家庭の役割分担〜男女平等は平等にあらず

 欧米の男女平等について

 読者の方から、日本では、欧米のように男女平等に、という”変な方向での男女同権”が進んでいる、とご意見承り、そのことについて、書きたいと思います。


 男女平等とは、男性も、女性も、一緒に家庭を運営しながら、それぞれに収入を持ち折半、家庭内の仕事も折半する、ということ、ですよね?


 専業主婦の仕事を侮ってはいけない、と俺は思います。


 欧州では、女性がフルタイムで働いていますが、日本と違うのは、きっかり9時−5時の定時で終わる。15分くらい前から、店なら半分シャッターが降りるくらい極端です。5時になったら、カウントダウンみたいにきっかりに電気が消えて、従業員が既に一人を残してみんな外に出てるくらいのイメージ。日本でそんな会社ってありますか?定時のきっかりで電気が消えて、既に従業員が全て会社の外にいるような会社。


 極端な言い方をしましたが、日本のように便利なサービス優先の国で、実現するわけがない、と俺は思う。百貨店やお店が、日曜に完全に定休しているとか、理解できます?俺は、欧州の働いてる人達って、いつ買い物に行くんだろう?と思っていたんですが、みんな買わないから。よほどでないと百貨店で買わない。


 スーパーさえ、夜8時までしか営業してはいけない、とか、日曜午後は閉まってるとか、そこまでしたら、労働者は休めます。でも日本では、不便で考えられないと思う。コンビニがあるくらいですから。夜中の3時に買い物したい理由って、あります?なのに、日本にはコンビニがある。そこまで無理して、便利を求めてるのに、逆行するようなことできますか?(俺はコンビニは要らないと思うが。)


 日本で男女同権にしたいというなら、まず、働く人に楽な社会にすること。それが実現して初めて、男女平等が実現できる。少しずつ休日は増えてますが、そんなもんじゃない。そんなちょろっとした変更じゃ、追っつかない。


 欧州では、まだ歩けないような赤ちゃんを預けてすぐに働く。有給の育児休暇は1年。1歳の赤ちゃんを他人に預けることに抵抗ないですか?乳幼児の突然死とかあれば、先天的なものであったとしても、悔やんでも悔やみきれない。


 赤ちゃんを預ける場所に払うお金は国から出てる。国がきっかり、育児の預け入れ施設を作って、子供を見る人を雇ってる。自分の赤ちゃんを人に預けてでも、働かないと損するという感じ。パートじゃなくて正社員を続ける方が得。大体、パートタイムの仕事というのは、男性と平等にならない。むしろ女性は、9時から5時でなく、もっと働く時間が短い仕事はないかしら?と言っている。


 せっかく手に入れた正社員の地位で得をするから、欧米の女性は働き続けるけど、微妙に、ベビーシッター代のために働いてる?と言えなくもない。


 専業主婦を舐めている。自分の子供は育てずに、他人に任せ、自分達のご飯は全員分、オーブンやレンジの冷凍食品で済ませても、別の仕事をする。そのことに疑問を感じないのか、と思う?


 その人しかできない、重要な仕事というわけでもないのに。


 確かに食事は調理しなくても良いものが多い。ハム、チーズ、パン、洗ってあって袋から出すだけのサラダ。冷凍食品の大きなチェーン店がどこにでもある。


 男性で家事を折半している様子を見ていると、かなり男性も家事をこなすが、多くの家庭で、家事の比重はほんの少し女性が多めに受け持っていることが多い。それでも、食事していて、その家の主人が(もはや大黒柱ではない!)、自分で細々と動き回っているのを見ると、日本人なら少し違和感を覚える。まるで、何というか、俺にとったらそれは少し悲しい。女性が働くというのはそういうこと。


「あなた、私にも水!」


 別にそれでもいいかもしれないけれど、こういう関係だと、平等だから、外にちょっと気になる人が、職場なんかにできるとすごく揉める。「あなたに関係ないでしょ、単に仕事のことで電話してきたのよ」とか、「ちょっと同僚と食事、明日は遅くなるわ」とか。


 

