モテて困るサムライ男子のその後


 久々に更新することにしました。それというのも、時間が経って、状況がかなり変化してきたのを感じたからです。


 日本の少子化もすごい勢いで進んでいると感じます。「日本=少子化をロボットで乗り切ろうとしてる国」というイメージがついています。冗談のようですが、実のところ、欧米諸国からはそんなふうに見られているようです。


 アクセス数を見て、最も人気があった話題の続編を今回書くことにしました。実家に蔵を持つような由緒正しい農家から地味でしっかりした大人しい嫁をもらい、モテて困ってるサムライ男子はその後どうしているのか、という話です。


 子供も少しずつ成長し、塾にお稽古事に忙しい日々。家も購入、良い地域に住んでます。長期にわたる激しい出世競争に勝ち抜き、見事、最近、高倍率の課長の席を得た彼です。競争倍率の高さを考えると、もうそこまで同期や周りに気を使わなくて済むようになったようで、背広、シャツや時計、財布、カバン、ちょっとくらいおしゃれしても大丈夫なのだと。相変わらずモテて困っても、やはりもう雲の上の人。「憧れの人」という定位置だとある意味、守られるようです。

 

 住んでいる場所が医者や弁護士の多く住むセレブな地域のため、交際費がすごくかかる模様。最近、奥さんが気丈にも外に出て働くことを決めたらしい。


 専業主婦という椅子は、むしろ女性もキャリアがあり普通、という今の周りのご近所の雰囲気と合わないらしく……。働きに出たいというなんて、意外なので驚きます。それだけ奥方にも能力があるということ。専業主婦で十分な収入があるのに、周りと話が合わないのが苦痛、それにこれからもっと子供たちのお稽古ごとや進学にお金がかかるだろうから、と。家のことに差し障りがないように、フルタイムでなくパートを選んだ奥方。せっかく持っている資格を活用しない職を選ぶあたり、彼に遠慮が見られます。一応、キャリアというよりは、子供達の進学費用に備えたいということのようです。


 彼は出世したらしたらで、また新たなストレス源が増えているようで、つい当たり障りのない子供に当たってしまうと聞きました。あの温和な彼が子供に当たってしまうというのは、仕事のストレスとは、本当に恐ろしいもの。想像もつかないのですが、自分の子供だと、たとえちょっとくらい当たっても、父の権威で乗り切れてしまう。それは教育上とても良くないこと。第三者が冷静に見ればすぐわかるものの、彼をそこまで追い詰める会社というのも、なんというか、怖いです。


 この話は以前に書いたか忘れましたが、どれくらい激務かというと、仕事中に、気づかずに席で排泄してしまった人がいるくらいに激務だと。自分がトイレに行きたかったことさえも忘れ、排泄に気づかないまま必死に仕事しているのが普通というのは、言うまでもなく、普通の環境ではないでしょう。もちろん、そんな激務だとおそらく精神を病んだり、ドロップアウトしたりする者も同僚に多いだろうと推測できます。職場がそういう環境だから、家に帰ってホッとしたら、騒ぐ子供を思わず叱りつけてしまうのも不思議はない気がします。


 あれだけイケメンに惚れて惚れて結婚しても、奥方も、そこまでのストレスを抱える夫をうまくサポートしきれないようです。働きに出るというのは、一応、いざという時に備え、収入の柱を二本立てにしておきたいということなのか、それとも、離婚への布石なのか。家からちょっと出ることで息抜きしたいというのもあるでしょう。離婚までいきなり進むというのは考えられないことですが、どれだけイケメンで優秀であっても、無茶苦茶なストレス環境に置かれると、離婚や病気が心配です。奥方も仮に夫に何かあっても、当面は大丈夫というふうに蓄えたいのでしょう。


 せっかく激しい出世競争を勝ち抜いたのだから、家庭も順調にいって欲しいものです。奥方の方は、とにかく子供に甘く、優しく、それもあってか、夫の彼は、子供と奥方を取り合う関係になっています。それで、時に奥方に甘えたいイケメンの彼はつい子供に当たってしまう。しかも良くないことに「日曜くらい子供と一緒の時間を過ごして欲しい」と強く主張する奥方。単身赴任が終わった彼は、友人と遊びに出かけたり、学生時代から続けているスポーツや趣味の活動が全くできない環境に置かれているらしく、「息が詰まる……」と不満を漏らします。


 この黄信号、何事もなければいいものの。おそらくもう少しイケメンの彼も、奥方に優しく接したり、子供と遊んだりの時間を多く取り、家庭崩壊を未然に防ぐ努力が入りそうです。気の緩みがとても危ない状況。奥方は、老後までずっとついていくことが難しいと感じ始めているようです。


 彼は奥方の不満に気づいてない。気づいていても、まあ自分に惚れているのだから、大丈夫だろうとタカをくくっている気配があります。女性というのは、環境への順応性がある生き物、気持ちがころっとあっさり変わる生き物。イケメンの夫までも大きな子供になり、托卵のように、自分の実の子を巣から追い落とすような態度を取り始めると、自分の子を守るために、どういう選択をするかわからないような怖さを感じます。おそらくイケメンの彼はそこまで危機を感じていないところが、気の緩み。とても危ない。


 女性、妻が外に働きに出るということのリスクを、イケメンの彼は気づいてないのではないかと思います。外に出れば収入もでき、誘惑もある。釣った魚に餌は要らないと甘く見ていると、釣り堀から魚が盗まれる事態が起こるかもしれません。自分が惚れられているから、と安心仕切っている様子は、ちょっと危うい状況を呼んでいます。奥方だって、家以外に自分を置いて、妻、母以外の「女」としての自分の価値、「社会的な立ち位置」を改めて見直したいと思っているに違いありません。


 何か新たな進展があれば、また書くことにします。

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