結婚の意味

 俺は、世間話ついでに、結婚してどうでした?と聞くことがある。結婚して、何が変わったとか、良かったこと、悪かったこと。たいていの人は、満足している。例えば、38歳までお互い独身同士の男女で、お見合い結婚し、現在50過ぎの人。


 結婚して良かった、子供にも恵まれたし、いろいろ助けられている、新しい視点で物が考えられるようになった、など。


 年老いた親と、自分だけの先細りの将来に比べ、ずっと夢がある、嫁さんに感謝している、とのこと。


 今も38歳くらいにしか見えないイケメン。なぜ縁遠かったのか。多少、風変わりではある。あまり女性に興味がないのか、ああ、わかった、本人も認めていた、美人にしか興味がない、と。


 奥さんは色白の、かなり長身な、確かにまあ、綺麗な人だった。そう、彼女が縁遠かったのは、おそらく身長のせいだろう。このイケメンとなら、見た目も釣り合う。


 それにしても、将来というのは、わからないもの。特に女性は、更年期の閉経の時期に、精神不安定になりやすいらしい。突然、妻を亡くして途方にくれる人が結構いる。その逆も。男性の場合は、過労死、突然死。ごく普通に生きてきて、定年前に亡くなるなんて、誰が予測するだろう。


 結婚はある意味、保険。子供もそうだ。もちろん、仕事を生き甲斐にしたり、社会奉仕を生き甲斐にしたりする人もいるけれど、何が違うかといえば、共同作業。この共同作業のせいで、新しい世界が見える、新しい世界が広がる。


 結婚している場合の結びつきは、単なる友人や親戚、親兄弟以上なので、どうせなら、一足す一が二以上になれば、もっと人生をエンジョイできる。


 そういう意味では、自分と違う考え方、自分と違う価値観で、違った環境で生きてきた人を選ぶと、自分の世界が一挙に広がる。自分に似た価値観の人でないと、実際の生活は困難になるけれど、たとえば、まるっきり文化の違う人と結婚すれば、まるで、生まれ変わったみたいな別世界を体験することも可能になる。


 子供にこだわらない、離婚歴や条件にこだわらないのなら、結婚する年齢という意味で遅すぎるということもないから、人生を変えるべく、思い切って結婚という選択を選ぶのも手。


 外国にいると、結婚すると得になることがあるため、どうせなら結婚するか、というような流れがあったり、子供を二人以上産めば、税金の優遇がある国などは、必ず二人は産まないと損だ、と出生率が上がったりする。


 人というのは現金なもので、得すること、楽しいこと、自分の気分が良くなることへの選択のハードルは低くなるため、たとえ結婚に困難が待ち受けていようとも、それに勝るメリットを見出して、人生の大きな賭けをあっさりと即断で、決めてしまったりすることもある。


 そういう結婚が必ずしもうまくいかないとも限らず、案外と続いたりするから、面白い。迷っているなら、失敗してもいい、という心積もりで結婚すると、余分な期待がない分、一から二人の関係を築ける。昔のお見合い制度が有効だったのも、そういう理由かもしれない。



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