 欧州を旅行したことのある人なら、欧州の人の働きぶりがわかると思う。休むために働いているので、働いている時も、休んでるのか?と思うくらいマイペース。正社員が優遇されて、一旦正式雇用になると、どれだけ働きぶりが酷くとも、滅多に解雇されないため、旅行に来た人ならよく知ってるだろうが、木で鼻をくくったような対応の場所が結構、普通。仕事しなくたってクビにならないのだから、必死にならなくても良い、適当に時間内さえその場所に居ればよい、という気持ちになりがちになる。


 自分のせいじゃないとか、担当じゃないとか、引き継ぎされてないとか、知らないとか、言い訳のバリエーションだけは無限にある。


 要は”仕事は適当で!”ということ。


 もちろん日本人のような”きめ細やかさ”は求められない。あらゆる場所でサービスや連携が悪く、システムも連動していない、電車さえ遅れる。遅れるどころか、間引いて、走らなかったりする。日本だと10分で終わることが、2日かかる。時にそれ以上かかる。休みを挟むと、一ヶ月。今すぐこれをこうしてくれたら終わるところなのに、一ヶ月先にまた来て、と言われる。


 男女平等、という言葉に騙されてはいけない。女性は働けば、お金を得られるけれど、配偶者控除も変わった。これから、もっと変わる。自分で働き、お金を得たら、その分、配偶者に自由に気兼ねなく使える、というのはいいけれど、家庭の仕事は、そのままにあるのだから、それを誰かが下請けすることになる。自分達ではやってない場合も結構ある。家庭の掃除なんかは、もっと貧しい国の出稼ぎの人がやったりする。


 俺が思うに、料理と子育て以上に大事な仕事ってあるの?何十年も、冷凍食品ばかり食べてたら、早死にしそうなんだけど。(実際、日本人より平均寿命は各国、短い。)子供は、むしろ自立していて、たくましく育ち、親に依存しないので、その点はいいかもしれないが。


 女性が働けば、その分、収める税が増えるわけだから、得をするため、国が推奨する。子供を産むのは誰?欧州では働きながら生んでいるけれど、そもそも、働く環境が欧州では男女共、格段に楽。(そうでない職種もあるらしいが)だから日本で、女性も働いて!という掛け声を聞くと、これから地獄が始まるのか?というふうに聞こえる。だいたい男性に家事をする余裕などないだろう。


 税収が増えたら、福祉を充実させて、困った時は国がすくい上げてくれるの?日本の場合、そうは思えないね。生活保護は基本的人権を尊重、保護するネットとしてあるのに、まともに機能していない。申請するのに躊躇う制度で死者が出てる。何故?不正受給と大騒ぎし、当然の権利を行使するのにも気を使うような国で、集められた税金のおかげで、安心して暮らせるから貯金など要らねーわ!……とは、とてもなりそうにない。


 欧州の人の貯蓄額が驚くほど低い、”生きた金”が回っているのは、”たとえ何かがあっても、福祉が自分たちをすくい上げて、助けてくれる”と思えるからであって、日本みたいに、困った時は自己責任、家族親族の連帯責任で、と言われてしまう国は、(というか、連帯保証人制度ってすごいよな!なんで、ほぼ見ず知らずの会社の借金の担保にならないといけないんだ???)貯金して備えないと、何があるかわからない。じゃ、集めた税金は何に使われるの?自分たちの将来のためじゃないの?病気や事故、年取って、働けなくなったらどうするの?


 欧米では少なくとも、日本ほど労働時間が長くない。日本みたいに労働条件の悪い国で働きたくないのが、本音。


 夏休みだけで、一ヶ月丸ごと、男女共に同時に取れるような国で(もちろん、春休み、冬休み、秋休みがある!というか、休んでばっかり。)、共働きするのと、一年のまとまった休みが、ゴールデンウィークとお正月とお盆の数日ずつしかない日本とは比べられない。


 一ヶ月丸ごと会社に行かないと、仕事、忘れます。しかも全員がそうなので、夏は何も動かないことになる。夏休みの前、6月くらいから、夏の遊びの予定を立てるため、そわそわして業務が滞り、夏休みの後は、ボケているから、9月も業務が滞る。となると3〜4ヶ月は滞り、7月〜8月は、日程をズラして休みを取る人がいるため、夏の2ヶ月は完全に全てが、ストップした状態になってしまう。


