないで働く方がずっと得で、しかも「辞めないのが普通」の職業についているなら、条件をクリアと考えても良いでしょう。パート勤務や契約社員などの先が見えない雇用状態は避けたいのは、西洋諸国をみれば明らかに、祖母の世代から「専業主婦はもういない」時代に突入しているからです。家庭に入り、仕事を辞めて子育てが可能だった日本の女性達はある種、とても恵まれていたことになってしまいますね。欧州の場合、すでに祖父母の時代から女性の社会進出が進んだ形になります。


 これはほぼ、最低の条件となりますが、この最難関の「自立した収入」をクリアすると結婚のしあわせからむしろ遠ざかることもあります。これらの職業につくと結婚に意味を見出せず、独身貴族にもなりがちになるパラドックスです。これがある種の罠になってます。実は「別に独身でも良い」と思うのは若いうちだけで、必ずといっていいほど、たいていの場合は寂しくてたまらない時が来ます。もちろん個人差があるのは承知の上で言いますが、女性の場合、37歳以降、42歳以降、50歳以降と波があるのが見て取れます。結婚は出産と深い関わりがあるので、29歳、32歳なども節目。


 別に独身でも構わないのだけれど、そうなると日本の人口は減り、ますます社会的に住みにくくなっていく悪循環に陥ります。先細りの国に未来はなく、ロボットが人間に置き替われるというのは所詮、幻想です。5080問題や子供部屋おじさん、大人の引きこもりと社会問題化している日本ですが、日本人のシャイさと日本社会の同調圧力の強さがこのような問題を生み出しています。風を吹き込むためには、「多様なあり方を肯定する」社会の仕組みに変えていかねばなりません。他人についてとやかく言わない「個人主義」が発達しているフランスでは、「人は人、自分は自分」であるために「隣は何をする人ぞ」という状態が普通なのです。それだけ自由度が高く、のびのびとしています。もちろん、進んだ海外を見習えばよいというわけでなく、それぞれに一長一短あります。文化的な違い、風習風土の違いがありますから、良い部分を取り、悪い部分は他山の石としましょう。


 日本の場合、国のサポートが遅れすぎていて話にならない状態です。待機児童の問題と、女性が子供を産み育てながら、仕事を継続できる環境に今はない状態なのです。これが欧州になると、子供を預ける場所が充実していて、たとえ植民地時代の落とし子のような状態でも、ベビーシッターや家の家事手伝いのクリーニングサービスが民間レベル、国レベルでも整っています。また、日本は子供の教育にお金がかかりすぎる。私立高校や大学に行く費用。子どもを産めば、生活が苦しくなりすぎる。欧州でも例えばフランスは大学に行く費用がほとんどかからないし、二人目の子どもを産まないと「絶対に損」という税の仕組みであるために、出生率を上げることに成功しています。そして婚姻してもしなくても、同等に権利を広げているために、子どもができたら必ず結婚しなければならないという重圧もないようになっています。同性婚も。


 結婚と離婚が簡単になると、再婚し、子どもを産み、また新しい家族をつくるチャンスを得られるために、人生が何度でもやり直しがききます。自由度を高めて、人生のクオリティをキープする。常に新しいパートナーとの楽しい日々のイベント。奴隷のようにいやいや朝から晩まで働いて生き続けなければならない状態から、逃れやすいライフデザインを選択しやすい環境となっています。海外の場合、親の介護も日本よりはしやすい。親の面倒は子供がみる比率は日本の方が高く、せっかくの人生の黄金期の良い時期を、仕事を捨ててまで、サポートのない苦しい親の介護生活に当てないといけないケースも結構みます。むしろ独身で「あなたには世話をするべき子どもや配偶者がいないから」という兄弟からの「無言の圧力」がかかるせいかもしれませんね。


 結婚の高齢化に伴い、結婚でいきなり義理の親の介護生活に突入、という状況も増えました。経済的に自立を果たした女性が「もう結婚なんて」と思う理由もこのあたりにあり、キャリアと自立と結婚の関係は一筋縄でいかず、仕事が落ち着いたら結婚というのは「そんなことではいつまでたっても結婚できない」ことになるので注意です。もちろん、彼氏がいる人も同じ。日本人は比較的、コロコロとパートナーを簡単に替える人種に見えるのは不思議ですが、実際そうです。結婚しようと思っておつきあいしていた人が去った割合の体感は日本人にすごく多いです。おそらく日本人の結婚観、同棲観などと関係しています。結婚へのハードルが高すぎる日本は、お互い、仕事など落ち着いたらと考えるうちにご縁が立ち消える感じですね。「ただ生きる」ことが苦しすぎる国だからです。


 海外の場合、同棲が多く、イコール結婚しているに近い状態になります。フランスでは同棲婚でほぼ結婚と同じような権利が得られるので、そうしてしまうカップルが多いです。日本で同棲すると、世間体が悪く、「結婚前のお試し」でそうして、結局は別れてしまうケースの方が多く感じます。海外の場合、そうならないのはやはり仕事の仕方が余裕があるせいかもしれません。


 自分一人で十分生きていける、しかも髪振り乱して、必死に全てを犠牲にして身を粉にして働かなくても良い環境を得られること。自分の環境が変わっても、生涯続けられる仕事であること。これが「大和撫子ネオ」となれる第一条件です。


 結婚したら寿退社の時代からの大きな変化を見ていると、その波に乗ろうというのは、今現在では女性に対して逆風すぎて、なかなか難しい現状です。女性側の意識の変化だけではもちろん、新しい風は起こせないので、男性の意識の変化や行政に働きかけていかねばならない日本です。自立した「大和撫子ネオ」は自分で自分のしあわせを勝ち取るのです。「わたしが相手をしあわせにしてあげる」。それくらいの気概がないと。日本の女性は、繊細でか弱く、優しい人が多いですが、それは育てられた古い「大和撫子的価値観」のせいもあり、その意識を変えていけば、皆しあわせになれます。失敗を恐れずにいきましょう。

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