理想的な夫婦の形とは?

 自分の見た中で、ここはうまくいってそうだ、と思った夫婦の話をします。


 定年退職した60代の外国人の同級生夫婦の話。日本は専業主婦率が未だ高いですが、海外でそのことを言うと、ちょうど自分達の祖父母の世代と今の日本が似ている、と20代の社会人の青年が言っていました。ヨーロッパでは、夫婦がフルタイムで働いているのがスタンダードなため、この夫婦もずっと共働きでした。


 海外の女性は、大和撫子からは、程遠いケースが多いのですが、この女性は、おしとやかな雰囲気を持っていました。夫の言うことに反論したい時は、じっと辛抱強く待って最後まで聞いてから、穏やかに理路整然と、それも良いけれど、こちらの方がより良い結果が得られるのでは?と、控えめに、押し付けがましくなく、夫がなるほど、と思えるよう、夫のメンツを潰さないように提案しています。


 じっと見ていて気付いたのですが、やはりできるだけ夫を立てようとしている様子。でも実際の実権を握っているのは妻。そのことを決して悟らせません。あたかも夫がすべて決める権限があるかのように、外からは見えるでしょう。夫を信頼し、強い勇敢な夫から常に守られてきたのは明らか。職業柄、最も頼もしい人を味方につけているのですから、文字通り、妻としても、夫に守られ、安心して過ごしてきたのでしょう。


 海外の女性は自己主張が強いのですが、あくまで夫が決めた、という形に持っていく。それはとても巧みで、夫の面子が常に立ちます。同級生同士のため、肩を並べる感じがするのですが、夫の大雑把で、アクティブな面を、押さえつけて潰さないように上手にフォローしています。


 親しくなってくると、実は詳しいことは妻が決めているから、そっちに聞いて、と言う男性。親しくなると、格好をつけなくても良いため、実のところ、妻を怖がっている気配がします。優しくおとなしい、でも怒らせると怖い、と男性は言っていたのですが、夫の方は、繊細な人なので、ちょっと怒気を含んだ声であっても、縮み上がるような気配があります。


 面白いことに、会社では、この男性はかなり”男性性”を発揮しないといけないような、”命がけの勇ましさ”が求められる”危険な職種”についているのです。


 暴れた虎が、家に帰ると猫になるようで、こういうケースを見ると俺は、しっかりした女性と結婚して、しかもその女性が聡明で夫を愛してくれていれば、男は家に帰ったら、ほっと甘えることもできる、と羨ましく思うわけです。


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