 欧米でも、そこまで休みが取れない国もたくさんありますが、(アメリカはまとまった休みが取れない国)、先に少し書いたように、男女同権で、女性が社会に出て働くことについては、大きな弊害がある。


 女性に収入ができ、外に目が向くと、結婚生活を我慢してまで続けなくても良くなるし、夫や子供といる時間以上に長い時間を、会社の同僚と過ごすことになり、簡単に離婚となる。家庭が崩壊、別の配偶者と家族を再結成と繰り返すため、家族関係が複雑になりすぎる。


 欧米で既に起こっているけれど、あまりに離婚が多いため、結婚する人も減り、同棲が増える。同棲が良い点は、離婚ほど手間がかからない点。別に同棲でもいいけれど、未婚の人が増え、出生率が下がると、国が衰退する。だから同棲なのかもしれない。せめて同棲の推奨で、むしろ出生率は上がるから。親子関係が複雑でも、周りのみんなもそうであれば、子供は順応するということで。確かに、何度も結婚してくれたら、その度ごとに生まれる子供、兄弟がいたら、出生率も上がる。案外、それを狙っているのか?


 日本が欧州のようになるのを、俺は想像できない。そうなると、もはや別の国。老人ばかりで、若者は皆、男女共に働いていて、結婚してなくて同棲で?

一緒に住む兄弟姉妹は、みんな父親か母親が違って?


もしかして、その家に70歳とか80歳の老人が派遣されて、掃除に来るの??


 どう考えても、違和感がある。あと100年くらい経てば、そんなの普通なのかもしれないが。とりあえず欧米では、上記が普通。もはや、誰が親なのかわからない。でも取り敢えず今は、日本の文化や風土、習慣に合わせた形で取り入れるべきだろう。


 いきなり毎日曜日は百貨店やショッピングセンターを休みにする通達を政府が出したら、パニック起きますよね。日本で導入されたサマータイムが根付かなかったのと同様に、欧米の猿真似をしても、日本ではうまくいかない。


 本当に男女平等にしたいなら、まず、男の夏休みを一ヶ月にするところから。


 一ヶ月は出社禁止の完全有給。それで、それが根付くようなら、女性が子供を預けて働いたとしても、男も、家事育児、料理ぐらいできる余裕を取り戻しているはず。


 欧米のやってることの一部分だけを取り出して、日本人に無理をさせるから、日本の未婚率が増えている。女性はスーパーウーマンじゃないから、働きながら、分娩できない。そのうち、子供でなくて、息子や娘がロボットになり、燃料補給がコンセントに挿しとくだけにならない限り、無茶なことを求めても、破綻するだけだ、と俺は思う。分娩でも入院でも、欧州は、まだ寝てないと死ぬんじゃないの?っていうくらいの時期に、病院から叩き出す。


 まあその方が、節約もできるだろうし、なんとか家に辿りつければ、寝てるだけだから、家でも病院でも一緒かもしれないけど、それで、運悪く、死ぬような大事になることもあるだろうに、と思う。注射さえ、病院で打ってくれなかったりする。看護婦さんに電話して、自宅に来てもらう、とかだから。いや確かに注射ごときで病院に来られたら混むからわかりますが、この看護婦、本当に有資格者なの?忘れてないよね、注射の仕方、とか感じますよね、微妙な感じ。あまりに分業だと恐ろしいミスが起こる。死にたくなければ、自分だけは、よくよくなんでも把握して、いちいち言い立てないと、簡単な医療ミスで殺されてしまうかもしれない。


 ちなみに、働いてばっかりで休んだことのない人間は、一ヶ月も休みもらっても、どうやって過ごせばいいのか、わからない。むしろ、あとちょっとで、キリのいいところまでの仕事が終わるはずなのに、と休まないといけないことがストレスになったりする。だから現地の人は、最初からストレスにならないように、”手を抜く”方向に進みがち。最初から手を抜いていれば、そんな風に、中途半端に仕事が滞っても、ストレスにならない。


 日本はそんなやり方を真似て、うまくやっていけるような国ですかね?確かに働く人全員が、ものすごく”適当でいい加減”になれば、そうなれるかもしれないが。


 日本人には合わない、せっかくの”日本人の良さ”を潰すことになる、と感じるのは、果たして俺だけなんだろうか。



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